めんどくせぇことばかり 『失踪者』 下村敦史
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『失踪者』 下村敦史

ラグビーワールドカップも、残すところ三位決定戦と決勝の二試合のみとなりました。今日、三位決定戦。明日はいよいよ決勝戦ですね。

まったく、これが始まった頃は、あまりの蒸し暑さの中の試合で、汗が滝のように流れ、滑ってノックオンが続発。練習の時から手に油を塗って、それでもボールを落とさないように訓練したなんて言ってました。開幕戦となった日本対ロシアの試合は9月20日でした。

ここ二日ほどは、夜明け前に走っていても、後半は手がかじかんできて、そろそろ軍手が必要かななんて思ったりします。10月12日の台風19号と25日の豪雨には埼玉もやられましたが、千葉はそのひと月前の9月9日には台風15号にもやられています。日本対ロシアの試合の11日前のことですね。

その翌日、私は台風一過の晴天を狙って上越の山、平標と仙ノ倉に登りました。そこに向かう車の中で、ラジオは、停電している地域の人々に向けて、猛暑を避けて冷房施設のある場所に避難するよう呼びかけていました。

ラグビーの各国代表選手も、外国から応援に駆けつけた人々も、日本の豪雨災害や季節の移り変わる様子に、さぞビックリされていることでしょう。

今日ご紹介するのは、『失踪者』という本です。この本を選んだのは、・・・いつもながら、たまたまです。

下村敦史さんという作家さんは、推理小説を書く人だそうです。

その下村敦史さんが、山を舞台に書いた推理モノ、いわゆる山岳ミステリーというやつですね。私も山好きとは言え、ここに出てくる山はエベレストだのK2だのって山ですから、そういうところで感情移入できるわけではないんですが、ヒヤッとして経験はいくらでもありますからね。山とひたすら向かい合うってところでは、一緒だと思うんです。

さてこの物語、二人の男の物語です。一人は山岳カメラマンの真山道弘。もう一人は大学時代からの山の友人で孤高のアルピニストの樋口友一。物語は10年前にペルーのブランカ山群、シウラ・グランデ峰でクレバスに落ちた樋口友一の遺体を10年ぶりに回収しようと、真山道弘がペルーにやって来たところから始まります。

10年前に樋口が落ちたクレバスに懸垂降下し、真山はクレバスのそこに立ちます。そこに倒れ伏す樋口を発見し、真山は樋口と対面します。しかし、・・・


『失踪者』    下村敦史

講談社文庫  ¥ 858

ありえない、そんなはずはない。10年前、あいつは死んだはずだった

極寒の氷雪峰に置き去りにされ、
“時”とともに氷漬けになったはずの友。
しかし、対面した遺体は明らかに歳をとっていた……


10年前にクレバスのそこに叩きつけられて死に、そのまま氷漬けになったはずの樋口の遺体は、明らかに10年前よりも歳をとっていたんです。

真山は動揺します。樋口は10年前に死んでいなかったとしか考えられません。クレバスに落ちたものの命を落とさなかった樋口は、傑出した登坂技術と強靭な精神力でクレバスを脱出し、生還を果たしたんです。生還を果たしながら何らかの理由で真山に連絡も取らずに生活し、後に、自分が以前に落ちたクレバスに入って自ら死んだということになります。

山岳ミステリー作家は、このありえないような出来事を、どう形作っていくんでしょうか。・・・うまいもんですね。ワクワクしながら読んじゃいました。

樋口はすでに死んでいます。ですから、樋口は、ほぼ真山の思い出の中にしか登場してきません。先に、この物語は二人の男の物語と申し上げましたが、言い直します。この物語は、真山という親友を得たことで自分の人生にはじめて意義を見出した、樋口友一という男の物語です。

「人の人生は、もっと単純でいい」

この本を読んで、つくづくそう感じました。仕事をしていると、かつ、家庭を持っているとね。なかなか単純に割り切れないことが多くてね。

たとえば仕事なら、組織で仕事してれば、「そりゃ違うだろ」ということも受け入れなきゃいけないこともあるわけです。好きで一緒になった連れ合いに関しても、可愛くてしかたない子どもたちに関しても、それだからこそ、つまらないぶつかりあいをすることもあるわけです。なにしろ、玉はとんでもないところから飛んできますからね。

だけどそんなことに関わっていると、だんだん、意味もなく削れてきちゃうんですよね。そうなると、次第に見失っていってしまう。

そういうことを考えると、仕事をやめたことはいい機会です。単純な人生を送ることは、今なら可能な気がします。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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