めんどくせぇことばかり 『奇妙な死体』 巽信二
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『奇妙な死体』 巽信二

今は、私と連れ合いの二人暮らしになってしまったが、かつては6人家族。

子ども二人に、連れ合いの両親とも同居していた。子どもたちは独立していったし、それと前後して、連れ合いの両親も亡くなった。義母は家で亡くなった。いや、救急車を呼んだときは生きていたのだ。救急車が到着したときも生きていた。しかし、私が外で救急車を誘導し、救急隊員が家にあがる頃に、息を引き取ったようだ。

それでも、蘇生の手を施しながら、義母は救急車で運ばれていった。家族も、義母が運ばれた病院に向かい、家族がそろったところで生命維持装置が外され、医師によって死亡が確認された。

翌日だったろうか、警察の方が見えて、私たち家族は事情聴取を受けた。人の死というのは、本人だけの問題ではなく、家族だけの問題ではなく、社会の問題だった。

警察の方は、義母の死いろいろな可能性を前提に私たちを聴取し、義母の死に不審がないことを明らかにする意味を持っていた。それは、私たちのためでもあった。

どうやら、不審な死は、決して珍しいことではないようだ。

法医学者である著者は、これまで2万体以上の遺体に関わり、そのうち6300体以上を解剖してきたそうだ。なんの事件性も問題もない遺体とともに、社会を震撼させた事件に関連した遺体や、ドラマのように解剖によって判明した事実に刑事が目の色を変えるような遺体もあったそうだ。

覚えないかな。交際相手の男性を次々と殺していった女の事件、「近畿連続青酸死事件」。あれは、この本の著者、巽さんによる司法解剖が決め手になったそうだ。大阪・キタの繁華街での会社員暴行死事件、これもそう。無抵抗の男性の頭をサッカーのように頭を蹴って死なせた事件。

こうした司法解剖をする人が見つけないと、そういう連中が世の中にのさばってることになるんだから、恐ろしいよね。



『奇妙な死体』    巽信二


河出書房新社  ¥ 1,540

死因が特定できない遺体を解剖で判明した驚きの真実とは 法医学者が語る衝撃! 
1章 死体に刻まれた記録。真実はひとつしかない
2章 事件を告発する遺体、犯罪を否定する遺体
3章 社会の病理に斃れた声なき犠牲者たち
4章 証人として出廷し被告人と対峙する
5章 法医学者としてどう遺族に寄り添うか
6章 阪神・淡路、東日本…震災という慟哭の現場
7章 もの言わぬ遺体から授けられた教え


自殺サイト殺人事件、あれも嫌な事件だった。あれも著者の巽さんの司法解剖だったそうだ。掘り出された遺体は白骨化していて、主要臓器は失われている。その主要臓器が失われ遺体から、著者はそれが首を絞められたことによる窒息しであることを突き止めたんだそうだ。

なんとこの男、人が苦しむ姿を見ると、性的に興奮するんだという。息ができない。苦しくなる。お腹の筋肉がけいれんして波打つ。その様子を見て、エクスタシーを感じるんだという。対象は、男でも女でも良いそうだ。

残念だけど、世の中には、低いとは言えある一定の確率で、こういう人間がいるようだ。それが常に性的興奮に結びつくものなのか、そうでもない場合もあるのかは分からないが。

ウジのわいた遺体の場合ね。このウジが死後経過時間を計る重要な指標になるんだそうだ。ウジは1日1ミリ成長する。だからウジの大きさを測れば、死後何日経ったかが分かる。だけど、動いているウジを捕まえて、体を伸ばして計るのは難しい。

そんな時どうするか。遺体にハエがやってきて卵を産み付けるのは朝と決まっている。ある日の午後、亡くなっても、卵を産み付けるのは翌日の朝。産み付けられた卵は翌日孵り、1日1ミリずつ成長する。ハエは翌日の朝もやってきて卵を産む。また翌日も産む。

だから、ウジの大きさの違いを見極めるんだそうだ。うじゃうじゃウジがたかっていても、適当に捕まえて、大きさを分類する。大・中・小の三種類に分類できれば、1日+3日で死後4日。

そんな手まで駆使するんだ。

法医学者は、人間の生きた最後の様子に関与するのが仕事。だからこそ、その仕事に真摯に向き合わなければならないという意識が強いようだ。またその最後の様子を知ると言うことは、残された者にとってもとても意味が大きい。軽々しい仕事はできないと言うことだな。

「死ぬまで生きる」

悲しい遺体に向き合ってきた著者だけに、今はそのことを大事にしたいと言っている。「全力で」とか、「頑張って」とかって修飾語はいらないってさ。

たしかにね。

とても面白い本でした。






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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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