めんどくせぇことばかり 『ブルボン朝』 佐藤賢一
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『ブルボン朝』 佐藤賢一

一七日に、地域敬老会というのがあるんです。

敬老会は、もともとは市役所が、公民館にお年寄りを招いて開催していたんです。だけど、遠方では参加できないとか、座って話を聞いたり、出し物を見てるだけで物足りないという意見があったらしく、地元の自治会単位で開催して、市はそれに助成金を出すという形になったらしいんです。地元自治会で開催するなら、いつものお友達と、ビールでも飲みながら、お昼ごはんをごちそうになりながら、お話に花を咲かすこともできるでしょう。

ただ、役員は、段取りを付けなきゃいけなくてね。助成金は、七〇歳以上の参加者に対して、一人あたり一五〇〇円。弁当に、お茶菓子、飲み物を用意して、ゲームは景品を準備してのビンゴ、あとはマジックのボランティアさんをお願いしてあります。

準備はしたので、あとは皆さんに楽しんでもらえれば、それでいいんです。だけど、参加者全員が私より年長の方だけですから、いろいろと気遣いで、・・・ああ、早く終わんないかな。

八月下旬に、この本を題材にアンリ四世の事をブログに書きました。ホッとして、ちょっと他の本に手を伸ばしたら、この本に戻ってくるのが遅くなってしまいました。新書とは言え四四九ページのボリュームです。書かれているのはブルボン王朝史なわけですから、この読み応えにはゲップが出ちゃうほどでした。

だってそうですよ。このブルボン朝の王様たちは、初代のアンリ四世にしてもそうだけど、あんまりにも濃い人たちばかりなんです。

今、大学入試で世界史を選択する人は減少しているようですが、あたり前のことですね。馴染みというものがありませんから。にもかかわらず、これまでの長い間、世界史が必修で、日本史は必修から外されてたんですよね。これ一つとっても、文科省ってのが、ひいては官僚組織ってのが、なにか根本的な問題を抱えているってことが分かっちゃいますね。

そんな中でも、ルイ一四世は知ってるでしょう。ルイ一六世は知ってるでしょう。マリー・アントワネットは知ってるでしょう。この頃、まさに世界は、・・・世界って言っても西ヨーロッパっていう狭い世界には違いないんですけど、それはフランスを中心に回っていたわけですから。

そのぐらいの期待はしちゃうわけですけど、残念ながら、《ベルサイユのばら》は遠い過去の漫画。それを、再放送ではあってもやってるうちは、たしかにルイ一六世、マリー・アントワネット、フェルゼン様なんて言えば、多くの女子生徒が反応していましたが。今の高校生には通じません。ましてやルイ一四世においておや。

『ブルボン朝』    佐藤賢一

講談社現代新書  ¥ 1,080

フランス王朝史の白眉、 3つの王朝中、最も華やかなブルボン朝の時代を描く

はじめに ブルボン家とは何か
第1章 大王アンリ四世(一五八九年~一六一〇年)
第2章 正義王ルイ十三世(一六一〇年~一六四三年)
第3章 太陽王ルイ十四世(一六四三年~一七一五年)
第4章 最愛王ルイ十五世(一七一五年~一七七四年)
第5章 ルイ十六世(一七七四年~一七九二年)
第6章 最後の王たち
おわりに 国家神格化の物語


ブルボン朝ってのは、フランスをフランス為らしめた時代ということでいいでしょうか。

カトリックとユグノーの間で、血で血を洗うかのように殺し合った時代。フランス人であるよりも、カトリックであるか、ユグノーであるかが優先していた時代。そんな時代にあって、大王アンリ四世は、なによりもフランス人であることを優先しました。フランスのためであるならば、カトリックであろうが、ユグノーであろうが、躊躇はありませんでした。だからこそ、ヴァロア朝の末期を大混乱させた宗教戦争に終止符を打つことができました。

ルイ一三世時代の宰相リシュリューもそう。なによりもフランスを優先しました。それがフランスのためと思うなら、うちにユグノーと戦いながら、そとではカトリックを敵に回しました。

ルイ一四世の幼少期、宰相マザランはリシュリューの戦争を引き継ぎ、そのすべてをフランスにとって有利に終わらせました。しかし、それでもフロンドの乱という内乱は起こりました。古い時代にあぐらをかいた勢力は、すべてのことがフランスという国家に結び付けられていくことを拒んだのです。

親政を始めたルイ一四世は、《フランスの栄光》のもとに人々を結集させる道を進みました。一つには対外戦争を戦い続けました。しかし、それだけでは、なし得なかったのです。対外戦争だけで話し得なかったものを、ルイ一四世は文化を高めることで成し遂げようとしました。ヴェルサイユ宮殿はまさにその象徴で、そこには面白い文学も、最先端の学問も、おいしい食事も、憧れのファッションも、まさに魂を奪われるような文化がありました。「フランス人で良かった。こんな素晴らしい国に生まれてよかった」とフランス人に思わせることになったのです。

ルイ一五世の時代、寵妃ポンパドール婦人の権勢に並ぶものはありませんでした。しかし、そのポンパドール婦人はフランスのために国政をとりました。そして、この時代も、フランスは文化の最先進国でした。ポンパドール婦人が文化を保護し、最高の文化をヴェルサイユに集めたからです。啓蒙思想家の保護にも、彼女は積極的でした。百科全書派の『百科全書やモンテスキューの『法の精神』が発禁になれば、その取消にも尽力しました。『社会契約論』のルソーに逮捕状が出れば、その撤回の運動をしました。たとえ王家の否定に通じるものでも、それが優れた文化として光を放つなら、受け入れなければならない。受け入れなければ、フランスは文化大国としての求心力を維持できなくなり、フランスの輝きが失われると考えたのです。

ルイ一六世時代は、・・・

フランス革命には、・・・あそこまで過激化しない、もっと穏便な道はなかったでしょうか。異常気象による食糧不足ってことが大きく絡んでるんだと思うんですが。

ナポレオン戦争後、王政復古以降、三人のブルボン朝の王が交代しています。著者の佐藤さんは、フランス人が自信を持って共和制を行えるまでの中継ぎ、あるいは一次避難というのが三人の王に求まられた役割だと言っています。・・・まさにそうですね。

近代的な国家が成立していく過程で、多くの試行錯誤が繰り返されました。日本もそうでしたね。かと思うと、アメリカみたいにそうじゃない国もあります。本国イギリスに反抗して独立しただけの話ですから。だけど、かつての試行錯誤が、次の大きな転換点において、それを乗り越えるための大きな力に、きっとなってくれると思います。

アメリカには悪いけど。




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ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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