めんどくせぇことばかり うで卵『ひとりメシの極意』 東海林さだお
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うで卵『ひとりメシの極意』 東海林さだお

この本を、準備してあるカテゴリのうち、いったんは《本 料理》に分類しました。

そのあと、なんか気持ち悪い。なんだか心の中で、小さな声がしているようなんです。その心の声に耳を傾けてみると、それは心の中の私の良心の声。「ねえねえ、ちょっとちょっと」って。

しばらくしてから気が付きました。この本を《本 料理》に分類したことの対して、私の良心が抗議の声をあげていたのでした。たしかにそうでした。これは料理の本ではありません。私は、この『ひとりメシの極意』という本を、《本 日本 思想》に分類し直しました。すると、良心からの抗議の声は、聞こえなくなりました。

「ゆでたまご」、「ゆで卵」、「茹で卵」、「茹卵」、「茹でた孫」、「うでたまご」、玉子という字を使う場合もありますし、・・・どれがお好みでしょうか。私は「うで卵」なんです。方言なんでしょうか。たしかに、「おらが方じゃ」祖父母も父母も、そう言っておりました。

連れ合いに笑われるんですが、どうもこれが矯正できません。あの、殻をむかれたツルンとした姿形にふれると、「ゆで卵」より「うで卵」の方がふさわしいという思いが頭の中にあるからでしょう。

卵は安売りの日に、10個入りのパックで買います。二人暮らしになってからは余らせ気味でした。かつての一時期、卵の食べすぎがよくないように言われたじゃないですか。コレステロールが上がるとかなんとかって。その頭が少し残ってるんですね。なんの問題もないんだそうですね。

ということで、連れ合いにうで卵を作っておいてもらうようにしてるんです。いつでも食べられるように。連れ合いの作るうで卵は、ツルッと向けるんです。これは、玉子のおしりの方、空気溜まりのある方です。茹でる前に、おしりの部分をぶつけて穴を開けておくんです。そうすると、見事にツルッと向けるんです。

そのまま塩を付けて食べるのが大半ですが、「今日のお昼はパンにしようかな」なんて思ったら、うで卵と一緒に残ってる漬物を刻んでマヨネーズであえてタルタルソースにしたりすることがあります。

あと、あれです。生協で買ったうなぎを食べたときに、どうしてもタレが残りがちじゃないですか。そのタレを少し薄めて、むいたうで卵を付けておくんです。これは滅法うまいですよ。

『ひとりメシの極意』    東海林さだお

朝日新聞出版  ¥ 983

ひとりの食事を心底楽しめれば、人生最大の課題「孤独」もなんのその
特別対談 東海林さだお×太田和彦【前編】
第1章 冒険編 一番手っ取り早くできる冒険が「食」だ
第2章 孤独編 いじけても、ひがんでも、うまいものはうまい
第3章 探求編 小さいことにこだわらずに、大きいことはできない!
特別対談 東海林さだお×太田和彦【後編】
第4章 煩悶編 「メニュー選びにくよくよ」は、至福の時間
第5章 郷愁編 懐かしいもの、ヘンなもの大集合
第6章 快楽編 ああ!あれも、これも、ソレも食いたい!


《第3章 探求編》の初っ端に“ゆで卵は塩?”というのがあります。

そこでは、東海林さだおさんの、うで卵に対する愛を感じさせられました。「剥いたとたん愛着を覚える」と言うんです。これ分かりますね。そこに書かれていたことは、まさに私の思いと同じでした。次のように続きます。

「しっとりとして、軟らかく、押せばへこみ、まだ命あるもののように思い、思わず何か一言語りかけたくなる。しかもなにか温かくて、思いやりのある言葉をかけてやりたくなる」

これはまるで、孫を抱いたときに湧き上がってきたあの感情と同じじゃありませんか。

「手のひらにのせたゆで卵になにか語りかけている人を見たら、なんだか微笑ましく思い、つい目元が優しくなるはずです」

こうなると、これは確信です。うで卵に対する私たちの思いは、まさに孫に対するものであったわけです。完全無欠の、あの大理石でできているかのようなあの卵の白い肌は、孫の蒙古斑の入ったお尻を思わせます。

“ゆで卵は塩?”は、目玉焼きなら、塩もあれば醤油にソースと、どれにするかで人間性を問われるような議論を展開することもありうるのに、なぜ、ゆで卵は塩なのかという問題提起です。

しかも、そのような問題提起をしておいて、東海林さだおさんは、「ま、いいや、今回は大まけにまけて“塩で”ということにしましょう」と、この問題を解決してしまうんです。「大まけにまける」というわけのわからない技こそが、まさに最強ということになりましょうか。

そして、パラパラっと塩をふりかけて、まだその一粒一粒が卵の白い大理石の上で液化せず張り付いている状態を、塩のザラっと舌にくる感触を白身から黄身まで巻き込んで、この「うでた孫」を食べるのです。ああ、




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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