めんどくせぇことばかり 『あの世の七不思議』 志賀貢
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『あの世の七不思議』 志賀貢

この本は、三途の川のお話から始まる。

なんだか面白い本だなとかって最後まで読んだら、この本、2017年に出された『三途の川の七不思議』って言う本を修正、改題したもんなんだそうだ。

その三途の川、そのこっち側がこの世で、あっち側があの世でしょ。つまり生死の境目、渡っちゃうと死んじゃったということ。舟の渡し賃が六文で、真田の六文銭ってことになる。ギリシャ神話だと冥界の川ステュクス。渡し守のカローンは、死者の霊を彼岸へと運ぶ。やっぱりお金取るらしいよ。

そうなると、ギリシャ神話は日本にまで伝わっていたか。まあ、いろいろな神様がいて、それぞれ強烈な個性を持っているのもよく似ている。

死の淵に立った人たちが、お花畑に行っているみたいなんだな。そこには色鮮やかな花々が咲き乱れているんだそうだ。きれいな花に見とれて、ふとその先を見ると川が流れている。どうやら花畑は、川っぺりにあるらしい。川に向かって少し進むと、花は一段と美しく、まるで川に引き寄せられているかのよう。

だんだん川に近づいていくと、渡し船が泊まっているのが見える。カローンのやつだな。手招きしている人がいる。花畑があって、きれいなお姉さんが手招きしていれば、やっぱり行っちゃうよね。・・・「きれいな」とは書いてないや。おばあちゃんか、きんじょのおばさんか。だけど、「こっち来ちゃダメ」って言われて、この人たちはこの世に戻ってくるんだよね。

臨死体験ってやつだな。どうやら、お花畑が出てくる臨死体験ってのは、日本だけのものじゃないんだそうだ。なにがしかの普遍性があるのなら、ステュクスの話が入ってこなくても、日本で三途の川の話が生まれることもあり得ると言うことか。

蜻蛉日記には、三途の川を女が渡る時には、初の男が背負うて渡るという意味の歌があるという。同時代の往生要集には“三途の川”としては出てこないそうだ。だけど、それが表わすのは地獄餓鬼畜生の三つの道という意味での“三途”であるらしい。

三途の川を渡った死者は、閻魔様のところで極楽行きか地獄行きかを裁かれ、大抵の死者、あんまり図々しくない人は最初から地獄行きを覚悟している。源信はその地獄の有様を往生要集に著した。今なら霊感商法の詐欺師か、悪徳新興宗教の教祖と同列と言うことになるだろうけど、そういう時代じゃないからね。




ビジネス社  ¥ 1,100

再び奇跡は起こった!臨床50年、82歳現役医師が「三途の川」の謎を解き明かす!
第1章 「三途の川」とお花畑の不思議
第2章 意識は消えても、愛の絆は永遠に
第3章 三途の川の岸辺で現れる死の兆候
第4章 脈々と生き続ける「地獄伝説」の不思議
第5章 臨終の体に起こる病理学的変化の不思議
第6章 激変する三途の川の渡り方



さてこの本は、そう言った霊感商法とか、悪徳新興宗教とかとは、まったく関係のない、良質な本。

これを書いた志賀貢さんは、お医者さん。それも臨終医。多くの患者さんの臨終に立会い、見送ってきた方です。その方が、本気で三途の川の話をしています。その人の意識がお花畑を歩いているとき、実際のその人が、一体どういった状態にあるのか。あるいはその人に対して、医師はじめ、医療従事者はどのような処置を施しているのか。そんな話も出てきます。

どこかからか聞こえる「言ってはダメ」、「舟に乗っちゃダメ」、「戻ってきなさい」なんて声に覚醒したならば、医師や医療従事者の努力と肉親の思いが報われたと言うこと。

お花畑で覚醒しなかったなら、もはや、その人は三途の川を渡ることになる。つまり、死の世界が目の前に広がっている。このとき、全ての臓器が生の営みを停止するため、その人は最後の苦痛を感じている状態。もしかしたら、少しでもその苦痛を取り除く緩和ケアが行なわれているかもしれません。

そのように捉えて、つまりこの本は、現代に生きる私たちが、どう三途の川を渡っていくかを類型立て、最も受け入れやすい形でそれを迎えるための指南本と考えて良いと思う。

「ああ、良い人生だった」
できれば、そう思って死にたいもんだ。だけど、それは、後ろから知らないうちに忍び寄ってきたりするんだよな。これは吉田兼好が言ってた。急に飛びつかれたときにどうする?その瞬時に、「面白かったぞ」って納得するだけの強靱な心を持つか、あるいは、いつ何時も「面白かった」と思い続けるか。

どうしよう。

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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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