めんどくせぇことばかり 『弱者が強者を駆逐する時代』 曽野綾子
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『弱者が強者を駆逐する時代』 曽野綾子

ずいぶん前の本。・・・2009年だ。東日本大震災よりも前か。

そういう考え方をしてない?私は、いつの間にかそうなっていた。東日本大震災を基準にして、それよりも前か、後か。やはり、それだけ大きな出来事だった。

その頃、定時制高校に勤務していたんだけど、その前の年に、当該の定時制が新規募集をせずに、在校生を卒業させたら閉校することが明らかになった。前年、私は4年間担任した生徒を卒業させ、次の学年が卒業した翌日が大震災だった。その段階で、すでに残るのは2学年。生徒数は半分、授業数も半分になってるから、配属される教員も当然減る。

私はそこからもう1年定時制に勤務し、次の春に全日制の高校に転勤した。定年まで、残り8年の段階だった。全日制から定時制にうつったとき、大きなカルチャーショックを体験した。しかし、その水になじんでしまうと、定時制は心地よかった。もちろん、さまざまな問題を抱えている生徒が多いから、時にはぶつかることもあって、心身ともに消耗することもある。

彼らの抱える問題はさまざまながら、結局、彼らはその問題を避けてこなかった。ぶつかったから、はじかれた。それで今、定時制にいた。

だけど定時制は、髪の毛の色とか、化粧、装身具とか、余分な指導に無駄な時間をかけることを強制されないところが、まずはいい。それに、生徒一人一人と、時間をかけて、正面から向かい合うことができる。向かい合った結果がいいことばかりとは限らないが、うやむやにされることなく、それなりの結果は出る。

逆に、全日制に戻るのはつらかった。生徒が多いだけに、全体を枠にはめないことには、話が進まない。一々一人一人に対応していたんでは、切りがない。切りがないけど、それが教員の仕事だと思ってるから、外せない。外さずに向かい合おうとすると、なぜかすかされる。私と向き合おうとしないやつがいる。

私は彼らに、彼らの抱える問題と向き合わさせようとするのだが、彼らはそれをすかす。避ける。避けてきた結果、今ここにいるのか?さらに一歩踏み込もうとすると、・・・。

全部が全部じゃない。私にそう感じさせたのは、ほんの数人に過ぎない。しかし、他の生徒も、それを看過しているのは明らかなんだ。彼らに、彼らの抱える問題と向き合うように一歩踏み込むと、彼らは私の足下をすくおうとする。

私は、最後の全日制高校で、残りの8年を過ごさずに、7年で仕事を退いた。その間、生徒に足下をすくわれそうになって、ヒヤッとしたことは何回あったろう。今思うと、何度も何度もあったような気もするし、本当にショックを受けた2回だけだったような気もする。だけど、定時制で物理的衝突を繰り返した頃よりも、はるかに私は消耗した。

モンスターペアレントが云々された時期があった。しかし、今、モンスターは親だけではない。未熟で、頼りなくて、中途半端な学生たち。求めれば、与えられると思っている。彼らこそ怪物だ。





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人生は、どこでもいつでも、「安心して暮らせる」ことなど決してない
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決断






たまたま立ち寄った古本屋で買ってきた4冊の本のうちの1冊。

上記のような経験から、『弱者が強者を駆逐する』という題名が響いてしまった。何しろ私は、ある意味では“駆逐された”側の人間だから。

この本は、『Will』に2008年から2009年にかけて掲載された、曽野綾子さんの「小説家の身勝手」をまとめたものだそうだ。目次に見られるように、特定のテーマがあって、その線にしたがって書かれたものとは思えない。まさに、曽野綾子さんの“身勝手”な選定により、その都度のテーマが取り上げられたもののように思われる。

《バラク・オバマの新しい可能性》、《オバマの血》に続き、《「残りの国々」の血》も、オバマの大統領就任を取り上げたものだ。2008年は、まさに大統領選挙の年。アメリカの大統領選挙は、その前の大統領予備選からの大騒動で、ヒラリー・クリントン初の女性大統領
か、バラク・オバマ初の黒人大統領かと盛り上がっていたのだから、当然であるかも知れない。

しかし、曽野綾子さんには、オバマの大統領就任に世界が変わる可能性の芽のようなものを感じる部分もあって、取り上げていたんだろう。残念ながらそうならなかったのは、ここに曽野綾子さんが取り上げた可能性以上に、オバマが“アメリカ人”であったと言うことなんだろう。

その点は残念ではあるが、曽野さんのぶれのない世の見通し、特に日本社会に対する苦言は、ずいぶん前の本ではあっても、十分読むに値する。

私が惹かれた『弱者が強者を駆逐する』という題名だが、「そんなんでいいのかよ」って、芯から思ってる。

できないんなら、できるように努力すべきだ。弱いんなら、強くなろうと努力すべきだ。分からないんなら、理解できるように勉強をすべきだ。金がなくて困ってるんなら、金を稼げるように頑張るべきだ。もちろん、頑張ったってできないことはある。強くならないこともある。理解できないこともある。金を稼げないこともある。

だけど、自分で努力してみることで、例え目的は達せられなかったとしても、いろいろなことが見えてくる。人の見る目も違ってくる。なにより、どのように世に関わっていくべきか、己の分が見えてくる。

「それも分からずに、世の中、甘く見てるんじゃねーよ」・・・これが私の贈る言葉かな。

さて、昨今の感染症になやまされつつ生きる人々は、いつか時間の基準を中国で発生した新型コロナウイルス流行において、新型コロナよりも前か、後かって考えるようになるのかも知れない。



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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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