『日本の海が盗まれる』 山田吉彦
次兄の長男が結婚して、今度、本家のある秩父の寿司屋で、親族だけで集まって食事会をしようという。
兄からは、気軽な会だから、平服でとメールを貰った。連れ合いにそれを伝えると、平服ってどんな感じだろうと言う。平服っていうんだから平服だろうと答えると、平服というのが、実は一番やっかいなんだよという。そういうことで連れ合いと競り合っても勝てるはずがないので、早々に白旗をあげる。
結局、命令されて、「兄貴はどんな服?」兄にメールで聞くことになる。しばらくして、兄からメールが来る。「背広にパンツ」
その姿を思い浮かべて、笑いが止まらない。腹が捩れる。
私は男ばっかり三人兄弟の三番目。私たち兄弟は、年に三度くらいは会う機会があるのだが、私たちの子供の世代が全部集まるのはずいぶん久しぶりだろう。いつだったか、子どもたちがまだ小さかった頃、全員で夏の祭りに出かけたことがある。その時は、もう亡くなった父と母も一緒だった。
通りに面した店の、外に置かれたテーブルに陣取って、はしゃぎまわるチビたちに目を細める父と母が、「こういう楽しかったことを、いつまでも覚えてくれていると良いなあ」って話しをしていたのを覚えている。
今は自分が、その時の父と母の歳に近づきつつある。
周辺国が周辺国ですから、日本の海は、いろいろと難しい問題を抱えている。
それでも、日本の海は、実はかなり大きな可能性を持っているらしい。メタンハイドレードの埋蔵量が世界有数であることは、ちょっと前に話題になっていた。日本の領海と排他的経済水域には、今わかっているだけでも、日本人が使う100年分の天然ガス相当のメタンハイドレードがあるそうだ。技術的には、それを採掘して天然ガスを調達できる状況にあるそうだ。ただ、輸入天然ガスのほうが安上がりってだけのことらしい。
その他にも、海底熱水鉱床というのが30ヶ所以上確認されて開発が始まっているそうだ。南鳥島近くの熱水鉱床には、今の日本の使用量の500年分以上のレアアースが埋蔵されているそうだ。小笠原諸島沖の海底鉱山には白金が、伊豆諸島の青ヶ島近くの熱水鉱床からは金の含有量がとてつもなく高い鉱脈があるそうだ。
排他的経済水域内を流れる海水には多くの希少金属が含まれており、たとえば日本がウランの輸出国になる可能性があるらしい。蓄電池に不可欠のリチウムも同様らしい。
なんだか、すごいね。日本の海。


そこで問題になるのが、やっぱり、周辺国。
なかでも“中国”は、日本の排他的経済水域で、日本に通告もせずに海洋調査をしているらしい。特に、それが多いのが沖縄諸島周辺だが、日米の潜水艦が潜航している領域でもあり、海流、潮流、水温などの調査をしているそうなんだが、どうもそれだけではなく、海洋資源の調査もしているらしい。
“中国”経済は、安い“中国”製品を海外に輸出して成長してきた。数年前から成長率が鈍化してきたが、2018年からのアメリカとの貿易摩擦は成長率の後退に拍車をかけているようだ。
この間読んだ、石平さんの本に書いてあったんだけど、“中国”が発表した2018年度のGDP成長率は6.6%だった。だけど、“中国”を代表する経済学者である中国人民大学の向松祚教授によれば、この年の本当の成長率は1.67%だというのです。
それが本当ならば、数十年間続いてきた“中国”の高度成長は完全に終わっているわけで、その間に恩恵を受けられなかった者たちの怒りは当然習近平政権に向かうことになる。中国共産党も無傷では済まないはずなので、この発言は命がかかったもののはずである。
向松祚教授には、当然、強力な政治勢力が存在するはずである。その政治勢力は、中国共産党が傷を追うことになるとしても、習近平を引きずり降ろそうとしているように感じられる。
どちらにせよ、“中国”経済が厳しい状況にあるのは間違いない。アメリカとの間でいくら摩擦が高まろうとも、アメリカに買ったもらわなきゃ“中国”経済は立ち行かない。“中国”からの商品の大半は会場ルートで運ばれる。その場合、必ず日本の海域を通過する。会場交通路の自由を確保することは“中国”にとっても重要なことなのだ。
特に、“中国”が日本の沿岸域になんらかの紛争を持ち込むことは、必ず“中国”の不利益につながる。上記のような点から考えても、“中国”にとっての日本は敵対すべき国ではなく、更に強い協力関係を求めていくべき国だというのだが、まったくその通り。
日本がそういう前提で付き合おうとすると、その親切につけ込んできたのは、常に“中国”の方だった。江沢民以来、日本人の間で、“中国”に対する感情が悪くなって来たのは明らかだけど、ここに来てさらに悪化しているのは、ひとえに習近平のやり方だな。責任は・・・。
