『自然に学ぶ』 白川英樹
なんの本で読んだんだったか、天才的数学者は美しい風景の中で育つという話があった。
別に天才的数学者でなくてもいい。子どもの頃、自然の中でいろいろな遊びをしてきた子は、それだけでいろいろなことを学んでいるし、身につけている。自然に学んでいくってことが大事ですね。白川先生の言われるとおり。
与えられる“勉強”は、先に結果が出ちゃってるからね。だから、入っていく必要を、子どもは感じない。自然の中にあるたくさんの入り口は、その先に何があるか分からないから、ドキドキするわけだ。
白川先生が塾長を務める《子ども夢教室》は小学5年から中学2年までを対象に、学年や男女を混ぜた4~5人のグループに分け、それぞれに指導員として本当の学校の先生がつくんだそうだ。その学校の先生たちは白川先生から、「教えないで欲しい」と求められる。教えるのが商売の人たちだからね。ビックリするだろうね。
自然から学ぶってことの意義は、限りなく大きいね。
白川先生は、子どものような心を持った、とても純真な人のようだ。科学のことについてはともかくとして、世の中のことに対しては、おかしな疑いを向けるということはなさらない方らしい。
『沈黙の春』を書いて、世界に多大な影響を与えたレイチェル・カーソンが取り上げられている。彼女は息子と一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる様子について、こう言っているそうだ。「わたくしは何か面白いものを見つけるたびに、無意識のうちに喜びの声を上げるので、彼もいつの間にかいろいろなものに注意を向けるようになっていきます」「彼の頭の中に、これまでに見た動物や植物の名前が刻み込まれているのを知って驚いたものです」・・・ということです。
白川先生は、レイチェル・カーソンを、『沈黙の春』によって環境汚染と環境破壊を世界に告発した人物と紹介している。それはDDTをはじめとする農薬の使用による汚染を訴えたもので、アメリカはその訴えを受け入れてDDTの使用を禁止した。
1960年代、マラリアはDDTによって、ほぼ撲滅寸前まで行っていた。年間250万人いた患者を35人まで縮小していた。それが、DDT使用禁止により水の泡になってしまった。今、毎年200万~300万人が死んでいる。・・・惜しかったね。
ベンジャミン・フランクリンも取り上げられている。
フランクリンがイギリスの進学者・哲学者・化学者のジョゼフ・プリーストリーに宛てた手紙の一節に、「今後、1000年の間に、物質を支配する人間の力がどのような高さに到達するかは、想像することも出来ません。どうか道徳が自然科学と同じように向上の道をたどり、人間同士がオオカミのように争いあうのをやめ、いま不当にもヒューマニティーと呼ばれているものを人間がいつか身につけるようになってほしいものであります」と、あるそうです。
フランクリンは、トマス・ジェファソンが起草した独立宣言を、ジョン・アダムスとともに修整しています。そこには次のように書かれている。
《我らは次のことが自明の真理であると見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられていること。これらの権利を確保する為に、人は政府という機関をつくり、その正当な権力は被支配者の同意に基づいていなければならないこと。もし、どんな形であれ政府がこれらの目的を破壊するものとなった時には、それを改め、または廃止し、新たな政府を設立し、人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方で、新しい政府を設けることは人民の権利である》
彼らは、インディアンや黒人を人間とは捉えていないことは、間違いない。インディアンや黒人を人間と捉えていれば、いくら彼が厚顔な人間であったとしても、ここまで平気で“人間”という言葉は使えないだろう。
だから、「人間同士がオオカミのように争いあうのをやめ」とフランクリンが言っている“人間”というのも、インディアンや黒人、それから日本人は入っていない。入っていれば、黒人の売り買いは出来ない。インディアンの皆殺しも出来ない。日本に原爆は落とせない。
その上で、日本の政治に対しては、手厳しい。武器輸出三原則を見直し、集団的自衛権の行使を容認し、改憲に突き進む安倍政権に、危惧を感じているという。
戦争が終わったとき、白川先生は9歳か。一番敏感に、アメリカのWGIPに反応しちゃった口かな。
