めんどくせぇことばかり 『古代オリエントの神々』 小林登志子
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『古代オリエントの神々』 小林登志子

太陽神シャマシュのように、大神は眷属にあたる神や随獣を従えることがある。古くは牛人間を眷属にした。牛人間は人間の上半身と牡牛の下半身を合体し、しかも人間のように後ろ足で立っている姿で表現される。太陽神と野牛の頭とが結びついていたのが古い形であったようだ。牡牛そのものはメソポタミア北部で祀られていた天候神アダドなどの随獣であった。

次第に太陽神の随獣は牛の合成獣から馬に交代する。翼のある馬、あるいは上半身が人間で下半身は馬という合成獣、ケンタウロスが中期アッシリア時代、前1500~前1000頃の印章に見られる。馬の頭部のモチーフは、イシン第2王朝ネブカドネザル1世(1157~1026)の時代に見られる。この頃には馬がひく戦車が戦争で使われていて、太陽神にふさわしい動物として認知されたものと思われる。

牛から馬への交代は、インド・ヨーロッパ語族の影響という指摘もある。イラン起源の太陽神ミスラは馬を随獣としていた。また、インドの太陽神スーリヤは七頭の馬に、ギリシャの太陽神ヘリオスは四頭の馬に引かせた戦車で天空を行くと信じられていた。

日本の信仰の中で牛や馬って言うと、・・・あれか、午頭天王とか、馬頭観音とか。

牛頭天王は八坂神社か。7歳にして身長が7尺5寸、3尺の牛の頭って、こりゃ恐ろしい。素戔嗚尊と同一視されたり、大国主命の荒魂と考えられていたり、さらには蘇民将来の話の中でも重要な役割を果たしたりする。

馬頭観音は、サンスクリット語でハヤグリーヴァで、“馬の首を持つ者”という意味をもつ。通常、観音様といえば柔和な表情で描かれるが、馬頭観音は憤怒の表情で描かれることが多い。

やはり、牛も馬も、オリエントに起源を持つものが、日本にまで影響を与えてるんだな。



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さまざまな文明が興り、消えゆくなか、人がいかに神々とともに生きたかを描く
序章 神々が共存する世界―古代オリエント史の流れの中で
第1章 煌く太陽神、霞む太陽神
第2章 地母神が支配する世界
第3章 死んで復活する神々
第4章 神々の王の履歴書
終章 「アブラハムの宗教」が対立する世界


ミトラス神は、バラモン教ではミトラ神、ゾロアスター教ではミスラ神と呼ばれる。ギリシャ人はミトラス神、ローマ人はミトラ神と呼んだ。インド・イラン語族に属する人々がオリエントに持ち込んだ神と考えられる。

古くは「交換」、「契約」を意味した言葉らしい。始まりは契約の神だが、「すべてを見、すべてを知る」という特性を持つことから、派生して太陽神となった。


ゾロアスター教の最高神アフラ・マズダは「全知」「知る者」「知恵主」といった意味で、アケメネス朝やササン朝の守護神であった。伝統的なアーリア人の神々の中には存在しなかったはずの神で、ゾロアスターの改革によって創造された神という説、またバラモン教のミトラと並ぶ最高神ヴァルナに起源を求める説もある。

アフラ・マズダは善きものの創造者で光明と密接な関係を持つことから伝統的な光明神のミスラと対立することになる。本来、ミスラこそ、光明神であり、闇と戦う軍神であった。

ゾロアスターによる改革で一時脇に追いやられ、他の一段低い善神と同じレベルに下げられた。しかし、ミスラはやがて、アフラ・マズダと並ぶペルシャ王朝の守護者として復権する。


ゾロアスター教では、ミスラは、アフラ・マズダと后妃アナーヒター女神の子神として、三神は聖家族として一体となって祀られた。

ミスラはアナーヒターの体内からではなく、岩の洞穴から十二月二十五日に誕生したと信じられた。幼児神として表されたミスラが、キリスト教に“神の子イエス”という発想を与え、クリスマスのもとになったといわれている。


一方、中央アジアに広がったゾロアスター教の土台の上に仏教が流入し、ミスラは遠い未来に出現する救世主のであるマイトレーヤ・ボッディサットヴァの誕生を促した。これを“中国”では弥勒菩薩と漢訳した。

ミスラがギリシャ語化したミトラス、ローマ語化したミトラは、当地で太陽神として信仰を集め、様々に習合して幅広く信者を集めた。帝政ローマにおいては、ディオクレティアヌス帝は“帝国の恩恵者”“不敗の太陽神”としてミトラスを祀っている。

しかし、313年のミラノ勅令でローマがキリスト教を公認するとミトラス教は衰え始め、テオドシウス帝が異教禁止令を出すに及んで、ミトラス教は5世紀初頭を最後にその姿を消した。

この多様な神々の物語は、とてつもなくダイナミック。それがつまらないルサンチマンにより、味気ない一神教に取って代わられていったのは、返す返すも残念。



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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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