めんどくせぇことばかり 『油揚げ、豆腐、こんにゃく』 有元葉子
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『油揚げ、豆腐、こんにゃく』 有元葉子

お寿司と言えば、お稲荷さんのことだった。

そういう人、多いでしょ。・・・多いよね。・・・多いはず。・・・どうなんだろう。

何しろ海なし県の埼玉出身ですからね。しかも、私が生まれた秩父は、とにかく輸送事情が悪かった。陸の孤島が常態だった。・・・それは言い過ぎにしても、物流につながる道路は140号だけ、鉄道は秩父鉄道だけ。

西武鉄道が秩父まで通じたのは、今から50年前。私が小学校4年生の時。西部線沿いに、車で飯能にも抜けられるけど、峠越えの道だからね。ここにトンネルができて大型車が通るようになったのは、私が22歳の時だ。

おかしな話なんだけど、そうなると生活全般にわたって外(秩父盆地の外)の人たちと時差が生まれる。好きな本の記憶、映画の記憶、遊びの記憶、さまざまな風物の記憶が10歳以上年長の人と同じことが良くあった。竹の子の皮に梅干しをくるんでしゃぶるのがおやつだったなんて、連れ合いの両親もそんなことをしてたって。

子どもの頃、海の魚は鮭とめざし。どっちも、今は欲しくてもスーパーには売ってないくらい塩っぱいの。あとは、アジとサンマの開き。アジやサンマは、開きで海を泳いでるんかと思ってた。・・・それはないやろ!

たしかに、それはない。それはないけど、魚が出たときには、うれしかった。身を余さずに食べた。連れ合いと一緒になった頃、「山育ちなのになんでそんなに魚を食べるのが上手なの」と驚かれた。

だから当然、お寿司というのは、お稲荷さんのこと。江戸前寿司の握りというものがあるのは、大人から話としては聞いたが、塩辛い鮭や開きの握りくらいしか思いつかないんだからどうしようもない。

“お寿司”はもちろん母の作ったやつ。お寿司を作る日は、前の日に、いつも回ってくる豆腐屋から油揚げをたくさん買うから分かる。あしたは“お寿司”だってなると、ワクワクする。しかもそれは、親戚の叔父叔母がいとこたちを連れてくるときが多かったから、“お寿司”の記憶は、バラ色、いや黄金色に輝いている。

母の“お寿司”は、最近、何かの折に食べる市販のものと比べると、甘さ控えめで、かつ油揚げが柔らかい。下ごしらえをしないで、砂糖をたくさん使うと、油揚げが甘いばかりでゴアゴアしちゃう。これは田舎くさい。その点、連れ合いの“お寿司”は母のものに似ていて、とてもうれしい。

この本は、油揚げと豆腐とこんにゃく料理の本。《日本のソウルフード》と有本さんは言うが、まさにその通りだと思う。




家の光協会  ¥ 1,760

いつも使っている食材が、こんなにおいしく食べられるなんて!
油揚げ・厚揚げ・がんもどき
豆腐
こんにゃく・しらたき


この間、土井善晴さんも言ってた。「お揚げさんを、おいしくいただくには、この手間を惜しんではいけません」

“この手間”ってのが、鍋に湯を沸かし、熱湯に押さえつけて、ほんの少し湯がき、ざるにあげて水気を切ること。油抜きだな。熱湯を回しかける油抜きが一般的だけど、面倒でもこれをやると仕上がりが違う。関東で言う油揚げの甘辛煮、関西で言う油揚げの炊いたん。柔らかい油揚げが炊けるかどうかは、これで決まる。炒めたり、焼いたりするときは、油抜きの必要はないそうだ。

この“炊いたん”は、うまい。これは使い勝手が良い。先日は、うどんにのせて、きつねうどんにした。もちろん、“お寿司”になる。面白いのは、短冊の“炊いたん”は小鉢に入れて、ご飯のお供にしてもいい。丼にご飯を盛り、のりを敷いた上に短冊にした“炊いたん”を散らしてきつねご飯もいい。卵でとじて、“炊いたん”丼も、間違いなくうまいだろう。

大村益次郎は、村田蔵六を名乗った頃から、酒の時は、いつも豆腐をつまみにしたという。そのままでうまい。醤油をかけてうまい。刻みネギをのせてうまい。暖めてうまい。味をつけてうまい。・・・何をしたって、豆腐はうまい。

この本にもあるんだけど、この間、煮たほうれん草と一緒にミキサーにかけて、スープにした。このやり方でもうまい。これはたまたまだけど、今日の夕飯のおかずは麻婆豆腐だそうだ。

なんてことだ。

さて、こんにゃくだ。

あの怪しい根っ子を食えるように工夫したのは、やはり、“中国”の食うや食わずだろう。

おでんに使うこんにゃくなんて、味が入りにくいよね。今まで私が食べたこんにゃくに煮付けの中で一番うまかったのは、埼玉県東秩父村大内沢のみかん農家のおばあちゃんが作ったやつ。しっかり味が入っていて、「ええ、こんにゃくがこんなにうまくなるのか」ってビックリしちゃった。

秩父の山村は、こんにゃく農家も少なくないから、ここのものだけではないでしょうが、ちゃんと作ったこんにゃくは、ちゃんとうまい。


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テーマ : 料理の本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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