別に天才的数学者でなくてもいい。子どもの頃、自然の中でいろいろな遊びをしてきた子は、それだけでいろいろなことを学んでいるし、身につけている。自然に学んでいくってことが大事ですね。白川先生の言われるとおり。
与えられる“勉強”は、先に結果が出ちゃってるからね。だから、入っていく必要を、子どもは感じない。自然の中にあるたくさんの入り口は、その先に何があるか分からないから、ドキドキするわけだ。
白川先生が塾長を務める《子ども夢教室》は小学5年から中学2年までを対象に、学年や男女を混ぜた4~5人のグループに分け、それぞれに指導員として本当の学校の先生がつくんだそうだ。その学校の先生たちは白川先生から、「教えないで欲しい」と求められる。教えるのが商売の人たちだからね。ビックリするだろうね。
自然から学ぶってことの意義は、限りなく大きいね。
白川先生は、子どものような心を持った、とても純真な人のようだ。科学のことについてはともかくとして、世の中のことに対しては、おかしな疑いを向けるということはなさらない方らしい。
『沈黙の春』を書いて、世界に多大な影響を与えたレイチェル・カーソンが取り上げられている。彼女は息子と一緒に自然を探検し、発見の喜びに胸をときめかせる様子について、こう言っているそうだ。「わたくしは何か面白いものを見つけるたびに、無意識のうちに喜びの声を上げるので、彼もいつの間にかいろいろなものに注意を向けるようになっていきます」「彼の頭の中に、これまでに見た動物や植物の名前が刻み込まれているのを知って驚いたものです」・・・ということです。
白川先生は、レイチェル・カーソンを、『沈黙の春』によって環境汚染と環境破壊を世界に告発した人物と紹介している。それはDDTをはじめとする農薬の使用による汚染を訴えたもので、アメリカはその訴えを受け入れてDDTの使用を禁止した。
1960年代、マラリアはDDTによって、ほぼ撲滅寸前まで行っていた。年間250万人いた患者を35人まで縮小していた。それが、DDT使用禁止により水の泡になってしまった。今、毎年200万~300万人が死んでいる。・・・惜しかったね。
『自然に学ぶ』 白川英樹 法蔵館 ¥ 1,320 2000年ノーベル化学賞受賞者の白川英樹先生が折々の想いをまとめたエッセイ |
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ベンジャミン・フランクリンも取り上げられている。
フランクリンがイギリスの進学者・哲学者・化学者のジョゼフ・プリーストリーに宛てた手紙の一節に、「今後、1000年の間に、物質を支配する人間の力がどのような高さに到達するかは、想像することも出来ません。どうか道徳が自然科学と同じように向上の道をたどり、人間同士がオオカミのように争いあうのをやめ、いま不当にもヒューマニティーと呼ばれているものを人間がいつか身につけるようになってほしいものであります」と、あるそうです。
フランクリンは、トマス・ジェファソンが起草した独立宣言を、ジョン・アダムスとともに修整しています。そこには次のように書かれている。
《我らは次のことが自明の真理であると見なす。すべての人間は平等につくられている。創造主によって、生存、自由そして幸福の追求を含むある侵すべからざる権利を与えられていること。これらの権利を確保する為に、人は政府という機関をつくり、その正当な権力は被支配者の同意に基づいていなければならないこと。もし、どんな形であれ政府がこれらの目的を破壊するものとなった時には、それを改め、または廃止し、新たな政府を設立し、人民にとってその安全と幸福をもたらすのに最もふさわしいと思える仕方で、新しい政府を設けることは人民の権利である》
彼らは、インディアンや黒人を人間とは捉えていないことは、間違いない。インディアンや黒人を人間と捉えていれば、いくら彼が厚顔な人間であったとしても、ここまで平気で“人間”という言葉は使えないだろう。
だから、「人間同士がオオカミのように争いあうのをやめ」とフランクリンが言っている“人間”というのも、インディアンや黒人、それから日本人は入っていない。入っていれば、黒人の売り買いは出来ない。インディアンの皆殺しも出来ない。日本に原爆は落とせない。
その上で、日本の政治に対しては、手厳しい。武器輸出三原則を見直し、集団的自衛権の行使を容認し、改憲に突き進む安倍政権に、危惧を感じているという。
戦争が終わったとき、白川先生は9歳か。一番敏感に、アメリカのWGIPに反応しちゃった口かな。
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