『激変する世界を先読みする』 佐藤優 副島隆彦
そうですね。日本国憲法は、マッカーサーに押し付けられたものとは言え、多くの日本人がありがたがってますね。その多くの日本人がありがたがってる日本国憲法は、「平和を愛する世界中の皆さんとともに歩みます」なんて言ってるわけですから、夢でも見ているかのような憲法なわけです。
だけど、皇室典範によれば、天皇の位に付けるのは「男系の男子が皇統を継ぐ」とあります。皇室典範は女性差別ということです。
そう、世界基準から見たら、女系の天皇を認めない法律は、男女平等に反しています。もちろん憲法違反ですから、法務省人権擁護局が動かなければいけない事案ということになります。
もちろん、皇族は“国民”じゃありませんから、それはあたりませんけど。
マッカーサーがおかしく作り変えちゃったから、前と後ろ、上と下が逆転しちゃってるんですね。皇室典範というのは、本来、皇室の家訓みたいなもんですから、法律でどうのという話じゃないわけです。家の中の家族の問題まで自由にできないわけですから、それこそ人間扱いされていませんよ。
いずれにせよ、そんな話が交わされています。危ないったらありゃしません。特に危ないのは副島さんです。
「松岡が騙されたときに、昭和天皇も一緒に騙された。だから昭和天皇がもう少し頭がよければ、あと、一歩踏み」こんで「ソ連を攻めていたら、世界史は変わっていました」なんてことを言ってます。
そんな危険な会話がかわされる背景には、二人の間に共通する、危機感があるんだと思います。
世界の歴史を調べると、どこの国もだいたい八〇年に一度、戦争をしているんだそうです。副島さんは世界体制の変動が五年後の二〇二四年に起きると見立てていて、それが戦後八〇年目にあたるんだそうです。
戦争の記憶が希薄になって、悲惨さが受け継がれなくなり、また戦争を始めてしまうような、人間っていうのはその程度の生き物であると、副島さんは言います。


「歴史は繰り返す」という言葉がありますが、今の出版界に戦前とよく似た状況があるんだそうです。
これは佐藤さんの話ですが、戦前の日本の出版界にも、同じように「日本すごいぞ本」が氾濫していたんだそうです。現代の日本人のナショナリズムが、排外的なヘイト本や、自己愛あふれる「日本すごいぞ本」で形成されるのは、かなり危険な兆候であると言ってます。
まあ、戦争っていうのは、一人で出来るものでもないですから、日本の状況だけを見て危険だっていうのは、いかがなもんでしょう。日本国憲法を支える精神にもある通り、あの戦争がまったく日本の侵略意図によって行われたものであると信じるのであれば別ですが。
戦後の日本っていうのは、ある時期まではけっこうまともだったと思うんです。でかい戦争をして、ハデに負けて、日本の国は潰れました。本来の日本を取り戻すには、何百年かかることかという負け方です。
だけど、稚拙な対応で国を潰したものの、なぜそこに至ったかをみんな知っていました。知ってる人たちが世の中を支えていました。大きな変化は、その人たちが世の中の一線を退いてからでしょう。七〇年代、あるいは八〇年代以降。左翼系の勢力がとても力をつけました。それを支えたのが、まさに日本国憲法をありがたがる世代でしょう。
GHQの意思も教育を通して浸透し、あの戦争は日本による侵略戦争で、あんな戦争をした大人たちは馬鹿だったんじゃないだろうかと、そんな時代ですね。出版界もやりたい放題に日本をこき下ろしてました。佐藤さんの言うような現象の、まさに正反対ですね。
今もし、出版界の状況に目に余るものがあるとすれば、それはかつての、逆な意味でひどかった時代の揺り返しでしょう。・・・私は、今が、佐藤さんが言うほど悲惨な状況だとは思いませんが。
それに、戦争に負けた日本が、日本人が、世界からどんな目に合わされたのか、本当の意味で言い尽くされたでしょうか。満州から引き上げた人々は、どんな目に合わされたでしょうか。東京大空襲は、広島、長崎の悲劇の責任は、日本なんでしょうか。
日本人は、負けた側ですから、よく語り継いでいる方だと思います。本当に心配しなければならないのは、違うことのように思うんですが。
