めんどくせぇことばかり ドングリよりも栗『縄文探検隊の記録』 夢枕獏 岡村道雄
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ドングリよりも栗『縄文探検隊の記録』 夢枕獏 岡村道雄

よく栗を拾いに行った。

兄たちに連れられて、幼なじみとかと一緒に、学校帰りに突然思い立って、時期になると我慢できずに栗を拾いに行った。山の中を歩き回って山栗を広い、ポケットがパンパンになるまで拾って、うちに帰る。帰ってからお勝手に行って、流しにポケットからバラバラ出して、母に煮てもらって食べた。

だけど、山栗は小さいから、ずいぶん拾って帰っても、腹一杯になるわけじゃない。その上、むくのがすごくめんどくさい。できれば大きいのが良いけど、それは栽培されているやつで、畑の中に入って取ると怒られる。何度か続くと、追いかけられる。

栗畑の垣根からはみ出しているのは取ってもいいと、子どもは勝手に決めつけて拾った。それで怒られたことはないから、それは子どものすることだからと勘弁してくれていたのかも知れない。

まだ完全に弾けていないのは、両足で踏んで、脚を広げるようにしていがを左右に割る。私はけっこう、いがを割るのがうまかった。台風のあととかに行ってみると、垣根の外側にずいぶん落ちている。中にはまったく弾けていない、完璧にいがの鎧をまとった栗まで落ちていた。

その場合、上下を見分けて、このあと弾ける予定だった場所を真ん中にして上から両足で踏み、靴の中の親指に力を入れて左右に開く。時々、まだ栗色になってない、白いままの栗まで出てきたりしてね。

なぜか私の中の栗の記憶は、運動会に結びつく。それも地区の運動会。数日前の台風が、周辺の雲を巻き込んで北東に去って行った。天気は快晴、見事なまでの秋空が広がっている。

朝ごはんの準備と片付けが終わった母は、今度は私にせがまれて栗を煮る。「まだだよ」って言って、私はお勝手から追い出される。そのうち、近所の友達が迎えに来てしまう。どうしようと思っていると、母が煮上がったばかりの栗を紙の袋に入れてお勝手から出てくる。

私はそれを受け取り、ナップサックに入れて、友達と一緒に学校に向かうんだ。ナップサックに入れた煮上がり立ての栗で、背中が少々温かすぎるのを感じながらね。


『縄文探検隊の記録』    夢枕獏 岡村道雄


インターナショナル新書  ¥ 946

日本列島に住んだ祖先たちはどのような生活を送り、どんな精神文化を築いていたのか
第1章 日本人の食の源流
第2章 住まいとコミュニティー
第3章 翡翠の道をたどる
第4章 土偶と諏訪信仰
第5章 生命の木「クリ」
第6章 漆文化のルーツ
第7章 天然の接着剤「アスファルト」
第8章 縄文の神々


縄文時代の基本料理は、鍋だったそうだ。

遺跡からはおびただしい数の縄文土鍋が出てくるんだそうだ。その土鍋で、おそらく何でも鍋にして煮て食べていた。毎日が寄せ鍋と言うことだな。うらやましい。味は食材から出た出汁と、塩、山椒などの香辛料も使われたという。

春は、昼間に大潮の干潮がくる。アサリやハマグリが捕りやすくなる。潮干狩りだな。貝の入った鍋か。いい出汁が出るだろうな。魚も捕れるだろうしね。今みたいな、焼き魚って言う食い方はなかったみたいよ。だからみんな鍋に入れて食べたようだ。

なんでそんなことが分かるかというと、遺跡からは魚の骨やひれも出てくるんだそうだ、それらの中に、焦げたものが見当たらないんだって。そんなところまで見て、研究するんだ。

刺身も分からない。刺身にするなら、三枚におろすでしょ。そうすると中骨に三枚おろし独特の切り口ができるらしいんだけど、そういう骨は見つかっていないんだって。

陸のものは何を食べていたか。獣肉は狩り次第だから、やはり頼りになるのは植物。私はずっと、縄文人はドングリを上手にあく抜きして食べていたんだと思っていた。

たしかにドングリを食べていた。実際に地下の室のような穴に貯蔵された状態でドングリが出土することがあるそうだ。だけど、今の研究では、量的には圧倒的に栗のほうが多かったらしいんだ。

順番で言うと、栗、次が胡桃、トチの実、ドングリって言う順番だそうだ。そんなに栗を食べていたんだ。

栗はあく抜きの必要がなく、甘くておいしい。土に入れておけばより甘くなるし、春まではそのまま貯蔵することができるそうだ。乾燥させて、いわゆるカチ栗にすれば、いつまででも持つ。

より大きな実のなる木を残していったらしく、縄文時代も時間の経過とともに栗の実が大きくなるんだって。ただし、甘くておいしい栗を食べるようになったことで、どうやら縄文人は虫歯になってしまったらしい。歯周ポケットにかなりの虫歯が見られるんだって。

縄文に関する研究は、まさに日進月歩だな。



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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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