めんどくせぇことばかり “はじめに”『元気に下山』 五木寛之
FC2ブログ

“はじめに”『元気に下山』 五木寛之

4月24日に出された本。

すでに緊急事態宣言が出されている中でのことだけど、五木寛之さんが書いた“はじめに”には、今、流行している武漢発感染症のことを思わせるような言葉はない。おそらく、この前書きは、緊急事態宣言が出されるよりも、ずいぶん前に書かれたもんだろう。

それにもかかわらず、まるで、感染症の流行で社会そのものが逼塞せざるを得ない状況を言い当てるかのようなことが、この“はじめに”には書かれている。

ということは、・・・そうか、この感染症がパンデミックに陥るその前から、私たちは「明日が見えない」時代に突入していたんだ。

《明日が見えない。これは国際政治とか経済の問題だけではありません。人生に対する考え方そのものが、揺らいでいる。これまで常識として感じられてきた考え方が、どこでも、いつでも通用するとは言えなくなってきたのです》

「明日が見えない」国際政治。「明日が見えない」経済。

それも、問題になっている。それだけで、世界中の人の生活が揺さぶられている大きな問題になっている。だけど、問題はそれだけじゃない。“人生に対する考え方そのもの”が揺らいでいると言う。

《人間関係をひっくるめて、およそ共通する規範というものが失われてきたようにも見えます。これまでの処世訓や人生観もそうです。いま私たちは、まさに未知の世界へ足を踏み込もうとしているのではないか。見えない明日に直面して呆然と立ちすくんでいる
のです。どう歩けばいいのか、何をめざすべきなのか、それが見えない》

まるで感染症大流行を前に“呆然と立ちすくんでいる”今日の私たちの姿そのものが、ここに言い表されている。でもそれは、感染症大流行の前からそうだったと。


『元気に下山』    五木寛之


宝島社新書  ¥ 814

海図も羅針盤もないまま、家族、仕事、健康、人間関係は大きく変貌しつつある
第1章 「人生100年」時代を生きる
第2章 人生後半の問題
第3章 晩年期の家族
第4章 新時代の日本社会
第5章 生きること、死ぬこと


私はまだ、この本を読んでない。

読んだのは、“はじめに”だけで、これを読んだだけで、驚いてしまっている。それが、感染症大流行を前に呆然と立ちすくむ私を、そのまま捉えているから。

ただ、呆然と立ちすくむ理由は、感染症が大流行する前から私たちの目前にあった。それは、「人生100年」という、とんでもない現実。


これまでの処世訓や人生観は、おおむね「人生50年」を想定して語られ、それ以降は余生とされていた。・・・私の意識の中では、「人生60年」で、あとは余生。70歳までは元気で山に登りたいから、1年でも早くと早期退職した。今、60歳の私には、そこまでしか見えていなかった。

90歳を目前にした五木寛之さんにしてみれば、そうじゃない。はっきり、「人生100年」が見えている。たしかに、70歳くらいまでは働けと国は求めている。年金はそれから、いや75歳から年金支給するから、そこんところはよく考えてってところでしょ。

たしかに、10代の少年少女には、その先に90年の人生が待っている。30代の働き盛りには、それに60年の人生が続く。そう考えれば、「人生100年」は、80代、70代の老人の問題ではなく、誰にとっても大きな問題ということになる。

未来の時間が倍になると言うことは、前半生の生き方にも、当然、影響を及ぼす。

従来の思想、哲学、文化などは、いずれも「人生50年」を土台に成り立ったもの。

「子曰く、吾十有五にして学に志す、三十にして立つ、四十にして惑わず、五十にして天命を知る、六十にして耳順う、七十にして心の欲する所に従えども、矩を踰えず」

私たちは今、先人の知恵を参考にしつつも、海図も羅針盤もない「人生100年」という大海原にこぎ出すことになる。そこに感染症大流行だ。呆然と立ちすくむのもやむを得ないと言うところだ。

だけど、誰かが先にふぐを食った。毒キノコも食った。こぎ出してみないことには分からない。とりあえずは、生きてるだけで儲けものくらいの気持ちで、気楽に生きよう。

“はじめに”に衝撃を受けて書いてしまった。・・・じゃあ、読んでみるかな。



関連記事

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


あなたにとって切ない歌とはなんですか?
いい歌はたいてい切ない。あるときふとそう気づきました。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本












































































リンク
検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事