めんどくせぇことばかり 『ひとりメシの極意』 東海林さだお
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『ひとりメシの極意』 東海林さだお

私は駄目でした。

ご飯を外で、一人でお店に入って食べるというのが苦手です。やっぱり、人目が気になるんです。自分には自信がないくせに、人のことになると、心の中で不当な評価を下している私からすると、私も人から不当な評価を下されているに違いないと考えてしまうんです。いや違う。仮にその評価がどんなに低いものであったとしても、それを不当であると退けられるような価値のある人間ではないんです。

「その通りで御座います。恐れ入りました」と縄打たれて、八丈に向かう船に引かれて行く私です。お客ヅラしてお店に入って、偉そうにうまいものを食おうなんて、出来るわけがないんです。ましてや、酒まで飲もうなんて・・・。

何も分かってない若い頃は、この店がどうとか、あの店がどうとか、いつの間にか店と勝負して、意味もなく勝ち誇っていたりしました。かと思うと、逆に触れて、上のように卑屈になってね。結局は、どちらにしても、人目が気になって、素直に自分らしく振る舞えないんです。そうなると、美味いもまずいもありません。

だから、一人でお店に入って食べるというのが苦手です。かと言って、誰か人と一緒にお店に入って食べるというのも、よっぽど親しい人ならいいけど、そこそこの人と一緒にお店に入って食べるというのも、実はもっと苦手なんです。

というわけで、外に食べるなら、一人で店に入ります。

もう、昔みたいに、店と勝負に出ることはありません。勝ち誇ることもありませんし、卑屈に頭を垂れることもありません。だけど、それでも人目は未だに気になります。人目を気にしない傍若無人な客を見ることもありますから、そのくらいの緊張感はあった方がいいんだろうと思います。


『ひとりメシの極意』    東海林さだお

朝日新聞出版  ¥ 983

ひとりの食事を心底楽しめれば、人生最大の課題「孤独」もなんのその
特別対談 東海林さだお×太田和彦【前編】
第1章 冒険編 一番手っ取り早くできる冒険が「食」だ
第2章 孤独編 いじけても、ひがんでも、うまいものはうまい
第3章 探求編 小さいことにこだわらずに、大きいことはできない!
特別対談 東海林さだお×太田和彦【後編】
第4章 煩悶編 「メニュー選びにくよくよ」は、至福の時間
第5章 郷愁編 懐かしいもの、ヘンなもの大集合
第6章 快楽編 ああ!あれも、これも、ソレも食いたい!

誰かと視線がぶつかるっていうのは、人間にとってとてつもなく大きな問題なんですね。

例えば、店に入って、雰囲気を探るためもあって全体を見渡して、空いている席に適当に座って、何を食べようか壁にかかるお品書きを見渡そうとし線をあげた時、誰かと視線がぶつかったら。なぜその人は、自分の方に視線を向けていたのか。その人が見ていた何かとの間に私が割って入ってしまったのか。実は、ここは誰かが座っていた席で、たまたまトイレに立っているんだということを、視線で教えてくれているのか。こんな店に一人で入ってきた私を鼻で笑って視線を向けたのか。視線のぶつかったその人に対して、自分は今、どのような態度に出るべきなのか。

ずっと考え続けてきましたが、歳をとってきて、最近ようやく分かりました。

どうでもいいことでした。仮に、本当に何か意味があってこっちを見ていたんだとしても、間違いなく大したことではありません。

お店の人にしても、どんな客であっても、注文して、ご飯を食べて、お金を払ってくれる以上、お店の人が客に敵意を向けるとか、速く帰ってくれないかなとか、そんなこと思ってるはずがありません。思っているとしたら、その店は一刻も早く廃業したほうがいい。私の人生の中で、そんな店は一軒しかありません。

札幌にありました。さして遅くもない時間に店に入って、おつまみを注文してビールを飲んで、二本目を注文したところで、「それ飲んだら帰ってください」って言われました。

その店だけです。だから、ごはん屋さんで、また居酒屋で、あなたの周りを飛び交う視線は数限りなくありますが、そのいずれもが、あなたに悪意を抱くものではありません。人生の中で一度だけ、悪意を含んだ視線にぶつかるかもしれませんが、その時は仕方がない。討ち死にしましょう。

とても面白く、とても読み出がありました。食べることは、人生ですね。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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人生に必要なもの、一人の女性、一人の親友、一つの思い出、一冊の本。
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


















































































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