『旅の窓からでっかい空をながめる』 椎名誠
風速60メートルじゃどうにもならないですね。
春山の那須岳で風速40メートルというのを経験したことがあります。西風に追われながら那須岳を登ったんですが、急な上りがホイホイ登れて、その事自体が怖かったです。風が弱まるのを待って稜線に出ましたが、それでも突風に持って行かれそうになって、身を低くしてやり過ごしました。
それを超える風速60メートルですから、やはり千葉県の状況は納得できるものです。台風の東側に入れば、私の住む埼玉だって、千葉と同じ状況になったはずです。
ですが、埼玉県は自然災害に強いです。台風は山が嫌いで、海が好きですね。山岳地帯を避けて海を進んだ結果が今回のルートなら、やはり埼玉県は、台風被害にも合いにくいのかもしれません。
いずれにせよ、今の首都圏は自然災害に見舞われると、本当に脆弱ですね。便利な世の中にしすぎてしまったことも、その要因の一つかもしれません。しかも、地域の連帯どころか、家族のつながりだって希薄になってますから。
地域に何らかの問題が生じている場合には、自助、互助、共助、公助を連携させることで課題解決に向けての道筋を確実なものにしていく人用があると言われます。だけど、家族のつながり、地域の連帯が希薄な昨今、自助からいきなり公助に飛んでしまいます。
これが戦後の日本人が作りたかった世の中なんでしょうか。


ラオスの子どもたちは、よく働くそうです。
カンボジアとの国境に近いあたりでは水道など来ていないので、家で使う水を汲むのは女の子たちの毎日の仕事だそうです。水場でバケツに水を汲み、天秤棒で担いで家まで運びます。ある女の子は300メートルほどの距離を3往復くらいするそうです。
日本の民間視察団体がその村を訪れたことがあって、藪の中に入っていくのに便利なビーチサンダルを300足もプレゼントしてくれたんだそうです。そして、「可愛そうだから、子供を働かせるな」というようなことを言ったんだそうです。
水汲みが大変な仕事であることは事実です。それがために、親が娘を学校にも行かせないような問題が一般的にあるなら、それはラオス社会が早急に取り組まなければならない問題です。ラオスの求めに応じて、日本の各階層からいろいろな協力も出てくるでしょう。
だけど、自分のものさしを相手に当てて、こうあるべきだいう思い込みは、胸糞悪いだけの話だと思います。
《水汲みの女の子などはその水汲みの往復でバランスの良い丈夫な全身の筋肉を作り、やがて健康な子供が埋めるだろう》
この椎名誠さんの言葉を受け入れがたいと思われる人がいれば、その人の窓からは、でっかい空をながめることはできないでしょう。
《子供が家の仕事をするのは当たり前》ではなくなってしまったことは、やはり日本の不幸です。私は家から解放された子どもたちが心配です。女たちが哀れです。解放を求めることが正義と煽り立てた人たちを、実は私、信用しておりません。
春山の那須岳で風速40メートルというのを経験したことがあります。西風に追われながら那須岳を登ったんですが、急な上りがホイホイ登れて、その事自体が怖かったです。風が弱まるのを待って稜線に出ましたが、それでも突風に持って行かれそうになって、身を低くしてやり過ごしました。
それを超える風速60メートルですから、やはり千葉県の状況は納得できるものです。台風の東側に入れば、私の住む埼玉だって、千葉と同じ状況になったはずです。
ですが、埼玉県は自然災害に強いです。台風は山が嫌いで、海が好きですね。山岳地帯を避けて海を進んだ結果が今回のルートなら、やはり埼玉県は、台風被害にも合いにくいのかもしれません。
いずれにせよ、今の首都圏は自然災害に見舞われると、本当に脆弱ですね。便利な世の中にしすぎてしまったことも、その要因の一つかもしれません。しかも、地域の連帯どころか、家族のつながりだって希薄になってますから。
地域に何らかの問題が生じている場合には、自助、互助、共助、公助を連携させることで課題解決に向けての道筋を確実なものにしていく人用があると言われます。だけど、家族のつながり、地域の連帯が希薄な昨今、自助からいきなり公助に飛んでしまいます。
これが戦後の日本人が作りたかった世の中なんでしょうか。
新日本出版社 ¥ 1,728 旅が奏でる爽風と情味あふれるフォトエッセイ!椎名誠の世界ゆったり紀行 |
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ラオスの子どもたちは、よく働くそうです。
カンボジアとの国境に近いあたりでは水道など来ていないので、家で使う水を汲むのは女の子たちの毎日の仕事だそうです。水場でバケツに水を汲み、天秤棒で担いで家まで運びます。ある女の子は300メートルほどの距離を3往復くらいするそうです。
日本の民間視察団体がその村を訪れたことがあって、藪の中に入っていくのに便利なビーチサンダルを300足もプレゼントしてくれたんだそうです。そして、「可愛そうだから、子供を働かせるな」というようなことを言ったんだそうです。
水汲みが大変な仕事であることは事実です。それがために、親が娘を学校にも行かせないような問題が一般的にあるなら、それはラオス社会が早急に取り組まなければならない問題です。ラオスの求めに応じて、日本の各階層からいろいろな協力も出てくるでしょう。
だけど、自分のものさしを相手に当てて、こうあるべきだいう思い込みは、胸糞悪いだけの話だと思います。
《水汲みの女の子などはその水汲みの往復でバランスの良い丈夫な全身の筋肉を作り、やがて健康な子供が埋めるだろう》
この椎名誠さんの言葉を受け入れがたいと思われる人がいれば、その人の窓からは、でっかい空をながめることはできないでしょう。
《子供が家の仕事をするのは当たり前》ではなくなってしまったことは、やはり日本の不幸です。私は家から解放された子どもたちが心配です。女たちが哀れです。解放を求めることが正義と煽り立てた人たちを、実は私、信用しておりません。

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