めんどくせぇことばかり 映画界五社協定『掟破り』 大下英治
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映画界五社協定『掟破り』 大下英治

奥武蔵の山々には、かなり山の奥の方に集落がある。

林業に関わった人たちの集落だろうか。それらの集落への道があり、集落と集落をつなぐ道があり、林業の道があって、奥武蔵の山中にはたくさんの林道が延びている。

中には山上集落と呼ばれるところがあって、独特の、とてもいい雰囲気を醸し出している。それらの山上集落の一つにユガテというところがあって、ハイカーに人気がある。

この間、木曜日のこと。鎌北湖から上がって奥武蔵を歩いたとき、目的地を出る時間になっても11時半、ゆとりがあったのでいったんユガテに下りて、そこから北向地蔵を経て、車をおいた鎌北湖に戻ることにした。ユガテについたのは12時を少し過ぎた頃じゃないかと思います。そこまでは順調だった。

ユガテにつくと、ベンチなどがある場所に数人の人がいるようだったので、そちらには寄らず、山上集落の雰囲気だけ味わわせてもらって、早々に北向地蔵に向かうことにした。すると、ユガテを抜けるあたりで、向こうから年配のハイカーが数人やってくる。道を譲って通過を待つが、どうも勝手が違う。だいたい、道を譲っているこちらの存在に、まったく意識が向いていない。たっぷり汗をかいているのに、薄めながらもダウンジャケットを来たまま歩いている。

当然、そのままやり過ごし、ユガテを出て、最初はしばらく下っていく。すると、また、向こうからやってくる人がいる。三人、いや、その後ろにも何人か続いている。断続的に20人近い人が、道を譲る私の傍らを通り抜けてユガテに向けて登ってくる。先ほどの方と同じ年配者もいれば、比較的お若く見える方もいる。ただ、いずれも、山を歩くことになれている方には見受けられない。20人近い人に道を譲るというのは正直苦痛なんだけど、・・・「済みません」という人がいないわけじゃないんだけど、私を先に通らせるなんて思いもよらない感じ。

何なんだろう。

沢まで下りきって、登りにかかる。ここでもどんどん人が下りてくる。先ほどの人たちは、山は登り優先なんて理解はありそうになかった。今度はどうか。・・・やはり同じ。断続的に、後から後から続いている感じなので、この登りで道を譲りたくない。譲らず登っていくと、すれ違おうとする。すれ違える場所はいいけど、危ないには違いない。すれ違えない場所でこっちが譲る気配を見せないでいると、向こうが止まった。脇を通過。そんなことを繰り返す。

また、向こうが止まって道を空けた。だけど、その人は谷川に足を下ろして道を空けている。私のザックがぶつかれば落ちるかもしれない。仕方がないから、山側によけて、先に行ってもらった。

イライラしてきていた。

細い道で、また、何人もの人が下りてくる。譲らずに登っていったら、相手もそのまま進んできた。お互いに立ち止まってしまった。

「山は登りが優先ですよ」って言ったら、慌てていた。

また下りになって、ようやく、すれ違う人に道を譲ったけど、釈然としない。しばらく行ったら、トランシーバーを持った人がいた。・・・なんかの企画だと分かった。その人に声をかけて、いろいろと分かってもらった。

山には山のルールがある。


『掟破り』    大下英治


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日本社会を形作る掟のメカニズムと反逆者たちの行動原理に迫る
第1章 やくざ同士の安全保障
第2章 岸信介の密約
第3章 高倉健
第4章 広島やくざ戦争
第5章 小池百合子
第6章 孫正義
第7章 田中角栄と竹下登


映画の世界にもルールがあったそうだ。

《五社協定》というきつい縛りだったそうだ。五社というのは松竹・東宝・大映・新東宝・東映が結んだ協定。

主な内容は、専属の監督・俳優の引き抜きを禁止する、監督・俳優の貸し出し特例も廃止するというものだったそうで、日活の引き抜き攻勢に対抗して作られた協定だったそうだ。結局、その日活が協定に仲間入りし、新東宝が潰れて、五社協定はそのまま。「スターを借りない。貸さない。引き抜かない」なんて標語まであったそうだ。

山本富士子と田宮次郎は、その掟を破って映画界から干されたんだそうだ。

山本富士子と言えば第一回ミス日本。彼女は大映の専属だった。その山本が10年契約の満期でフリーとなった。途端に映画界から干された。女優引退を考えるまで追い込まれたが、その彼女を救ったのはテレビだった。

田宮次郎も大映専属だった。勝新太郎と共演した『悪名』で一躍スターダムにのし上がった田宮次郎だったが、いつまで経っても扱いは大部屋俳優のまま。これで社長ともめて大映を辞めた。五社協定で映画界から干され、テレビに活躍の場を求めた。

結局、映画界はテレビによって追い込まれ、五社協定は自然消滅する。

この掟はつまらない。こんな方法で弱いものいじめをしないで、映画界は切磋琢磨すべきだった。いい映画を作るべく、努力すべきだった。

石原裕次郎の『黒部の太陽』は、その五社協定に挑戦して作られた映画だったという。好きな映画の一つなんだけど、映画界は『黒部の太陽』を作らせないように努力していたわけだ。

それが世に出た背景には、兄である石原慎太郎の助力があったんだそうだ。

黒四ダムに関連の深い関電や、黒部に参加した大手の建設会社を巻き込んで、フリーの映画館と上映装置のある公共施設を抑えて映画を配給できる段取りを整え、五社を脅迫したんだそうだ。

掟が自らの地位や利益を守るため作られたものなら、それはいつか必ず崩れる。・・・だけど山のルールは、そうじゃない。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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