『エラい人にはウソがある』 パオロ・マッツァリーノ
もしかしたら、今、とても面白い本を読んでるのかもしれない。
二〇一五年の本で、買ったまま、読まずに眠らせておいた本です。“読まずに眠らせておいた”という部分には、あまりこだわらないでください。有り体に言えば、忘れていた本です。
だってですね。表紙のを飾る絵は中崎タツヤさんのうまへた絵。著者は、パオロ・マッツァリーノとかいう怪しいイタリア人。著者紹介によれば、このパオロ・マッツァリーノさん。イタリア生まれの日本文化史研究家とか。学歴はイタリアン大学日本文化研究科卒?
父は九州男児で国際スパイ、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人。本人はイタリア語で話しかけられると、何故か聞こえないふりをする。ジャズと立ち食いそばが好き。
そんなわけで、どっちを先に読もうかなって時に、いつも後回し、後回しになって、いつのまにか、どっちを先に読もうかなっていう対象としても取り上げられなくなってしまったわけです。そんなことをしているうちに、その上に読み終わった本が、ドサッ、ドサッと積み重なって、買ったことすら忘れてしまったわけです。
それがこの間、一四年飼った猫のミィミィが死んだことで、そのミィミィの身辺整理をしていたら、その余波が押入れに及び、乱雑に積まれた本を片付けているうちに、この本の発掘に至ったわけです。
みんなに押しつぶされていたから、日に焼けることもなく、ほぼ新品の姿で発掘されたこの本。「ごめんね」と声をかけながらめくってみれば、儒教の始祖、孔子を取り上げた本じゃないですか。
ええっ? 孔子は儒教の始祖なんかじゃない? いったいこりゃ、どうなっているんでしょうか。


冒頭、第一章の前にある《紀元前中華電視台スペシャル大特番〈ありのままの孔子〉》は、しっかり二〇ページも割いて書かれています。内容はと言えば、それがもう、いいたい方だって感じなんです。
五年連続“抱かれたくない知識人”ナンバーワンに選ばれて殿堂入りしたとか。
ひどいことを言いますね。このイタリア人。
でも、孔子は実際、「みんながマナー(礼)を守れば犯罪も戦争もない平和な世界になります。そんな世界を作るため、私は政治家になります」って、一生懸命就職活動をしていた人物です。考えてみれば、変なやつに間違いないですね。
一部では、YDKってこき下ろされてたとか。やっぱり、駄目な孔子。
ひどいことを言うな。この変なイタリア人。
論語の冒頭を飾る一編は、「人不知而不慍、不亦君子乎」。「人知らずして慍みず。また君子ならずや」ですね。「世間の人たちが認めてくれなくても怒ったり、恨んだりしない。それが君子ってもんだからな」って、それ、孔子本人のことじゃないですか。
自分には犯罪も、戦争もない世の中を作る力があるのに、その自分を政治家として採用してくれる国はない。結局、世間は認めてくれない。だけど、私は世間に怒りを向けたり、恨んだりはしない。君子だからな。
自分には政治家としての力があることと、君子であることは、孔子の中では揺るがない前提なんですね。
面白そうだな。このイタリアン大学卒。
これから、本腰入れて読みます。
二〇一五年の本で、買ったまま、読まずに眠らせておいた本です。“読まずに眠らせておいた”という部分には、あまりこだわらないでください。有り体に言えば、忘れていた本です。
だってですね。表紙のを飾る絵は中崎タツヤさんのうまへた絵。著者は、パオロ・マッツァリーノとかいう怪しいイタリア人。著者紹介によれば、このパオロ・マッツァリーノさん。イタリア生まれの日本文化史研究家とか。学歴はイタリアン大学日本文化研究科卒?
父は九州男児で国際スパイ、母はナポリの花売り娘、弟はフィレンツェ在住の家具職人。本人はイタリア語で話しかけられると、何故か聞こえないふりをする。ジャズと立ち食いそばが好き。
そんなわけで、どっちを先に読もうかなって時に、いつも後回し、後回しになって、いつのまにか、どっちを先に読もうかなっていう対象としても取り上げられなくなってしまったわけです。そんなことをしているうちに、その上に読み終わった本が、ドサッ、ドサッと積み重なって、買ったことすら忘れてしまったわけです。
それがこの間、一四年飼った猫のミィミィが死んだことで、そのミィミィの身辺整理をしていたら、その余波が押入れに及び、乱雑に積まれた本を片付けているうちに、この本の発掘に至ったわけです。
みんなに押しつぶされていたから、日に焼けることもなく、ほぼ新品の姿で発掘されたこの本。「ごめんね」と声をかけながらめくってみれば、儒教の始祖、孔子を取り上げた本じゃないですか。
ええっ? 孔子は儒教の始祖なんかじゃない? いったいこりゃ、どうなっているんでしょうか。
『エラい人にはウソがある』 パオロ・マッツァリーノ さくら舎 ¥ 1,512 『論語』をありがたい教え、孔子を偉大な人物と思っているようだが、本当にそうなのか? |
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冒頭、第一章の前にある《紀元前中華電視台スペシャル大特番〈ありのままの孔子〉》は、しっかり二〇ページも割いて書かれています。内容はと言えば、それがもう、いいたい方だって感じなんです。
五年連続“抱かれたくない知識人”ナンバーワンに選ばれて殿堂入りしたとか。
ひどいことを言いますね。このイタリア人。
でも、孔子は実際、「みんながマナー(礼)を守れば犯罪も戦争もない平和な世界になります。そんな世界を作るため、私は政治家になります」って、一生懸命就職活動をしていた人物です。考えてみれば、変なやつに間違いないですね。
一部では、YDKってこき下ろされてたとか。やっぱり、駄目な孔子。
ひどいことを言うな。この変なイタリア人。
論語の冒頭を飾る一編は、「人不知而不慍、不亦君子乎」。「人知らずして慍みず。また君子ならずや」ですね。「世間の人たちが認めてくれなくても怒ったり、恨んだりしない。それが君子ってもんだからな」って、それ、孔子本人のことじゃないですか。
自分には犯罪も、戦争もない世の中を作る力があるのに、その自分を政治家として採用してくれる国はない。結局、世間は認めてくれない。だけど、私は世間に怒りを向けたり、恨んだりはしない。君子だからな。
自分には政治家としての力があることと、君子であることは、孔子の中では揺るがない前提なんですね。
面白そうだな。このイタリアン大学卒。
これから、本腰入れて読みます。

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