レジ袋『偽善エコロジー』 武田邦彦
とってもいい人そうに見えて、実は迷惑な人ってのがいる。
その人は、環境問題に熱心な社会科の先生だった。仮にM先生としておこう。私がその人と関わった頃、はやり環境問題は森林の伐採で、木材パルプの代替資源としてケナフという植物が注目されるようになっていた。M先生はとにかく行動力のある方で、早速環境部なるものを立ち上げて、ケナフの栽培を始める。
環境教育っていうのは、・・・なんて言うのかなぁ。《神の国は近づいた》とか、《終わりの日に人は神の前に立つ》とか言って人を脅すのと同じなんじゃないかな。宗教なら、まだマシか。信徒みたいに、無理して神の実在をこじつけなくて済むわけだからね。それが環境となると、学校の先生を論破するのは、やっぱり難しいからね。
環境教育は、神より怖いということだ。
環境教育に熱心な学校の先生は、まさに神に酢かわされた使徒。M先生もそうだった。ケナフを栽培して繊維を取りだす活動を軌道に乗せたM先生は、続いて、近隣の休耕田を借り受けて、古代米の栽培を始めた。なかなか難しかったようだが、各方面からの協力もあって、徐々にうまくいくようになったようだ。・・・というのは、私ももらって食べた。なんだか赤い米で、赤飯みたいだった。
これに管理職が目をつけた。学校の売りに使用というわけだ。M先生の環境教育に理解を示し、生徒の環境に対する意識を高めた校長先生というわけだ。
ほんの数人の環境部員でやってきた田んぼが、いきなり増えた。その年、突然、校長が替わり、M先生も転勤した。広くなった田んぼが、残された。あとに残る人のことを考えず、勝手に物珍しいことを始めてしまう、はた迷惑な人だった。
やむを得ず、M先生の環境教育を引き継いだ社会科の先生は、M先生を呪った。午前3時頃、頭に乗せた五徳ののろうそくに火をつけた社会科の先生が、神社の裏手に消えていくのを見た人がいた。


珍妙な出来事が起こっている。
スーパーとかのレジ袋の有料化が7月から始まるんだそうだ。なぜ、今、またもやレジ袋なのか、さっぱり分からない。この、武田邦彦さんの『偽善エコロジー』の中でも、最初に“レジ袋”の話が取り上げられている。・・・でもねぇ。この本、2008年に出された本なんだ。
経済産業省の言い分を見てみると、プラスチックは便利ではあるけれど、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題があるから、レジ袋を有料化することでライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としていると、わけの分からないことを言っている。日本人を馬鹿にすることが目的と言われれば、最も納得がいくような言い分だ。
レジ袋が有料になるということを、「どうして?」って、連れ合いに聞いてみた。そしたら、マイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐためということになってるんだそうだ。
経済産業省が公開している説明会用資料っていうのを見ると、たしかに、《海洋プラスチックなどの環境問題を解決する一環》としてこれをやるんだと書いてある。
おかしいなぁ。『偽善エコロジー』で武田邦彦さんのがこのレジ袋問題を取り上げたとき、レジ袋が悪人扱いされている理由は、これが石油製品というところにあった。石油製品を使うことが環境に負担をかけているということで、悪者扱いされていた。温暖化対策ってことだったんだ。
それで、中には、その段階でレジ袋を有料化した自治体もある。富山県なんか2008年にそれをやってる。まだ、“海洋プラスチック”云々は、問題化していないんだ。何しろこれを、国際社会で取り組むべき問題と提起されたのは2015年だからね。
変わらないのは、レジ袋を悪者扱いするということ。その理由は、コロコロ変わるわけだ。
環境団体から悪者扱いされた被害者は、たくさんいる。ほぼ全部が濡れ衣だった。今回はどうかな。環境団体っていうのは、正直、信用していない。シー・シェパードやグリンピースも環境団体だからね。
