めんどくせぇことばかり 『日本を創った12人』 堺屋太一
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『日本を創った12人』 堺屋太一

すでに時価の本ではあるが、外出を控える日々を送る中、ずいぶん前に読んだ本を引っ張り出してみるのもいい。

“日本を創った12人”を選抜するっていうのは、すさまじく難しい。自分だったら誰を選ぶだろう。そのあたり、人によってだいぶ変わってくるだろう。誰が、どういう観点から、誰を選ぶかってのはとても興味深いところだ。

堺屋さんが選んだ12人の人となり、業績、後の日本人にどのような影響を与えていったのか、それが書かれているのがこの本。前編と後編の2冊に分かれる。

前編で取り上げられているのが、聖徳太子、光源氏・・・光源氏?、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康。そして後編で取り上げられているのが、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助。

もしも私が選んだとしても、源頼朝と石田梅岩は入れると思う。それ以外は、たぶん重ならない。光源氏は絶対選ばない。

堺屋さんの選抜基準は、現代の日本の社会構造と私たちの発想の始祖であるということ。マッカーサーに関しては、“発想の始祖”というよりも、東京裁判史観を洗脳したというにとだな。敗戦から75年経っても、いまだにあの洗脳から解けない者も多い。なにそろマスコミと学問の世界をその戦後史観の利得者で押さえてあるから、少年少女の人生は、洗脳された状態で始まる。現代の日本に与えた影響力から考えても群を抜いている。

そんな中でも、池田勇人、松下幸之助らに牽引されて、経済で一流になることを目指し、戦後の高度経済成長を遂げ、まさに世界の経済を引っ張ってきた。しかし、・・・

この本は1997年第一版なんだけど、バブルが弾けて、その後長く続く日本経済低迷期真っ只中。真っ暗なトンネル中で、出口の明るささえ感じられないような時代。

グローバル化が叫ばれる中、経済不況から脱出できない日本は多くのものを失っていった。そのような状況であるからこそ、日本は大きな変革を迫られていた。そんな中で、堺屋さんはこの本を著した。




PHP新書  ¥ 時価

何を守り、何を切り捨てるか。その選択が日本と日本人の未来を決める
石田梅岩
大久保利通
渋沢栄一
マッカーサー
池田勇人
松下幸之助


これまで通りの日本では、もはや、立ちゆかない。

かといって、アメリカの求めるグローバル化を受け入れるということは、さらにアメリカナイズされた日本、・・・いや、アメリカそのものにならざるを得ない。それはもはや、日本ではない。

ハンチントンは『文明の衝突』の中で、日本を他に類例のない独自の文明として、西欧文明、ラテンアメリカ文明、アフリカ文明、中華文明、ヒンドゥー文明、東方正教会文明、イスラム文明、日本文明と、八大文明の一つに数えた。日本をそのような独特の国にした先人たちの代表として、堺屋さんは、この12人を選抜したわけだ。

聖徳太子が発想した同時多宗教信仰は、たしかに日本を除く地域ではあり得ない。それが日本であり得たのはなぜか。ユダヤ教徒とイスラム教徒が、イスラム教徒とキリスト教徒が、各宗教の原理主義が、宗教と宗教が、宗派と宗派が、民族と民族が、国と国が、お互いの違いばかりをあげつらう中、日本人が今に引き継ぐ聖徳太子の発想は、もしかしたら世界を救えるかも知れない。

源頼朝が作り上げた権力の二重構造、権力と権威の二重構造は、堺屋さんは“世界に例のない”というが、イスラムにおいて、アッバース朝のカリフがセルジューク朝にスルタンの称号を与え、政治権限を譲って、カリフは権威だけの存在になったという時期があった。後に、イスラムの盟主であるオスマン朝が、国王の権威を強化するためにスルタン・カリフ制を前面に出すことになる。どうも、イスラムにおいては、その方が座りがいいらしい。

郷土の先輩、渋沢翁が押し進めた合本主義、いわば官民協調と業界談合制度。官と民は、日本の場合、欧米のように対立項ではないんだな。談合も、いかにも日本らしい。

従来の日本らしさを活用し、新しい発想と合致させることで、先人たちは道を開いてきた。だけど、その反面、いつだって多くのものを失ってきたことも事実。

私たちの生きる現代に近いところでも、明治維新とその後の明治期、日本は新しい世に対応できる大変革を成し遂げたが、失ったものも大きい。まさに、渡辺京二さんの『逝きし世の面影』に書かれたところだ。

戦後の国際政治優先の時期を経て、日本は高度経済成長期に入る。いくつもの要因が指摘されているが、なによりも日本人の意識が変わった。政治よりも、精神性よりも、豊かになることを、日本人は優先した。

いま、世界が感染症流行に見舞われている。感染症対策にしても、日本は独自の対策を試みている。その先に、きれいな虹を見せてくれるリーダーが登場すれば、日本はこの感染症の流行を、変革の好機に出来るかも知れない。



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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本








































































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