『世界「新」経済戦争』 川口マーン惠美
EUは、温暖化対策を、日本や新興アジア諸国の経済を抑える手段としようとした。
技術革新は、常に歴史を動かしてきた。蒸気機関車の登場は、それまで使われてきた馬車を不要のものとした。電車が登場して、蒸気機関車は観光用として走るだけになった。
電気自動車が登場すると、ガソリン車やディーゼル車は消えるのか。電気自動車がすぐれているなら、そうなるんだろう。川口さんも言ってるんだけど、今の自動車産業に興っていることを考えると、どうもすっきりしない。そう、電気自動車への切り替え。
これまでの技術転換は、あくまでも自由市場を舞台にして進められてきた。今、進めれている内燃エンジンから電気モーターへの転換は、なんとも胡散臭い。企業がイノベーションを進める動機は、利益の向上にある。市場の意思を的確に把握し、開発し、価格を下げる努力をする。この部分が、電気自動車へのシフトの場合、・・・どうなんだろうか。
市場の意思とは無関係に、補助金による誘導と、税金の圧力で強引に進めれようとしているこのシフトを、人々が受け入れざるを得ないのは、それが地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出を、これで抑えることが出来ると考えるからだ。
だけど、違う。現在、二酸化炭素の排出による地球温暖化が進行中であり、国連に招かれて演説し、絶賛されたグレタ・トゥンベリさんが考えているように、「2100年までに南の島は沈み、沿岸の都市は消えてしまう」と、EUのお偉いさんたちが吹き込んだ嘘が、すべての始まりにある。
つまり、私がこの転換を胡散臭いと思うのは、市場の意思の段階で、すでに操作されていると感じるからだ。いや、ちょっと違う。市場の意思は、決して上からの洗脳を受け入れきっているわけではない。洗脳が完全ではないからこそ、洗脳に躍起になっているように感じるんだ。
たとえば、年端もいかないスウェーデンの娘を、国連に呼んでまで持ち上げ、まるでジャンヌ・ダルクの再来を迎えるかのような大騒ぎ。そうして“惑星はあと10年持たない”とか、“南の島が沈む”とか、“勉強しても地球がなくなっていたらどうしようもない”とか、ぼーっと生きてるとしか思えない少年少女の戯言に相づちを打って、嘘を重ねる。



どうして、そこまで躍起になるのか。
答えは一つじゃないだろう。政治や経済を動かす立場にいるいろいろな人たちの思惑が、「脱石油」の方向で一致しちゃったんだろう。世界はすでに、「脱石油」に舵を切ったと言っていいそうだ。
通常のガソリン車、ディーゼル車の販売に規制をかける国が出てきた。EV車に限るとか、EV車かHV車とか、とにかく何らかの帰省をかけようというのが、ノルウェー、オランダ、インド、“中国”、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ。時期も、禁止の内容もいろいろだけど、どうも流れは出来てしまっているみたい。
国際エネルギー機関の報告によれば、石油需要の56パーセントが、輸送に使われているそうだ。先進国でガソリン車やディー是エル車の販売が出来なくなれば、石油の需要は大きく減る。
アメリカのようなシェールガスというエネルギーを持ち、ガソリン車の製造技術があって、しかもテスラなど電気自動車で先行している国は、鬼に金棒って状態だそうだ。フランスも原子力による電力もあり、日産を通じて電気自動車技術を持っている。“中国”は、ガソリン車ではいつまで経っても先進国の後塵を拝すばかり。その点、電気自動車なら先進国に先行できる可能性もある。だからこそ、政策としては、すでにそちらにシフトしている。日本には電気自動車もあれば、ハイブリッド車も、プラグイン・ハイブリッド車も、水素燃料車もある。電気自動車の要であるバッテリーに関する技術も高い。なにより、物作りに関する、高い信頼がある。
問題は、アラブ諸国やロシアといった産油国だ。これらの国は、石油という巨大資源に恵まれてゆえに、モノカルチャー体制から抜けられなかった。石油収入が半減すれば、そのまま国家予算が半減する。
サウジアラビアの石油鉱物資源相を20年以上務めたアハマド・ザキ・ヤマニの言葉がおもしろい。「原油はまだまだ地下に眠っている。だが、時代は技術で変わる。石器時代は意思がなくなったから終わってのではない」
電気自動車への移行の理由の一つは、資源を握るものの国際政治への影響力を、相対的に低くするところにありそうだ。
やはり背景には政治、あるいは経済がある。
だからといって、嘘をついて良いということにはならない。いや、政治であり、経済であるからこそ、嘘は排除すべきだ。フランクリン・ディラノ・ルーズベルトは、アメリカを戦争に持ち込むために嘘をついた。嘘をついて、日本をおいつめた。そして戦後に残ったものはなにか。共産主義が半分を支配する地球だ。
