めんどくせぇことばかり 『台与の正体』 関裕二
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『台与の正体』 関裕二

纒向遺跡の発掘が進んで、ヤマト建国が渡来系の征服王によってなされたものでないことが明らかにされてきました。各地域の首長がヤマトに集まり、そこから緩やかな連合体が生まれていったもののようです。そこにおいては、東日本の勢力が大きな役割を果たしていたことも明らかにされつつあります。

弥生時代後期の日本列島は戦乱の時代で、まさに“倭国大乱”。しだいに地域ごとに集約された勢力が、中でも鉄の流通を巡って争っていたはずです。ところが三世紀初頭に、纏向に各地の人々が集まります。食事のために持ち歩いた土器の種類から、様々な地域の人たちが集まってきたことが分かります。

様々な地域の埋葬文化を取り入れた前方後円墳が出現し、四世紀になると、ヤマトに生まれた前方後円墳という祭祀の形態を、様々な地域の首長が受け入れていったことが分かります。

しかし、纏向は邪馬台国ではありません。《魏志倭人伝》に書かれた“城柵”が纏向にはありません。さらに“邪馬台国は狗奴国と争った”と書かれていますが、纏向に戦争の痕跡はありません。

つまり、多くの地域の人々の纏向への集結はヤマト政権の誕生であっても、それは邪馬台国ではないということでしょう。

上述した、纏向で発見されている様々な地域の土器を、割合の多い順に示すと、東海系、北陸・山陰系、河内系、吉備系、近江系、関東系、播磨系、西部瀬戸内海系、紀伊系となるそうです。なかでも東海系は四九%と突出しているそうです。さらに関東系が五%、近江系が五%で、畿内よりも東国で五九%になります。

ヤマト政権の成立に、東国が重要な役割を果たしのは間違いないでしょう。


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卑弥呼をついだという台与に着目し、歴史作家・関裕二が古代史最大の謎に迫る!
第1章 台与と邪馬台国と神功皇后
第2章 ヤマト建国と近江
第3章 ヤマト建国の真相
第4章 神功皇后と近江
第5章 神功皇后と台与の正体


しかし、日本書紀は、ヤマト建国に関わる東国の役割を、まったく書いていません。日本書紀が書いているのは、出雲の国譲り神話。その後、天孫ニニギは日向に天下りし、その曾孫に当たる神武天皇が東征し、ニギハヤヒから譲られてヤマトに入っています。出てくるのは高天原という架空の場所、出雲、日向、ヤマトの四ヶ所です。東国、中でも東海の勢力は完全に無視されています。この東海の勢力こそ、古代豪族の尾張氏だと関さんは言ってます。

尾張氏と言えば、ヤマトタケルは尾張でミヤズヒメと結ばれます。草薙の剣をミヤズヒメに預けたヤマトタケルがそのまま亡くなったため、草薙の剣をは今でも熱田神宮に祀られています。

出雲の国譲りの前、出雲の神の大物主は三輪山に祀られていますから、出雲はヤマト建国よりも前にヤマトに入ってるんです。その後、天上界からニギハヤヒがヤマトに舞い降りています。ニギハヤヒは物部氏の祖で、物部氏が拠点を構えた場所から吉備系の土器が出土していることから、物部氏は吉備からやってきた勢力のようです。

物部氏は“モノ”に対する仕事をする氏族ですから、ヤマト朝廷における祭祀形態を整えた氏族で、政権の中枢にあったはずです。前方後円墳の原型は、吉備の楯築弥生墳丘墓にあるそうです。

出雲神話で、国譲りを強要するために、最後に送り込まれたのが経津主命と武甕槌神です。経津主命は物部系、武甕槌神は尾張系の神と言われるそうです。たしかに、経津主命と武甕槌神といえば、千葉県の香取神宮、茨城県の鹿島神宮の祭神。まさに東国の神ですね。ということは、ヤマトまで手中にしていた出雲に対して国譲りを迫ったのは、物部と尾張ということになるんでしょうか。

ヤマト建国に関わる物部と尾張というあまりにも大きすぎる存在をなかったことにするために、高天原というわけの分からない架空の場所が想定されたというわけですか。

誰がって、藤原不比等がです。

あまつさえ成り上がりの藤原氏は、藤原氏の氏神である春日大社に経津主命と武甕槌神を、藤原氏の守護神として祀っています。

もし関さんの謎解きが事実に近いような気がするんですが、もし本当にそうなら、恥知らずにもほどがあります。




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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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