めんどくせぇことばかり 『不都合な日本語』 大野敏明
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『不都合な日本語』 大野敏明

雑誌を読まないもんですからね。

この本は、著者の大野敏明さんが、雑誌の『正論』に同名の『不都合な日本語』というタイトルで書いていたコラムをまとめたものだそうです。『正論』を読んでれば、もっとめぐりあうのが早かったんでしょうけどね。

大野敏明さんは、産経新聞の社員として仕事生活を始め、その後、大学の講師や客員教授を務めながら、著作活動をしている方のようです。経歴に出てくる著作の題名だけ見ても、ずいぶん面白そうな本を書いていらっしゃるのに、これまで一冊も読んでいません。まあ、縁がなかったんでしょう。

産経新聞の記者から評論活動している人というと、私は髙山正之さんの本にはずいぶんいろいろ教えてもらってます。髙山さんは主に国際政治から、この本は“言葉”からと、本来切り口が違います。ですが、ものの捉え方とか、感性が、お二人はよく似ているように感じられました。

題名のとおり、このコラムは“言葉”にこだわるところから始まったもののようです。その始まりは平成二二年です。当初は、文字通り、“日本語”にこだわったテーマ選定のもとに社会問題を絡めたコラムが書かれていたもののようです。

それが平成二五年あたりから、取り上げられる言葉自体が、問題化している社会事象の中から選定されるようになったもののようです。

この本を取り上げるのは二度目なんですが、そのへんの移り変わりもわかったいただけるよう、前回は目次を全部紹介しませんでしたが、今回は紹介しておきます。移り変わりをお分かりいただけると思います。



展転社  ¥ 1,728

現在の日本語」を取り上げながら時局を批評し、おかしな現代社会を痛快にぶった斬る
序の巻
「であります」は陸軍ことば 「シナ」はなんで嫌われる
「マジっすか」はマジ?  「マジっすか」はマジ?
ぶっちゃけの時代  粛々
チョーとメッチャのセレナーデ  普通
想定外  ハンパねー
しっかり  メド
真逆  政治生命
テンパる  あけおめ、ことよろ 
破の巻
ばっくれる  愛
適材適所  最高顧問
どや顔  清廉潔白
オコのプン  熱烈歓迎
独島  中国
応援宜しくおねがいします  訓示
平和憲章  中国詣で
朝鮮民主主義人民共和国  厚顔無恥
おねえ言葉
急の巻
藩属国  太平洋戦争
参議院  反戦平和
ありがとうございます  ザップ将軍
虚偽表示  自重と譲歩
A級戦犯  二月入試
東海  国民的コンセンサス
軍事忌避  従軍慰安婦
個人情報  朝日新聞
強制連行  土井たか子
挺身隊  大学の自治
プールサイダー  日本国憲法前文
朝日新聞・二  ドイツの反省
痛切な反省  七十年談話
十八歳選挙権  徴兵
十八歳飲酒喫煙  ノーベル平和賞
世界記憶遺産  言論弾圧
水爆実験  弾道ミサイル
学校推薦  民進党
朝鮮労働党大会  在沖縄米軍
野党共闘  植民地支配
社民党  死刑廃止
トランプ大統領  ポケモンGO
一つの中国  二十二世紀


長々と、目次を全部あげてみました。

前半の、“日本語”にこだわったテーマの選定で書かれたコラムも面白いですよ。私はどちらかと言うと、こちらの方が好みです。還暦間近のおじいさんですからね。どうにも、テレビやラジオで耳慣れない“日本語”を聞くと、気持ち悪くなっちゃうんですよ。仕事してても、若い教員の連中がそういう言葉を使ってるのを聞くと、ニコニコしてても“オコのプン”です。

「・・・です」とか、「・・・ます」といった語尾の二語を強調する言い方が流行りのようなんです。なんか変な言い方だな~と思ってたら、若い女の教員が放送による生徒の呼び出しで、「*年*組**さん、今すぐ職員室前までお願いします」ですって。もう、身の毛がよだちます。

一番最初に取り上げらている《「であります」は陸軍ことば》なんか、コラムで終わらせるのがもったいないくらいですね。「自分が悪くありました」と言えば陸軍。これが海軍なら、「自分が悪かったです」。陸軍は「自分がやるであります」。海軍は「自分がやります」。どうも、陸軍ことばは癖が強いですね。

それもそのはず、陸軍ことばとは、つまりは長州方言なんだそうです。陸軍を創設したのは長州の大村益次郎。大村益次郎が殺された後も、山県有朋が、ずいぶん後まで幅を利かせますからね。しかも、軍なら、どうしたって言葉の統一は必須ですから、長州方言に統一されたということでしょう。

海軍は志願ですが、陸軍は徴兵です。徴兵され、陸軍で長州方言でしばかれ、兵役を終えた人々が、癖のある「であります」言葉を全国に撒き散らしたということのようです。

菅直人元首相が「内閣総理大臣の菅直人であります」と挨拶したのを、菅さんは高校二年まで山口県で育ったと種明かしする大野さんですが、これはどんなもんなんでしょう。

初代の総理大臣である伊藤博文も「内閣総理大臣の伊藤博文であります」と言ってるはずですよね。薩長藩閥が長く続く中、もしかしたら政治ことばにも長州訛りが染み込んじゃったんじゃないでしょうか。

いろいろ考えさせられて、とても面白かったです。後半は問題化している社会的事象の中から言葉が選定されることになりますが、まあ、そういうのもいいんですが、今でも日々新たに、年寄りを苦しめる“不都合な日本語”が生まれてきている気がするんです。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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