技術革新は、常に歴史を動かしてきた。蒸気機関車の登場は、それまで使われてきた馬車を不要のものとした。電車が登場して、蒸気機関車は観光用として走るだけになった。
電気自動車が登場すると、ガソリン車やディーゼル車は消えるのか。電気自動車がすぐれているなら、そうなるんだろう。川口さんも言ってるんだけど、今の自動車産業に興っていることを考えると、どうもすっきりしない。そう、電気自動車への切り替え。
これまでの技術転換は、あくまでも自由市場を舞台にして進められてきた。今、進めれている内燃エンジンから電気モーターへの転換は、なんとも胡散臭い。企業がイノベーションを進める動機は、利益の向上にある。市場の意思を的確に把握し、開発し、価格を下げる努力をする。この部分が、電気自動車へのシフトの場合、・・・どうなんだろうか。
市場の意思とは無関係に、補助金による誘導と、税金の圧力で強引に進めれようとしているこのシフトを、人々が受け入れざるを得ないのは、それが地球温暖化の原因である二酸化炭素の排出を、これで抑えることが出来ると考えるからだ。
だけど、違う。現在、二酸化炭素の排出による地球温暖化が進行中であり、国連に招かれて演説し、絶賛されたグレタ・トゥンベリさんが考えているように、「2100年までに南の島は沈み、沿岸の都市は消えてしまう」と、EUのお偉いさんたちが吹き込んだ嘘が、すべての始まりにある。
つまり、私がこの転換を胡散臭いと思うのは、市場の意思の段階で、すでに操作されていると感じるからだ。いや、ちょっと違う。市場の意思は、決して上からの洗脳を受け入れきっているわけではない。洗脳が完全ではないからこそ、洗脳に躍起になっているように感じるんだ。
たとえば、年端もいかないスウェーデンの娘を、国連に呼んでまで持ち上げ、まるでジャンヌ・ダルクの再来を迎えるかのような大騒ぎ。そうして“惑星はあと10年持たない”とか、“南の島が沈む”とか、“勉強しても地球がなくなっていたらどうしようもない”とか、ぼーっと生きてるとしか思えない少年少女の戯言に相づちを打って、嘘を重ねる。
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どうして、そこまで躍起になるのか。
答えは一つじゃないだろう。政治や経済を動かす立場にいるいろいろな人たちの思惑が、「脱石油」の方向で一致しちゃったんだろう。世界はすでに、「脱石油」に舵を切ったと言っていいそうだ。
通常のガソリン車、ディーゼル車の販売に規制をかける国が出てきた。EV車に限るとか、EV車かHV車とか、とにかく何らかの帰省をかけようというのが、ノルウェー、オランダ、インド、“中国”、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカ。時期も、禁止の内容もいろいろだけど、どうも流れは出来てしまっているみたい。
国際エネルギー機関の報告によれば、石油需要の56パーセントが、輸送に使われているそうだ。先進国でガソリン車やディー是エル車の販売が出来なくなれば、石油の需要は大きく減る。
アメリカのようなシェールガスというエネルギーを持ち、ガソリン車の製造技術があって、しかもテスラなど電気自動車で先行している国は、鬼に金棒って状態だそうだ。フランスも原子力による電力もあり、日産を通じて電気自動車技術を持っている。“中国”は、ガソリン車ではいつまで経っても先進国の後塵を拝すばかり。その点、電気自動車なら先進国に先行できる可能性もある。だからこそ、政策としては、すでにそちらにシフトしている。日本には電気自動車もあれば、ハイブリッド車も、プラグイン・ハイブリッド車も、水素燃料車もある。電気自動車の要であるバッテリーに関する技術も高い。なにより、物作りに関する、高い信頼がある。
問題は、アラブ諸国やロシアといった産油国だ。これらの国は、石油という巨大資源に恵まれてゆえに、モノカルチャー体制から抜けられなかった。石油収入が半減すれば、そのまま国家予算が半減する。
サウジアラビアの石油鉱物資源相を20年以上務めたアハマド・ザキ・ヤマニの言葉がおもしろい。「原油はまだまだ地下に眠っている。だが、時代は技術で変わる。石器時代は意思がなくなったから終わってのではない」
電気自動車への移行の理由の一つは、資源を握るものの国際政治への影響力を、相対的に低くするところにありそうだ。
やはり背景には政治、あるいは経済がある。
だからといって、嘘をついて良いということにはならない。いや、政治であり、経済であるからこそ、嘘は排除すべきだ。フランクリン・ディラノ・ルーズベルトは、アメリカを戦争に持ち込むために嘘をついた。嘘をついて、日本をおいつめた。そして戦後に残ったものはなにか。共産主義が半分を支配する地球だ。
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