めんどくせぇことばかり 『爺の暇つぶし』 吉川潮 島敏光
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『爺の暇つぶし』 吉川潮 島敏光

すでに子育ては終わった。

娘も息子もとっくに成人し、二人とも結婚して家庭を持った。娘は二児の母となり、今や、子育てに頭を痛めている。二人とも、連れ合いと力を合わせ、この先、厳しいことがあっても、なんとか乗り越えていってくれるだろう。十分であったかどうかはともかくとして、、命をつなぐという仕事は果たした。

と言うことは、余生に入ったと言っていいんだろう。しかも、1年前に定年を待たずに早期退職し、言わば隠居生活を始めた。そして、私は今年、還暦を迎えた。私が子どもの頃であれば、そろそろ人生を終える覚悟を持たなければならないような年齢だ。でも、今は違う。どこに落とし穴があるかは分からないが、今はまだ、死を目前のものと捉える状況にはない。

私の感覚で言えば、子どもたちは自立し、仕事を辞め、還暦を迎えた私は老人だ。なぜか、この老人と言う言葉を、最近、聞かないような気がする。使いづらい、何らかの理由でもあるのだろうか。まあ、いい。とにかく私は老人だ。

以前、渡辺京二さんの『未踏の野を過ぎて』に、書かれていた。「あとは自分の好きなものを見、好きな音を聞き、好きなものに触れ、好きなものを味わっていきたいもんだと思う。そして、“人”とは、“社会”とは、そう言ったことを暇に任せて考えていく責任が老人にはある」と渡辺さんは書いていたが、それは渡辺京二であればこそ意味のあることだ。私ごときでは。耳を傾ける者もいない。

だけど、今は、こんなブログなんてものもあるし、意見の表明ができないわけじゃない。“人とは、“社会とは”と振りかぶった斧を落とすようなわけにはいかないが、私には私のやり方があるだろう。そう思いつつ、こんなことを書くのも、“爺の暇つぶし”の方法の一つになるか。

“爺の暇つぶし”を充実したものにするには、まず、自分の連れ合いとの間合いを見切ることが必要だろう。仕事をして、会社からバンバンお金を運んできた頃は、役割分担という形で、当然のように食事を作っていた妻も、その夫がリタイヤしたとなると、「なぜ私ばかりが」ということになる。

そりゃ、そうだな。しかも、朝昼晩の1日3食、毎度毎度、作ってもらって当たり前と思われたんじゃ、こりゃたまらないね。島敏光さんがすごい言い方。「こうなってくると、食事を提供すると言うより、家畜にエサを与えるような気分。いや、家畜ならまだ役に立つ」と、仕事を辞めた亭主は家畜やペット以下に落ちることもありうると。


『爺の暇つぶし』    吉川潮 島敏光


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いざ定年を迎えてみたら、ありあまる時間をもてあまし気味のシニアの方々へ
第1章 食事とおしゃべりは絶好の暇つぶし
第2章 映画、音楽、ライブは暇つぶしの三種の神器
第3章 散策は金がかからない暇つぶし
第4章 旅は道連れも良し、一人旅も良し
第5章 テレビとインターネットに依存してはならない
第6章 60過ぎたら気をつけなければならないこと
第7章 先人たちから学んだこと
第8章 私の暇つぶしの相手
第9章 暇な時こそ人生の整理を


これはマズイ。

きちんと、連れ合いとの間合いを見極めないとね。連れ合いとの間合いを見極めて、お互いを尊重し合えるような、新しい関係を作っていかないといけない。仕事を辞めて1年が過ぎたけど、それができたとは、まだ言いがたい。それに、状況に合わせて、どんどん移り変わっていくものだと思うしね。

その上で、楽しい毎日を過ごすためには、・・・。実のところ、この本を読んだ上でこんなことを言うのはどんなもんかと思うんだけど、本来そんなこと、人に教えてもらうようなもんじゃないような気がする。やりたいことをやればいい。

早期退職するとき、ほぼ自分の気持ちを決めてから、「山に登りたいんだけど、仕事辞めていい」って聞いた。そのためにわざわざテントを担いで尾瀬まで行って、満天の星の下で聞いた。ざまあみろ!

だけど、新しい関係を作るに当たって、いろいろ気は遣った。私が家にいることによって、連れ合いの負担が増えるのは極力避けた。お二人も書いているけど、家で作ってもらっちゃダメだよね。外で食べればいい。それも、飯友を作って、いろいろなところに出かけて食べるのがいいそうだ。

映画、音楽、演劇、寄席、スポーツ観戦、・・・何でもいいんだよね。なかには、値段の張るものもあるけど、お手軽なものもある。映画なんて、安いもんだな。だけど、今まで、映画はいつも連れ合いと一緒なんだよな。午前中の上映を一本見て、ご飯を食べて変えるパターン。連れ合いとの新しい関係によっては、これを一人で、あるいは連れ合い以外の人と行ってこられるようになればいい。

庭園や公園の散策っていうのは、私の山登りみたいなもんかな。美術館や博物館、場合によっては神社仏閣のお参りとセットにしてね。花の名所をめぐってみるのもいい。

テレビは、あんまり見ない方がいいな。とはいうものの、映画やドラマにも面白いのがあるからね。それ以外の作られたような情報番組は、見ない方がマシ。私はラジオだな。NHKFMをかけていることが多い。ニュースだって、テレビよりもラジオの方が情報の操作が少ない分だけいい。

吉川潮さんは、おしゃれにもこだわりがある。帽子にもこだわりがあって、爺にも勧めている。《電車の中や町中で禿げ頭や髪の薄い男性を見かけるにつけ、「どうして帽子をかぶらないのかしら」と思います。中には他人に不快感を与えかねない頭の人もいるのです》と言っている。“他人に不快感を与えかねない頭”とは、どんな頭のことを言ってるんだろう。

《潔いのも考えもので、未練たらしく生きるほうがいいと思うのです。皆さんも未練をなくさず、未練たらしく長生きしましょう》と言いながら、《ただ、長生きするにも恐いのは病気です》と。さらには、《90歳まで生きても最後の10年が寝たきりだったら、「80歳で死んだ方が良かった」と思いませんか。特養ホームで生きる屍のように過ごす老人をニュースで見るにつけ、そう思うのであります》だって。

吉川潮さんの今後が、なんだか心配。




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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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