兄からは、気軽な会だから、平服でとメールを貰った。連れ合いにそれを伝えると、平服ってどんな感じだろうと言う。平服っていうんだから平服だろうと答えると、平服というのが、実は一番やっかいなんだよという。そういうことで連れ合いと競り合っても勝てるはずがないので、早々に白旗をあげる。
結局、命令されて、「兄貴はどんな服?」兄にメールで聞くことになる。しばらくして、兄からメールが来る。「背広にパンツ」
その姿を思い浮かべて、笑いが止まらない。腹が捩れる。
私は男ばっかり三人兄弟の三番目。私たち兄弟は、年に三度くらいは会う機会があるのだが、私たちの子供の世代が全部集まるのはずいぶん久しぶりだろう。いつだったか、子どもたちがまだ小さかった頃、全員で夏の祭りに出かけたことがある。その時は、もう亡くなった父と母も一緒だった。
通りに面した店の、外に置かれたテーブルに陣取って、はしゃぎまわるチビたちに目を細める父と母が、「こういう楽しかったことを、いつまでも覚えてくれていると良いなあ」って話しをしていたのを覚えている。
今は自分が、その時の父と母の歳に近づきつつある。
周辺国が周辺国ですから、日本の海は、いろいろと難しい問題を抱えている。
それでも、日本の海は、実はかなり大きな可能性を持っているらしい。メタンハイドレードの埋蔵量が世界有数であることは、ちょっと前に話題になっていた。日本の領海と排他的経済水域には、今わかっているだけでも、日本人が使う100年分の天然ガス相当のメタンハイドレードがあるそうだ。技術的には、それを採掘して天然ガスを調達できる状況にあるそうだ。ただ、輸入天然ガスのほうが安上がりってだけのことらしい。
その他にも、海底熱水鉱床というのが30ヶ所以上確認されて開発が始まっているそうだ。南鳥島近くの熱水鉱床には、今の日本の使用量の500年分以上のレアアースが埋蔵されているそうだ。小笠原諸島沖の海底鉱山には白金が、伊豆諸島の青ヶ島近くの熱水鉱床からは金の含有量がとてつもなく高い鉱脈があるそうだ。
排他的経済水域内を流れる海水には多くの希少金属が含まれており、たとえば日本がウランの輸出国になる可能性があるらしい。蓄電池に不可欠のリチウムも同様らしい。
なんだか、すごいね。日本の海。
『日本の海が盗まれる』 山田吉彦 文春新書 ¥ 935 領土問題だけじゃない ”中国”・韓国が脅かす日本の海洋資源 北朝鮮模ね |
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そこで問題になるのが、やっぱり、周辺国。
なかでも“中国”は、日本の排他的経済水域で、日本に通告もせずに海洋調査をしているらしい。特に、それが多いのが沖縄諸島周辺だが、日米の潜水艦が潜航している領域でもあり、海流、潮流、水温などの調査をしているそうなんだが、どうもそれだけではなく、海洋資源の調査もしているらしい。
“中国”経済は、安い“中国”製品を海外に輸出して成長してきた。数年前から成長率が鈍化してきたが、2018年からのアメリカとの貿易摩擦は成長率の後退に拍車をかけているようだ。
この間読んだ、石平さんの本に書いてあったんだけど、“中国”が発表した2018年度のGDP成長率は6.6%だった。だけど、“中国”を代表する経済学者である中国人民大学の向松祚教授によれば、この年の本当の成長率は1.67%だというのです。
それが本当ならば、数十年間続いてきた“中国”の高度成長は完全に終わっているわけで、その間に恩恵を受けられなかった者たちの怒りは当然習近平政権に向かうことになる。中国共産党も無傷では済まないはずなので、この発言は命がかかったもののはずである。
向松祚教授には、当然、強力な政治勢力が存在するはずである。その政治勢力は、中国共産党が傷を追うことになるとしても、習近平を引きずり降ろそうとしているように感じられる。
どちらにせよ、“中国”経済が厳しい状況にあるのは間違いない。アメリカとの間でいくら摩擦が高まろうとも、アメリカに買ったもらわなきゃ“中国”経済は立ち行かない。“中国”からの商品の大半は会場ルートで運ばれる。その場合、必ず日本の海域を通過する。会場交通路の自由を確保することは“中国”にとっても重要なことなのだ。
特に、“中国”が日本の沿岸域になんらかの紛争を持ち込むことは、必ず“中国”の不利益につながる。上記のような点から考えても、“中国”にとっての日本は敵対すべき国ではなく、更に強い協力関係を求めていくべき国だというのだが、まったくその通り。
日本がそういう前提で付き合おうとすると、その親切につけ込んできたのは、常に“中国”の方だった。江沢民以来、日本人の間で、“中国”に対する感情が悪くなって来たのは明らかだけど、ここに来てさらに悪化しているのは、ひとえに習近平のやり方だな。責任は・・・。

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