めんどくせぇことばかり 憲法『危機にこそ ぼくらは甦る』 青山繁晴
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憲法『危機にこそ ぼくらは甦る』 青山繁晴

まず、前提として、アメリカが現行憲法を日本に押しつけたことは、ハーグ陸戦協定に違反している。

・・・“ハーグ陸戦条約”と、一般には言うのか。これは1899年にオランダのハーグで開かれた万国平和会議で採択され、日本も1911年に批准している。宣戦布告、捕虜など戦争に関するルールを決めた条約で、戦争も、ルールに則って行なわれなければならないとするもの。

その43条にこうある。

「国の権力が事実上占領者の手に移った上は、占領者は絶対的な支障がない限り、占領地の現行法律を尊重して、なるべく公共の秩序及び生活を回復確保する為、施せる一切の手段を尽くさなければならない」

マッカーサーは、天皇を東京裁判にかけることを駆け引きに使ってまで、日本に自分の定めた憲法を飲ませたんだから、ハーグ陸戦条約に反していることは間違いない。本来、一国の憲法が、占領軍の押しつけて作られるなんて、ありえない。

この本の著者青山さんが書いている。本来、幣原喜重郎内閣が、このハーグ陸戦条約を盾に、日本の憲法を占領軍主導で変えることに抵抗すべきだった。しかし、占領軍の態度を絶対とするアメリカの態度、アメリカには逆らえないという日本側の雰囲気を覆せなかった。その通りだと思う。

明治憲法だってそう。立役者と言われる伊藤博文はドイツモデルを主張して、イギリスモデルを推す大隈重信と争った。大隈重信の背景には、福沢諭吉の高弟たちがいた。伊藤のブレーンとして、日本を憲政国家に導いていったのが井上毅であった。

明治憲法は上からの押しつけられたなんて言われるが、日本国憲法の制定過程にような、乱暴なものではない。日本国憲法は、その原案作成に、一人の日本人すら参画していない。明治憲法には、国内には憲法を制定しようという合意があった。その上で、いろいろな調査が行なわれ、国内でさまざまな意見が出され、制定されたものであった。

日本国憲法は、無効である。・・・原則的に言えばね。原則的には無効である、この日本国憲法をどう扱っていくか。例えば一部には、日本国憲法が無効である以上、大日本帝国憲法が生きていることになるという意見がある。理屈は分かるが、そんなことを言っていると、いつまで経っても現状を変えることにつながらない。

そのあたりの取り扱いも、青山さんの意見しかないだろうと思う。

「本質的には無効である」という認識をしっかり持ちつつ、現憲法の改正条項に則って改正し、改正を重ねて、最終的に全面的な新憲法の誕生にこぎ着ける。




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次の扉を開こう
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正憲法
ジパング・デモクラシー/日本型民主主義
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あとがきに代えて
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危機を生きる
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青山さんは、国会図書館に所蔵されている、占領下の総理大臣幣原喜重郎がGHQから渡された「CONSTITUTION OF JAPAN」という、占領軍が作った日本国憲法の原案にも当たっている。

それが面白い。占領軍、実質的にはアメリカが、この憲法で日本に何を受け入れさせようとしたか。当時の政権担当者たちは、その“アメリカの意図”を巧みにごまかし、苦しい工夫をして、日本人に受け入れやすいものに書き換えた。それが現在の日本国憲法である。

実際に、三つを並べて、比べてみると、これが実に面白い。

憲法前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」という部分、もともとのGHQの原案はこうあるそうだ。

we have determined to rely for our security and survival upon the justice and good faith of the peace-loving peoples of the world.

直訳すると、「私たちの安全(セキュリティ)と生存(サバイバル)は、世界の平和を愛する諸国民の正義と善意にお願いすることを、もはや決めてしまいました」

これ、“安全”がセイフティではなくセキュリティであることが重要なんだそうだ。セキュリティはセイフティよりも《軍事的な安全》と言うことになるから、それを外国の国民に頼むと言うことは、日本は自ら武装解除するという意味を含んでいるんだそうだ。しかも、“生存”をサバイバルで表していると言うことは、《生き残る》という意味合いをイメージさせる。

総合すると、「日本が今後も国際社会の中で生き残っていくためにも、日本の軍事的な安全は世界の国々の人々に頼って、自らは武装解除する」ということになる。

このアプローチは大変面白い。

18歳以上なら、国立国会図書館に行って、誰でもこの英文の原案をコピーで手に入れることができるんだそうだ。これは、高校の社会科の授業で取り上げるといい。とても面白い勉強ができそうだ。英語の教科書に載せてみればどうだろう。・・・そんなことできるわけないか。

孫が中学生にでもなったら、夏休みの課題にこれをやらせてみようかな。


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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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