その人は、環境問題に熱心な社会科の先生だった。仮にM先生としておこう。私がその人と関わった頃、はやり環境問題は森林の伐採で、木材パルプの代替資源としてケナフという植物が注目されるようになっていた。M先生はとにかく行動力のある方で、早速環境部なるものを立ち上げて、ケナフの栽培を始める。
環境教育っていうのは、・・・なんて言うのかなぁ。《神の国は近づいた》とか、《終わりの日に人は神の前に立つ》とか言って人を脅すのと同じなんじゃないかな。宗教なら、まだマシか。信徒みたいに、無理して神の実在をこじつけなくて済むわけだからね。それが環境となると、学校の先生を論破するのは、やっぱり難しいからね。
環境教育は、神より怖いということだ。
環境教育に熱心な学校の先生は、まさに神に酢かわされた使徒。M先生もそうだった。ケナフを栽培して繊維を取りだす活動を軌道に乗せたM先生は、続いて、近隣の休耕田を借り受けて、古代米の栽培を始めた。なかなか難しかったようだが、各方面からの協力もあって、徐々にうまくいくようになったようだ。・・・というのは、私ももらって食べた。なんだか赤い米で、赤飯みたいだった。
これに管理職が目をつけた。学校の売りに使用というわけだ。M先生の環境教育に理解を示し、生徒の環境に対する意識を高めた校長先生というわけだ。
ほんの数人の環境部員でやってきた田んぼが、いきなり増えた。その年、突然、校長が替わり、M先生も転勤した。広くなった田んぼが、残された。あとに残る人のことを考えず、勝手に物珍しいことを始めてしまう、はた迷惑な人だった。
やむを得ず、M先生の環境教育を引き継いだ社会科の先生は、M先生を呪った。午前3時頃、頭に乗せた五徳ののろうそくに火をつけた社会科の先生が、神社の裏手に消えていくのを見た人がいた。
『偽善エコロジー』 武田邦彦 幻冬舎新書 ¥ 814 いわゆる「地球に優しい生活」は、じつは消費者にとって無駄でしかない |
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珍妙な出来事が起こっている。
スーパーとかのレジ袋の有料化が7月から始まるんだそうだ。なぜ、今、またもやレジ袋なのか、さっぱり分からない。この、武田邦彦さんの『偽善エコロジー』の中でも、最初に“レジ袋”の話が取り上げられている。・・・でもねぇ。この本、2008年に出された本なんだ。
経済産業省の言い分を見てみると、プラスチックは便利ではあるけれど、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題があるから、レジ袋を有料化することでライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としていると、わけの分からないことを言っている。日本人を馬鹿にすることが目的と言われれば、最も納得がいくような言い分だ。
レジ袋が有料になるということを、「どうして?」って、連れ合いに聞いてみた。そしたら、マイクロプラスチックによる海洋汚染を防ぐためということになってるんだそうだ。
経済産業省が公開している説明会用資料っていうのを見ると、たしかに、《海洋プラスチックなどの環境問題を解決する一環》としてこれをやるんだと書いてある。
おかしいなぁ。『偽善エコロジー』で武田邦彦さんのがこのレジ袋問題を取り上げたとき、レジ袋が悪人扱いされている理由は、これが石油製品というところにあった。石油製品を使うことが環境に負担をかけているということで、悪者扱いされていた。温暖化対策ってことだったんだ。
それで、中には、その段階でレジ袋を有料化した自治体もある。富山県なんか2008年にそれをやってる。まだ、“海洋プラスチック”云々は、問題化していないんだ。何しろこれを、国際社会で取り組むべき問題と提起されたのは2015年だからね。
変わらないのは、レジ袋を悪者扱いするということ。その理由は、コロコロ変わるわけだ。
環境団体から悪者扱いされた被害者は、たくさんいる。ほぼ全部が濡れ衣だった。今回はどうかな。環境団体っていうのは、正直、信用していない。シー・シェパードやグリンピースも環境団体だからね。
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