めんどくせぇことばかり 解禁『昭和からの遺言』 倉本聰
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解禁『昭和からの遺言』 倉本聰

《解禁》という章が立ててあります。

戦後になって、“解禁”になったもの。つまり、戦前は禁じられていたものとして、次のものがあげられています。

権利主張
口を開くこと
批判すること
お上にたてつくこと
抗議すること
ぜいたくすること
悪口を云うこと
遊びまわること
快楽を求めること
女のヌード
ヘアを見せること

そのかわりに、それによって失われたものとして、次のものがあげられています。

親の権威
先生の権威
目上の権威
礼儀作法

そして、それによって、変化したこととして、次のものがあげられています。

横暴な自由がはびこり始めた
お巡りさんが怖くなくなった
かなり悪いことが許されるようになった

そして、ここに来て禁止されたものに、体罰があります。



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「令和」新時代を迎える今 忘れてはいけない日本人の原風景がある
足の裏の倖せ
神の眼
解禁

感動の共有
兄弟のいる風景
怒りについて
布団の記憶
あとがきに代えて―ないこととあること


正直に言います。

かしこまって、「正直に言います」なんて言わなくても、さらには、なにも埋もれた記憶を掘り起こすまでもなく、私は何度も生徒に手を上げました。何度も蹴りました。どうも、昔から手よりも足のほうが先に出るタイプでした。

けっして、気軽に体罰に走る方ではありません。

カッとなって怒りに任せたのは一度です。授業中に廊下に出てしまった生徒を、40歳台の女の先生がなんとか教室に入れようと声をかけていました。私は隣の教室で授業をしていたのですが、女の先生をサポートするために廊下に出て、距離をおいて様子を見てました。生徒が向こう隣の教室にいる知り合いに声をかけようとするのを女の先生が静止しようとしたら、生徒が女の先生を突き飛ばしたんです。突き飛ばされた女の先生は、バランスを失って廊下に倒れました。

「先生、大丈夫?」って、立ち上がる女の先生に手を貸してから、生徒のニヤつく顔を見て、切れました。襟を持った両手で生徒を持ち上げて、そのまま背負投で後ろに投げ飛ばしました。

それ以外の体罰は、きちんと頭の中でいろいろなことを考えた上のことです。その考えが間違っていて、思いもよらず相手に詰め寄られたこともありましたが、それは一度だけ。その他は、私から叩かれたり、蹴られたりしたことを、きちんとうけいれさせました。
 
今から一五年ほど前、札付きのやつでしたが、体罰が禁止された時代の教員の弱みっていうのを、よ~く心得ているやつに出会いました。そういうやつだということは雰囲気でわかりましたので、隠忍自重、周囲への悪い影響を最小限に、無事送り出しました。

そんな状況に嫌気が差して、定時制高校に転勤しました。転勤したら、定時制はまるでドタバタ劇場でした。その前の勤務校のような神経戦はまったくなく、ひたすらぶつかり合いでした。五〇歳前後の時期ですから疲れましたけど、このまま定時制で終わればいいと思ってました。

そしたら定時制が潰れちゃったんです。全日に転勤しました。

これまでの経験の中で一番平和な学校でした。ですが、指導ってのは相対的なものですから、許せるラインというのは自ずから変わってくるんです。定時制に比べると、どうしても神経戦が増えていました。なんとか無事にやり過ごしましたが、昨年、担任を持った生徒を三人、蹴り飛ばしました。

以前と同じように、私はそれを受け入れさせたつもりでいました。その時私が蹴り飛ばしたのは三人ですが、そのうちの一人は、実はそれを受け入れておりませんでした。自分が悪いことをしたという自覚があるので、その時、私に蹴られたことでとやかくいうことはありませんでしたが、彼は明らかに、私の揚げ足を取ろうとしてました。

「あ~あ、もう、自分が教員をやってられる時代は終わったんだな」って、遅ればせながら理解し、退職しました。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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人生に必要なもの、一人の女性、一人の親友、一つの思い出、一冊の本。
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


















































































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