めんどくせぇことばかり 『世界史の新常識』 文藝春秋編
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『世界史の新常識』 文藝春秋編

つい先日、県の教育局から〈再任用制度説明会の開催〉のお知らせをいただきました。今にしてみると、三月まで、自分が高校の社会科の教員で、世界史を専門にしていたなんてことが、まるで夢のような思いがします。

今年度いっぱいで退職する人か、定年の年齢を迎える前に退職してしまったものの、いざ退職してみると取り立ててやることもなく、家を居場所と定めることもできず、早期退職を「早まったかな?」と後悔している人向けの案内のようです。ついでのこととは言え、いまだに私のことなんぞ気にかけていただいて、ありがたい話です。

退職するやいなや、四月から自治会長を任されて、好きか嫌いかにかかわらず、いまだに社会との強いつながりを感じながら生活をしています。かりに自治会長をしていないとしても、決して社会とのつながりがなくなるわけではありませんが、実感として感じるものは、だいぶ薄まることでしょう。社会とのつながりが薄まると、再任用とは言え、仕事に戻りたくなる人もいるようなんです。

お誘いは、「令和二年に再任用で働きませんか。給料はだいぶ安くなるけど」ということのようです。当自治会の自治会長の任期は一年ですので、令和二年度といえば、ちょうど自治会長の任期が終わることになるわけですが、再任用のお誘いに応じるつもりはありません。

先程も書きましたように、退職しようが、自治会長でなくなろうが、社会との関わりがなくなるわけではありません。だけど、心の持ちようとしては、社会からも超然とした存在でありたいのです。超然とした存在でいられるわけもないんですが、まあ、気持ちだけでも。

隠遁といいますか、出家して仏門に入りたいわけだはないのですが、これまでとは違う責任と無責任を持って、外側から世間を笑い飛ばしてやりたいんです。

さて、『世界史の新常識』っていう本なんですが、以前この手の本を読めば、“これは授業で使える”とか、“使えない”とか、不純な価値判断が優先してしまうことがありました。でも今は違います。もう教壇に立つ事のない私は、ひたすら本を、自分の知的好奇心を満足させるためだけに読むのです。

ある意味でそれは、純粋な読書の楽しみであるはずです。・・・ですが私は、ふと気がつくと、その本の面白みを授業で使おうと算段しているのです。本当に、純粋な読書の楽しみに浸るには、もう少し、時間がかかるかもしれません。



『世界史の新常識』     文藝春秋編

文春新書  ¥ 950

世界史のエッセンスがこの一冊に! 知っているようで知らない世界史のエッセンス
第一章 古代
古代ギリシャはペルシャ帝国に操られていた
どうして釈迦は仏教を開いたか
カエサルはなぜ殺された?
「キリスト教」はイエスの死後つくられた
ローマ帝国を滅ぼした難民と格差
第二章 中世・近世
預言者ムハンマドのリーダー・シップ
中世グローバル経済を作ったのは遊牧民とムスリム商人
異民族を活用したチンギス・ハン
ルネサンスは魔術の最盛期
明を揺るがした日本の火縄銃
戦争と疫病がニュートン、ライプニッツを生んだ
第三章 近現代
産業革命がイギリス料理をまずくした
保護貿易が生み出した産業資本主義
アヘン戦争 大清帝国vs大英帝国
インド グローバルな亜大陸
世界大戦の負債が起こした大恐慌
独裁の秘術 ヒトラー、スターリン、毛沢東
共和党対民主党 日本人が知らないアメリカ史
第四章 ブックガイド
グローバル・ヒストリーとはなにか
評伝・自伝で人物の内面に迫る
共産中国の深層には今も伝統的な中国社会が息づいている
第五章 歴史の教訓
史上「最も幸せな国」はどこだ?
世界史から何を学ぶか


ったく、よく言われましたよ。「歴史の先生は、楽でいいよね」って。「最初は大変かもしれないけど、とりあえず一通りやっちゃえば、毎年同じことをやってればいいんだろ」っていうんですよ。まったく冗談じゃありません。

社会の教員っていうのは面倒な人が多いです。面倒な奴らなんで、そのうち地歴と公民に分けられちゃったんです。まあ、一般の方からすれば、今でも“社会の先生”って感じでしょうけど。それでね。社会の教員とは言っても、本来なら、世界史の専門家が世界史をやるべきなんです。日本史は日本史、地理は地理ってね。

だけど教科目の指導よりも生徒指導のほうが優先されるようになって、受け持ちの学年によって科目が変わっちゃう学校が多くなってきちゃったんです。例えば、一年現社、二年世界史、三年日本史って感じです。自分の担任クラスの授業がないとしても、世界史が専門だったら世界史を教えるべきだってのが私の考えなんですが、そういう学校はだんだん無くなっていってるみたいですね。

かりに、毎年、世界史だけを繰り返し教えているとしても、教材研究、授業の下調べをして準備をすることですが、それなしに授業に望むなんてありえません。教材研究以前に、歴史だけじゃなくて、いろんな本をむさぼるように読んで、いざ、教科書にあたってみれば、「・・・まだ、こんなことを書いてるよ」なんてことは、ざらにあるんです。

目次がスペースを取ってますが、全部載せておきました。“なんとなく”でも、この本の内容を分かってもらおうと思って。いろいろな人の、いろいろな研究の集積で、以前に考えられていた・・・

①歴史は間違っていた。
②歴史とは、少しイメージが違ったようだ。
③歴史には、誤解があった。
④歴史に、付け足さなければならないことがあった。
⑤歴史から、差し引かなければならないことがあった。

色々なケースがあります。もちろん、それを修正していく必要がありあます。しかし、その修正ができないとしても、これはやむを得ないところがあります。第一、教科書が修正されてないんですから。この本に書かれている“新常識”も、大半がそれにあたります。

それ以外に、“やむを得ない”では済まされない問題があります。正しいとされる歴史に紛れ込んでいる意図的な嘘、あるいは意図的に無視されている真実です。この意図的な嘘を見抜いて、または意図的に無視されてきた真実を授業の中で問題提起することはとても大事です。

この本の各項目は、それぞれ別のさまざまな先生方によって、“新常識”が披露されてますが、それらの中で、歴史の中に紛れ込んでいる意図的な嘘を指摘しているのは一つだけ、第三章の“近現代”の中で、渡辺惣樹さんが書いている《共和党対民主党 日本人が知らないアメリカ史》のみです。

今後は、自分の知的好奇心を満足させるために、そして外側から世間を笑い飛ばしてやるために、本をよめるようになれたらいいなと思います。

*毎年、同じ授業をして、同じ問題でテストをする歴史の先生は、けっこうたくさんいます。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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