めんどくせぇことばかり 『天皇の日本史Ⅱ』 井沢元彦
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『天皇の日本史Ⅱ』 井沢元彦

今年から天皇誕生日は2月23日。

陛下は還暦になられた。実は、ちょうどひと月遅れで、私も還暦になる。同じ昭和35年の生まれで、ちょうどひと月早く生まれた陛下を、他の皇族方とは違って、なんだか身近な存在のように感じてきた。

毎年、年が明けて3学期となり、寒の入りの時期が過ぎて立春を過ぎ、春が近づいて来たと感じる頃が陛下の誕生日で、いよいよ春本番を迎える頃が私の誕生日となる

今年は、安定的な皇位継承に向けて、政府が検討を始めることになる。それについて、陛下も誕生日の記者会見で、《現在,男性皇族の数が減り,高齢化が進んでいること,女性皇族は結婚により皇籍を離脱すること,といった事情により,公的活動を担うことができる皇族は以前に比べ,減少してきております。そしてそのことは皇室の将来とも関係する問題です。ただ,制度に関わる事項については,私から言及することは控えたいと思います》と述べられた。

ぜひ、井沢元彦さんの『天皇の日本史Ⅰ』「天皇の日本史Ⅱ』あたりを国民が読んでおいて、良識を持っておかしな“有識者”を監視できるようにしたいもんだ。

そう、井沢さんの言うとおり、私たちは勇気を持って乗り越えなければならない過去がある。敗戦だ。なにしろ大日本帝国という国が崩壊し、310万人がこの戦争で死んだ。これによって精神的に強い衝撃を受けた世代が生まれた。

井沢さんはそれを「昭和ヒトケタ」生まれの人に多いと言うが、これはしっくりこない。おそらくもっと後だ。昭和3年生まれの父は、16歳で敗戦を迎え、その年の12月に17歳となる。このくらいの歳なら、ショックながらも戦争に至る道筋も理解していたわけで、GHQのWGIPにそうそう簡単にかかるようでもない。

わずかな差ではあるが、昭和11年生まれの白川英樹さんは9歳で敗戦となる。この間、白川先生の本を読んでみたが、周辺諸国のことよりも日本に対して手厳しい。今でもほどよくWGIPが効いているようなんだ。おそらく、“強い精神的な衝撃”によって、「日本が大嫌い、天皇の価値など一切認めない」となってしまったのは、「昭和ひとけた」ではなく、昭和8年以降に生まれた世代だろう。

天皇不信、国家不信になる気持ちも分からないでもないけど、いつまでもそれを引きずられても、周囲は困る。そんな嶺として井沢さんがあげている話がすごい。「・・・大丈夫なんかな」って心配になるレベル。・・・こんな話。

《たとえばここに集団レイプの被害者である女性がいるとしよう。その女性が「オトコなんてケダモノだと思っています」と主張しても、その女性にとってそれは事実なのだから仕方のないことだ。もちろん人間には思想の自由もある。しかしその女性が生物学者となって、生物学の教科書に「人間の男性はすべてケダモノである」と書くといったら、「それはマズイですよ」と言わざるをえない。個人的思い込みと客観的事実とは違う》


たしかに、天皇の存在を軍部が悪用して、国全体を引っ張ろうとした時期がある。しかしそれは、日本がかなり追い詰められた状況になってからの短い期間である。それは、天皇という存在を有する日本という国の歴史的特徴からは、ほど遠いものである。

その短い期間を除いて、日本という国の本質はケダモノではない。むしろケダモノは、違うところから日本を狙っていないか。



『天皇の日本史Ⅱ』    井沢元彦


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「令和」に必読の歴史講義。本当の日本史は、「天皇」なくして語れない!
天皇とは何か  欠史八代(第二代~第九代)
垂仁天皇(第一一代)  景行天皇(第一二代)
仁徳天皇(第一六代)  雄略天皇(第二一代)
継体天皇(第二六代)  欽明天皇(第二九代)
敏達天皇(第三〇代)と用明天皇(第三一代)  推古天皇(第三三代)
元明天皇(第四三代)と元正天皇(第四四代)  平城天皇(第五一代)
嵯峨天皇(第五二代)  文徳天皇(第五五代)と清和天皇(第五六代)
陽成天皇(第五七代)と光孝天皇(第五八代)  後三条天皇(第七一代)
長慶天皇(第九八代)  後奈良天皇(第一〇五代)
後水尾天皇(第一〇八代)  東山天皇(第一一三代)
大正天皇(第一二三代)  平成の天皇(第一二五代)


信長は、恣意的に地名を変えることが好きだったそうだ。

美濃を我が物とした信長は、その首府の井之口を岐阜と解明した。周王朝を起こした武王の父文王が都を置いたのが、この岐山。周は岐山に本拠を構えて力をつけて殷王朝を滅ぼす。その岐山にちなんで“岐”を用い、金華山を“阜”、すなわち大きな岡に見立てて“岐阜”としたという。

これにならって秀吉は、近江国今浜を長浜に改め、家康は遠江国曳馬を浜松と改めた。ところがこの家康、江戸を改めていない。江戸は穢土に通じる。汚れた地である。それは家康も分かっていて、旗印に「厭離穢土、欣求浄土」を使っている。汚れたこの世を離れて浄土に行きたいという旗印。

なぜ、そんな穢土を解明しなかったか、それを井沢さんが解説している。

江戸から今日に向かう東海道は五十三次。峠や難所があって宿場は等間隔ではないが、それでも異様に間隔の小さいところがあり、むりに五十三にあわせた節がある。

五十三に意味がある。

華厳経に登場する善財童子という悟りを求める旅人は、途中、五十三人の賢人に出会って、ようやく悟りを開く。成仏するわけだ。江戸という現世から出発して、幾多のポイントを通過して、五十三番目にたどり着く京は、悟りを開いた仏の住む浄土の世界。京はあの世、つまり死者の住む世界、その栄光は過ぎ去ったかこのものでしかない。

《天皇家を過去に封じ込める》というメッセージ。同じ世代だった後水尾天皇は教養があり学問に通じた方で、その意味が分からなかったはずはないと、井沢さんは言う。

絶世の権力者となった家康でさえ、そこまでのことをして封じ込めようとした。条件さえ整えば、天皇が大きな脅威となりかねないことを、家康は良く承知をしていたんだな。

ところが、家康は自分でその種をまくことになる。そのことも、この本には詳しく書かれている。
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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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