めんどくせぇことばかり 『そうか、もう君はいないのか』 城山三郎
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『そうか、もう君はいないのか』 城山三郎

私にしてみれば、猫が死んだのだって、どうしたらいいか分からなかった。

私は、わりと本を読む方だ。だけど、城山三郎さんの本は、ほとんど読んでない。・・・読んだかも知れない。しかし、読んだとしても、城山三郎さんの本と意識して読んだ本は一冊もない。

調べれば、戦争をテーマにしたものもたくさん書いておられる。私の興味関心と完全に重なっているにもかかわらず、読んでない。城山三郎さんの本と意識して読んだ城山三郎さんの本は、この『そうか、もう君はいないのか』がはじめて。

この間、たまたま古本屋で暇つぶしをしなければならなくなって、小一時間ほど本棚の間をほっつき歩いて買った四冊の本のうちの一冊だ。

もちろん、題名に惹かれて買った。惹かれたと言っても、良い感じで惹かれたわけではない。『そうか、もう君はいないのか』なんて題名があるか。卑怯でさえある。結婚して、家庭を持ち、人生の大事な時間をともに過ごし、ホッと一息つける時期を迎えた夫婦なら、できれば避けて通りたいと考える言葉の一つがこれだ。

そんな言葉を本棚に見つけて、いったんは避けて通ったものの、結局その本棚の前に戻ってしまう。そのたびに、「読まないの?読まずに済ませるの?」と問いかけてくるかのよう。

結局、買って帰った。買って帰ったからと言って、読むと決まったわけじゃない。買って帰って、読まないという選択肢だってある。そんな言い訳がましい理由をつけて、買って帰った。






新潮文庫  ¥ 506

経済小説・歴史小説を牽引してきた作家が、先立った妻を偲び綴っていた原稿
城山三郎さんの本書『そうか、もう君はいないのか』というタイトルを目にしたときは、胸に鋭い一撃をくらったような衝撃であった。後に残されてしまった夫の心を颯と掬う、なんと簡潔にしてストレートな切ない言葉だろう。最愛の伴侶を亡くした寂寥感、喪失感、孤独感とともに、亡き妻への万感の想いがこの一言に凝縮されている。城山さんの悲痛な叫びが、助けてくれえ、という声まで聞こえてくるようで、ドキッとしたのだ。
――児玉清(俳優)


実は、この本のことは出版された当初から知っていた。しかし、興味を持っていなかったんだ。出版されたのは2008年。奥様が亡くなられたのが2000年。城山さんは7年間、一人の時間を過ごし、2007年に亡くなっている。

そのあと、城山さんの遺稿として、奥様の容子さんについて書いた原稿が見つかったんだそうだ。それを娘さんと出版社で再編集したのがこの本だそうだ。

だけど、本屋で『そうか、もう君はいないのか』という題名を見ても、本からは、なんの問いかけも感じられなかった。避けて通るのではなく、避ける必要さえなく通り過ぎていた。

しかし、義母が亡くなり、娘が嫁ぎ、息子が就職して家を出た。義父も亡くなって、家には私たち夫婦と猫だけになった。その猫が、昨年の6月に死んだ。

猫が死んだことで、私たちは、本当に二人きりになった。同じ車に乗っていて交通事故に遭うなんてケースを除けば、二人いっぺんにってことはないだろうから、次は、どちらかが一人になるんだな。たまには娘や息子が顔を出すことがあるかも知れないが、一人の長い時間を過ごすことになる。

そんなときに、古本屋でこの題名に問いかけられたわけだ。「うるせぇな。あっち行ってろ!」って怒鳴り飛ばしてなんとかなるもんなら、誰だってそうするよね。

事実、私たちも二人きりになったことで、考え始めた。次は、どちらかが一人になるんだねって。私と連れ合いは、学年は私が一つ上だが同じ年。私が3月生まれで、連れ合いが4月。一月しか違わない。50代までたばこを吸ったし、深酒の癖は今も続いている。順調に私が先に逝けそうなのだが、先のことは分からない。

私が山に行って一人で食べると思うと、特別食欲もわかないし、いつも簡単に済ませてしまうと、連れ合いは言う。それじゃあ、先に死んでいいよ。僕は、一人になっても、きっとちゃんと食べる。

そんな会話を交わすこともある。・・・だけど私は知っている。連れ合いは、それで終わる女じゃない。今夜も私は、酒に溺れて寝ることにする。



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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































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