めんどくせぇことばかり 『王家の遺伝子』 石浦章一
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『王家の遺伝子』 石浦章一

言語による歴史というのは、勝者のみに、綴るのとが出来るものです。敗者には、言語で歴史を綴ることはできません。でも、遺伝子は、勝者であっても、それに手を加えることはできません。

捻じ曲げられてしまった歴史を、遺伝子を研究することで解き明かすことが出来るケースって、どんだけあるでしょうね。

この本の中でも多く扱われているのは、エジプトのファラオを対象に行われたDNAの解析です。確かに、復活を信じて自らをミイラ化したファラオたちであれば、数千年の歳月を経て現代にDNAを提供してくれることもあるでしょう。ファラオたちの墳墓の多くは盗掘に合い、多くの財宝が失われたそうですが、研究者にとって最高の“財宝”であるファラオのミイラは持ち去られていなかったんですね。

物質としてのDNAが残っている限り、それに記録されている過去は、飛躍も欠落もなく現代に伝わるわけです。著者の言葉ですが、「遺体の残された王家の遺伝子こそ、言語で記された歴史からだけでは見えない史実を、今に伝えてくれる」ということです。

おお、面白そうですね。

二〇一二年に、英国のレスター市の駐車場から掘り出された人骨、「駐車場の王様」はリチャード三世の遺骨とされ、世界から注目されたそうです。シェイクスピアはお好きですか。私はそんなに好きというわけではないんですが、『ヘンリー六世』と『リチャード三世』は読みました。

シェイクスピアの描くリチャード三世は、体のバランスが悪く、背中に瘤を抱えたせむしで、顔は見にくく歪み、びっこを引き、不具と笑われ、そばを通れば犬が吠えかかるような哀れな存在でした。

リチャード三世は、長兄王エドワード四世の後継者と目されたエドワードとその弟のリチャードを殺し、次兄クラレンス公と自らの妻である王妃アンまで手にかけた極悪非道な王。

・・・ああ、シェイクスピアが書いたように、私も思ってました。

リチャード三世は薔薇戦争の終末に戦士し、遺体は辱められて修道院に埋葬されたそうです。ところが、ここが、自分の女関係の都合から宗教改革を断行したヘンリー八世によって解体され、墓の正確な一も分からなくなってしまったんだそうです。そこが駐車場になってたんですね。



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!?「勝者の歴史」が覆い隠した「王家の真実」を、最新生命科学が解明する!
プロローグ 欺かれたシェイクスピア
第1章 駐車場から掘り起こされた遺体 行方不明だった国王の秘密
第2章 DNAは知っている 遺伝子で何がわかるか、何ができるか
第3章 リチャード3世のDNAが語る「身体改造」の未来 デザイナーベイビー
第4章 「ツタンカーメンの母」は誰か? ミイラに遺されたDNAからわかった
第5章 「エジプト人」とは何者か? DNAが語る人類史
第6章 ジョージ3世が患っていた病 歴史は科学で塗り替えられる
第7章 ラメセス3世殺人事件 DNAによる親子鑑定の可能性とその限界
第8章 トーマス・ジェファーソンの子どもたち DNAだけがすべてか?


遺骨からは、戦いが激しいものであることがわかるそうです。頭蓋骨、上顎骨や骨盤に外傷があり、全身の傷は一一箇所を越えたそうです。ただし、リチャード三世は鎧を着ていたはずなので、鎧を脱がされたあとに付けられた可能性もあるそうです。

何れにせよ、それだけの激しい戦いを指導するだけの、強靭な身体を持った人物だったようです。


《トット・アンク・アメン》って、誰のことか分かりますか。

これ、世界史の授業での、生徒への問いかけでよくやりました。まず、分かりません。次の問いかけは、「じゃあ、これを何度も何度も繰り返し、だんだん早く言ってごらん」となります。

そのうち、誰か一人くらいは気がつくんです。・・・「ツタンカーメン?」

ところが、近年は、その《ツタンカーメン》という言い習わされた名前すら聞いたこともないっていう高校生が増えてしまってね。そういう場合は仕方がありません。漫画の遊戯王の方向に持っていきます。

遊戯王に持っていった場合、仮にオシリスとイシスとかの方に行っちゃって、エジプト神話になっちゃうと、授業の一時間や二時間は吹っ飛びます。そっちに行かずに、遊戯王という漫画の中の王家と神官団の抗争を題材にできれば、アメンホテプ四世の宗教改革、あるいはアマルナ革命に引っ張っていければ、そこからさらにツタンカーメンに戻ってこれるかもしれないですね。

最終、第八章《トーマス・ジェファーソンの子どもたち》も微妙な話ですね。ジェファーソンは正妻が死んだあと、サミー・ヘミングスを実質上の妻としたが、サミー・ヘミングスはジェファーソンの奴隷だからね。もちろん、この本にはその顛末も欠かれているけどね。

んんん、DNAによる解析というのは、いろいろなことを明らかにしちゃいそうですね。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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