めんどくせぇことばかり 『世の中それほど不公平じゃない』 浅田次郎
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『世の中それほど不公平じゃない』 浅田次郎

しばらく押し入れで眠ってた本です。

猫が死んで、いろいろな片付けをしてたら、思いもしないところからこの本が出てきました。二〇一七年に出た文庫本です。だけど、元の単行本は二〇一三年に出てるんです。それも週間プレイボーイの中の一コーナーとしてスタートし、それが積もり積もって一冊の本になったわけですから、実際その相談が持ちかけられたのはもっと前ってことです。

そこから二〇一七年と思えば、そして今と思えば、ずいぶん時間が経ってます。それでも、その人生相談が色褪せないから集英社も二〇一七年になって、文庫として出したんでしょう。それを私は眠らしといて、今になって読んだわけですが、やっぱり色褪せてなんかいません。

この時、浅田次郎さんは六一歳。今、私、五九歳だから近いです。それからもう一つ共通するところを見つければ、ハゲてることかな。

小学校三年のときに遊んでいて、川に落ちて、顔を石にぶつけて上前歯が全部なくなりました。唇は口の右側にブラブラぶら下がってました。死んでもおかしくないんですが、助けられました。そこからずっと、三三歳になるまで、前歯四本入れ歯で、そのうち二本が銀歯でした。自分で言うのもなんですが、笑うとお獅子みたいで、大きなコンプレックスでした。

たまたま虫歯で歯医者に行ったら、子どものときの入れ歯が口にあってないと言われて、全部白い歯に変えました。ああ、良かった良かったと思ってたら、四〇代になって髪の毛が抜け始めました。ああ、なんてことだと思ってたら五〇歳に向けてすごい勢いで抜けていきました。

連れ合いに、「ごめん、ハゲる」と言ったら、「言われなくても分かる」と頭をペタペタされて、悔しいから残った部分も含めて坊主頭にしました。

銀歯の入れ歯の時も巣立ったけど、銀歯の入れ歯じゃなければ、どこかしら特異な見た目を抱えた人の気持ちなんか分かんなかったろうと思います。それと同じですね。ハゲなかったら、ハゲの気持ちはわからなかったでしょう。だから、ハゲて良かった。ああ、良かった。良かった。

そしてこう思うことにしました。「このハゲオヤジ」とか、「どんな手を使ってもこの人みたいなハゲにはなりたくない」とか、「みっともないんだよ、このハゲ」とかって私に対して思ったやつがいるとしたら、その瞬間にそいつは人間として敗北している。私の人生に幸多かれ。できれば、・・・これからでもいいから生えてこい。

ちなみに、浅田次郎さんはハゲに関しては、まったくコンプレックスがないんだそうです。



集英社文庫  ¥ 583

金髪美女を彼女にしたい。うつ病が辛い。結婚ってなぜするの?競馬の極意を教えて!
第1章 男と女
第2章 家族・友人
第3章 仕事
第4章 バクチの極意
第5章 日本に生まれて
第6章 人生


浅田さんの書く人物を考えれば分かります。

男と女は当たり前に惹き合うもの。惹かれ合って一緒になったものなら、お互いに大事にすることです。大事にするにも男には男なりに、女には女なりに仕方があって、それなりの仕方で一生懸命大事にすることです。子どもができたら、何が何でも守り通す。世代をつなぐのが生きるものの務めです。世代をつないだら、死んじゃう生き物も多いじゃないですか。人間だったら、子どもが自分の力で生きていけるようになるまでは、何が何でも守り通すということです。自分の親がまだ健在なら、そんな思いで育ててもらったんだから、そう思って面倒見るんですね。

そんな生き方ができれば、他のことは、まあ、いいんじゃないでしょうか。

ここに来て、昭和のやり方が非難の対象になっているけど、そういうのは大概やりすぎるんですよね。私の周辺にも、そのやりすぎが感じ取れるようになったんで、定年前に仕事をやめてしまいました。教員でしたけどね。たしかに私のやり方は昭和でしたから。

だけど、昭和だろうか、平成だろうが、令和だろうが、本当に大事なことっていうのは変わらないんじゃないでしょうか。この本を読んでいても、いろいろな人生相談に対する浅田次郎さんのお答えは、明らかに昭和です。

昭和の子どもが親から言われました。

嘘を付くな。(私は嘘つきだけど)
卑怯なことはするな。
人は見た目じゃなくて心だ。
困った人には親切にしろ。
大人にあったら挨拶をしろ
男は男らしく、女は女らしく。

時代を攻撃してより良い社会を作っているつもりが、いつの間にか誰も幸せになれない窮屈な世の中を作ってたなんてことにならなきゃ良いんですけど。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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