めんどくせぇことばかり ローマ滅亡『世界史の新常識』 文藝春秋編
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ローマ滅亡『世界史の新常識』 文藝春秋編

中日ドラゴンズの応援団が、“おまえ”という言葉が入る応援歌の自粛を決めたそうですね。

これにはびっくりです。「“おまえ”などという乱暴な言葉は、子どもの野球ファンの前で使うべきではないのでは?」という球団の意見を受けてのことだそうです。

こんなことから、“おまえ”論議が始まるんでしょうか。始まる前からうんざりです。

野球ファンではありませんが、保育園児の私の孫は、平然と“おまえ”という言葉を使っています。これがまた、世話のかかる奴で、もう可愛くて、可愛くてね。知らない間に、いくつか字を覚えたみたいで、一生懸命私に披露してくれます。もう少し大きくなったら、一緒に寅さんのビデオでも見ようと思います。あっ、“おまえ”が悪い言葉ってことで定着したら、寅さんなんか見てたら大変な目に合わされそうです。

ニグロは差別だそうで、ブラックも言いづらくなって、アフリカ系アメリカ人? ハハハ、俺はアフリカ生まれじゃねぇよって言ってるアフリカ系アメリカ人もいっぱいいるでしょうね。ルーツがアフリカにない、ただの色黒はなんて呼ばれるんでしょう。

子どもの世界にはいろいろな問題があります。そういう問題の、どこに“おまえ”が引っかかってますか。“おまえ”は相手を低く見る意味合いを含んで使われることがありますね。だからいけないんですか。相手を低く見る言葉、行為、仕草はいくらでもあります。人と比べて自分が上か下かって価値判断は、社会生活を営む人間の本質に触れる問題でもあります。本質に触れずに、言葉だけ隠したがるのは、どんなもんでしょう。

相手を低く見る意味合いを含んで使われる“おまえ”は、“おまえ”という言葉で表されるさまざまな意味合いの一側面でしかありません。応援歌の“おまえ”が相手を低く見て使われているのかどうか知りませんが、そうであろうがなかろうが、自粛です。

ローマというのは、一都市の名前です。それは文字通り、一つの都市国家、ポリスの名前だったわけです。たしか、最初のころは、近隣のエトルリア人の作っていた都市国家群のほうが圧倒的に優勢で、王政ローマの最後の王様もエトルリア人の王様でしたよね。

エトルリア人の王を追放して共和制に移行したローマは、ガリア人の侵入を受けるなどの苦難にも出会うが、前四世紀に入るとエトルリアの都市国家軍を併合し、徐々に安定した成長をたどるようになります。それでも“ローマ”なんですね。

さらに前三世紀に入り、イタリア半島を統一しても、“ローマ”。ポエニ戦争でカルタゴを葬り、北アフリカに拡大して地中海を制覇しても“ローマ”。オリエントを制しても“ローマ”。ガリアを従えてヨーロッパを制覇しても“ローマ”。

のちの、ベネチアなんかもそうだけど、やっぱり、都市国家、ポリスの伝統ってもんなんでしょうか。

さて、ここで滅亡としているのは、五世紀末の西ローマ帝国の滅亡です。地中海を内海とし、ヨーロッパの大半を支配したローマも、特に、のちの西ヨーロッパにおいて、帝国の政治組織の終焉とともにローマの文明そのものが、同時に崩壊してしまっています。

従来の世界史においては、それを“ゲルマン民族の大移動によって”と片付けてきたわけですが・・・。


『世界史の新常識』     文藝春秋編

文春新書  ¥ 950

世界史のエッセンスがこの一冊に! 知っているようで知らない世界史のエッセンス
第一章 古代
古代ギリシャはペルシャ帝国に操られていた
どうして釈迦は仏教を開いたか
カエサルはなぜ殺された?
「キリスト教」はイエスの死後つくられた
ローマ帝国を滅ぼした難民と格差
第二章 中世・近世
預言者ムハンマドのリーダー・シップ
中世グローバル経済を作ったのは遊牧民とムスリム商人
異民族を活用したチンギス・ハン
ルネサンスは魔術の最盛期
明を揺るがした日本の火縄銃
戦争と疫病がニュートン、ライプニッツを生んだ
第三章 近現代
産業革命がイギリス料理をまずくした
保護貿易が生み出した産業資本主義
アヘン戦争 大清帝国vs大英帝国
インド グローバルな亜大陸
世界大戦の負債が起こした大恐慌
独裁の秘術 ヒトラー、スターリン、毛沢東
共和党対民主党 日本人が知らないアメリカ史
第四章 ブックガイド
グローバル・ヒストリーとはなにか
評伝・自伝で人物の内面に迫る
共産中国の深層には今も伝統的な中国社会が息づいている
第五章 歴史の教訓
史上「最も幸せな国」はどこだ?
世界史から何を学ぶか


ゲルマン民族の大移動は、フン族に圧迫され、ゴート族がなんかを始めた三七五年が始まりとされています。フン族の攻撃で住処を終われローマに流入したゴート族は、今で言う難民です。続いてヴァンダル族が、同じくフン族の圧迫で難民化します。ヴァンダル族がフランスに入り、四〇九年にイベリア半島に突入すると、“ローマ”の国境が崩壊したのを目にしたブルグンド族、フランク族も移動を開始します。

ローマは、これらの大量の難民を、《同盟部族》と名付けて受け入れざるを得なくなります。これは事実上の領土の割譲だったようです。ほんの僅かな間は従順を装ったようですが、やがてはそのたがが外れ、ローマの領土はゲルマン系難民部族に次々に奪われていきます。

最後の皇帝はロムルス。奇しくもローマ建国の王と同じ名前なのが皮肉ですが、そのロムルスが傭兵隊長オドアケルによって廃位されたのが、帝国としての西ローマ滅亡とされています。四七六年、大移動の始まりから一〇〇年目のことです。

ローマの強さは、支配者層の高い義務意識にあったと思います。戦いのときには先頭に立つし、平時にあっては社会貢献を欠かしません。貴族や富裕者はインフラ整備などの建設に進んでお金を出しました。出資者の名前のついたアッピア街道なんかが有名ですね。この義務意識はノブレス・オブリージュと呼ばれます。有事の軍事的貢献は、まさに命がけ。ローマはとにかく強かった。ローマの強さの源は、支配者層が先頭に立って戦うことにあったと思います。

平時の社会貢献は、お金を出すこと。アッピア街道もそうですが、帝政期に入ってからの社会福祉的貢献、いわゆる”サーカスとパン”を支えたのは、富裕層の出資でした。これを、エヴェルジュティズムと言うそうです。舌を噛みそうですね。

ローマは格差社会です。しかし、貴族層のノブレス・オブリージュ、富裕層のエヴェルジュティズムがある限り、民衆は貴族層、富裕者層を自分たちの支配者と認めていたわけです。

しかし、それが、三世紀の終わりあたりから、機能しなくなっているんだそうです。これにより格差が顕在化し、両者がローマの価値観を共有できなくなっていたらしいんです。そこにゲルマン民族の大移動があり、流れ込んでくる難民を吸収し、同化する力がなくなっていたんですね。

今また、シリア、アフガニスタン、イラク、そしてアフリカから、ヨーロッパに大量の難民が押し寄せています。受け入れる側のヨーロッパでも、排外主義が持ち上がり国論を二分する状況にあります。

難民を同化できず、吸収しきれなかったローマは滅びました。かつての文明は跡形もなくなり、新たにゲルマン人の中世が始まります。一〇〇年後のヨーロッパっていうのが、イスラム教徒の領域になってるってことも、あるかもしれません。





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