だけど、皇室典範によれば、天皇の位に付けるのは「男系の男子が皇統を継ぐ」とあります。皇室典範は女性差別ということです。
そう、世界基準から見たら、女系の天皇を認めない法律は、男女平等に反しています。もちろん憲法違反ですから、法務省人権擁護局が動かなければいけない事案ということになります。
もちろん、皇族は“国民”じゃありませんから、それはあたりませんけど。
マッカーサーがおかしく作り変えちゃったから、前と後ろ、上と下が逆転しちゃってるんですね。皇室典範というのは、本来、皇室の家訓みたいなもんですから、法律でどうのという話じゃないわけです。家の中の家族の問題まで自由にできないわけですから、それこそ人間扱いされていませんよ。
いずれにせよ、そんな話が交わされています。危ないったらありゃしません。特に危ないのは副島さんです。
「松岡が騙されたときに、昭和天皇も一緒に騙された。だから昭和天皇がもう少し頭がよければ、あと、一歩踏み」こんで「ソ連を攻めていたら、世界史は変わっていました」なんてことを言ってます。
そんな危険な会話がかわされる背景には、二人の間に共通する、危機感があるんだと思います。
世界の歴史を調べると、どこの国もだいたい八〇年に一度、戦争をしているんだそうです。副島さんは世界体制の変動が五年後の二〇二四年に起きると見立てていて、それが戦後八〇年目にあたるんだそうです。
戦争の記憶が希薄になって、悲惨さが受け継がれなくなり、また戦争を始めてしまうような、人間っていうのはその程度の生き物であると、副島さんは言います。
『激変する世界を先読みする』 佐藤優 副島隆彦 日本文芸社 ¥ 1,620 衝突する超大国、北方領土交渉の行方。時代の先を読む最強の近未来予測 |
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「歴史は繰り返す」という言葉がありますが、今の出版界に戦前とよく似た状況があるんだそうです。
これは佐藤さんの話ですが、戦前の日本の出版界にも、同じように「日本すごいぞ本」が氾濫していたんだそうです。現代の日本人のナショナリズムが、排外的なヘイト本や、自己愛あふれる「日本すごいぞ本」で形成されるのは、かなり危険な兆候であると言ってます。
まあ、戦争っていうのは、一人で出来るものでもないですから、日本の状況だけを見て危険だっていうのは、いかがなもんでしょう。日本国憲法を支える精神にもある通り、あの戦争がまったく日本の侵略意図によって行われたものであると信じるのであれば別ですが。
戦後の日本っていうのは、ある時期まではけっこうまともだったと思うんです。でかい戦争をして、ハデに負けて、日本の国は潰れました。本来の日本を取り戻すには、何百年かかることかという負け方です。
だけど、稚拙な対応で国を潰したものの、なぜそこに至ったかをみんな知っていました。知ってる人たちが世の中を支えていました。大きな変化は、その人たちが世の中の一線を退いてからでしょう。七〇年代、あるいは八〇年代以降。左翼系の勢力がとても力をつけました。それを支えたのが、まさに日本国憲法をありがたがる世代でしょう。
GHQの意思も教育を通して浸透し、あの戦争は日本による侵略戦争で、あんな戦争をした大人たちは馬鹿だったんじゃないだろうかと、そんな時代ですね。出版界もやりたい放題に日本をこき下ろしてました。佐藤さんの言うような現象の、まさに正反対ですね。
今もし、出版界の状況に目に余るものがあるとすれば、それはかつての、逆な意味でひどかった時代の揺り返しでしょう。・・・私は、今が、佐藤さんが言うほど悲惨な状況だとは思いませんが。
それに、戦争に負けた日本が、日本人が、世界からどんな目に合わされたのか、本当の意味で言い尽くされたでしょうか。満州から引き上げた人々は、どんな目に合わされたでしょうか。東京大空襲は、広島、長崎の悲劇の責任は、日本なんでしょうか。
日本人は、負けた側ですから、よく語り継いでいる方だと思います。本当に心配しなければならないのは、違うことのように思うんですが。

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