めんどくせぇことばかり 『一宮の秘密』 戸矢学
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『一宮の秘密』 戸矢学

埼玉県北部にある金鑚神社は、御室山をご神体とし、拝殿はあっても本殿のない珍しい神社の一つ。どうやら、この地域に古くから力を持っていた武蔵七党の一つ丹党との関わりが深いという。

北関東、北武蔵から上野にかけて、丹生神社が多いが、丹党の氏神であるそうだ。その中心となるのが金鑚神社で、現在の祭神は天照大神、素戔嗚尊、日本武尊となっているが、これは後世に取って付けたもんだそうだ。

丹党の発祥は紀伊国造家から出て、古代から、秩父から群馬にかけて栄えてきた。その紀伊国の最古の神社に丹生都比売神社がある。背後の山上にある高野に降臨する神、高野神を信仰したという。高野神は縄文以来の古い神だったらしいが、その後、真言宗の霊山となって、本来の信仰は失われた。

丹党の繁栄の源が産出される豊富な“丹”、すなわち辰砂とも呼ばれる水銀と硫黄の化合物だった。そして丹党は、一族の結束を図るため各地に丹生都比売を祀った。その中心が金鑚神社で、古くは金佐奈と記され、由来は「金砂」だという。

しかし、前述の通り、金鑚神社は祭神を天孫族の祖先神に帰られた。丹生神社も祭神を丹生都比売から変えてしまっているところが少なくないんだそうだ。

《一宮から古代が見える》と、著者の戸矢学さんが書いている。一宮とは律令制の一つの国ごとに最上位の神を第一の宮と呼称したものと言うことだが、もともと公的保証のあるものではなく、自然発生的に各地で唱えられたものだそうだ。

だが、理由もなく第一位と称えられることはない。その理由をたどっていけば、神社という独自の存在が、背景にある歴史や文化を明らかにしてくれるだろうということなんだけど、上記のようなこともある。政治的理由で本来の姿を変えられてしまっていると言うことだ。

それを前提に、一宮の秘密を探れば、日本人の信仰の秘密、もっとの古き神々の痕跡に迫れるという。


『一宮の秘密』    戸矢学

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最も古き神々の痕跡を残す「一宮」を訪ね、縄文から続く日本人の精神文化を探る
一章 畿内の神々
賀茂社  大神神社  枚岡神社  住吉大社
二章東海道の神々
真清田神社  富士山本宮浅間大社  浅間神社  寒川神社
氷川神社  安房神社・玉前神社  香取神宮・鹿嶋神宮
三章 東山道の神々
日吉大社・南宮大社(仲山金山彦神社)  諏訪大社
一之宮貫前神社(抜鉾神社)・二荒山神社(補陀落神社)
志波彦神社鹽竈神社・都々古別神社(八槻都々古別神社)
鳥海山尾大物忌神社
四章 北陸道の神々
白山比口神社・雄山神社 若狭彦神社・氣比神宮・氣多大社
五章山陰道の神々
出雲大神宮  籠神社  粟鹿神社・宇倍神社  出雲大社(杵築大社)
六章 山陽道の神々
伊和神社・中山神社  吉備津神社  厳島神社(伊都岐島神社)・住吉神社
七章南海道の神々
日前宮(名草宮)(日前神宮・國懸神宮)  大麻比古神社  
田村神社・大山祇神社・土佐神社
八章西海道の神々
宇佐神宮  鹿児島神宮  宮崎宮・高良大社  西寒多神社・阿蘇神社






一つぐらいネタバレしておいた方が、本書の特徴が分かりやすいものになるだろう。

丹生都比売の続きなんだけど、・・・。

古くから丹生都比売神社を祀る紀伊国に、伊都郡という群名がある。《丹生都比売神社史》によれば、丹生都比売神社の社家を受け継ぐ丹生家の故知は筑前の伊都だったという。そういうことになると伊都国だな。故郷を離れたきっかけは、ヤマト朝廷の成立に関わる混乱かな。

丹生氏は、淡路から紀伊に入り、紀ノ川上流を拠点に勢力を広げた。そこが伊都郡。そして、紀伊国における主要な水銀の産地だそうだ。その採掘による財力で紀伊半島を中心に大きな力を持ったが、その鉱脈が細ってきたことで、一族の中には新たな鉱脈を求めて移住するものが現れる。一部は播磨、一部は東に移って三重、岐阜、長野、静岡、千葉、埼玉、群馬と丹生都比売を神として祀った人々をたどることができる。

丹生都比売神社は古い神社だけど、紀伊国の一宮は日前宮で、祀られる日前大神、國懸大神は記紀にも神明のない神だそうだ。天照が日の神であるのに対して、日の前の神だからね。かなりのもんなんだろう。ここの宮司を務めるのが紀氏ということだ。


紀氏と丹生氏の関係は深く、紀氏のうちの辰砂の採掘に関わったのが丹生氏と言うことか。いや違う。紀氏はアメノミチネを祖神とするが、アメノミチネは、ニギハヤヒの降臨に同行した神だが、この紀氏が同行したのが丹生氏、丹生氏こそが紀氏の主なのではないかという。

話は急展開する。呉王家の始祖となる太白は、周王家と同じく公禝を始祖とするから姫姓。読みは「き」。・・・これ以上は私の口からは・・・。

ここまで言っといて、いまさら・・・

この分だと、日本人の信仰の秘密、最も古い神々の痕跡ってのも、あながち・・・。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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