『知らないと恥をかく世界の大問題11』 池上彰
長谷川慶太郎さんが亡くなって1年が過ぎた。
最後に読んだのは、長谷川さんが亡くなったあと、生前にテープに吹き込んでおいた音声を編集して一冊にまとめたものだった。その本の題名は、長谷川さんの遺言と言っていいだろう、なんと、『中国は民主化する』だった。あまりの驚きに、還暦の私がシェーの姿勢のまま5mは飛んだ。
いつも、いろいろな角度のニュースに触れるようにはしているが、一個人で持続的に分析していくのは難しい。だから、それが可能な人の書いたものを読ませてもらう。なかでも、一番の指針にしていたのが長谷川さんだった。ここ20年ほどは、そうしていた。
その長谷川さんが亡くなったので、仕方がない。まずは、できるだけ継続的にいろいろな角度のニュースを確認し、できるだけ持続的に分析していく。自分でやる。もちろん、それが可能な人の書いたものも読む。読みながら、一番の柱に出来る人を見つけたい。
そんなことを思って、この本を読んでみた。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』
こういう題名の本を、池上さんが出しているのは知ってたけど、それにしても“11”とはビックリだ。このシリーズは、どうやら1年に1冊のペースで出されているらしい。そういう点では、長谷川慶太郎さんの『大局を読む』シリーズと一緒だ。
そういう意味で、じつはちょっと期待していた。


じつは、この本を読むまで、池上彰さんの本は、ほとんど読んでない。
最近、佐藤優さんとの対談ものをいくつも出しているようだけど、それは読んだ。『新・戦争論』と、『大世界史』だったと思う。池上さんがお一人で書かれたものは、読んだかも知れないけど、記憶には残ってない。
理由の一つは、題名にある。
それは、NHKの時代に原因の一端があるように思う。池上さんの一番の特徴は、分かりやすさにあるんだと思う。・・・ちなみに、その著書は読んでいない私でも、テレビではよく見ているので知っている。NHK時代、池上さんは、自分でニュース原稿というのは、分かりづらくてつまらないと感じていたそうだ。
池上さんは、その原稿を分かりやすく書き直していたそうだ。さらには、《週刊こどもニュース》では、1994年から退職する2005年まで、ニュースに詳しいお父さんっていう立ち位置で、ニュースの解説をしていたそうだ。この時、お母さん役を演じていたのが柴田理恵だった。
だから、対象に対する働きかけが、“お父さん”になってしまったんだろう。それが、私のような天邪鬼には、ダメなんだな。『知らないと恥をかく・・・』なんて持ちかけられると、「そんなの知ったことか」となってしまう。
他にも、『子どもにも分かる・・・』なんて、もうダメね。「オレが子ども以下だとでも言いたいのか、偉そうに・・・」ってなっちゃう。『・・・はむずかしくない』なんて言われると、「それが分からないオレは、馬鹿だってことか」っと、こうなる。
『・・・ よくわからないまま社会人している人へ』、このシリーズ、たくさんあるけど、これもダメ。
『池上彰の講義の時間 高校生から分かる・・・』シリーズ、これもダメ。
天邪鬼になってる間に、池上さんの本は読まなくなってしまった。そんなわけで、記憶に残る中では、この本が、池上さんの最初の本。
たとえば、2020年、“中国”発の感染症が大問題に浮上したけど、これがなくても、問題山積の1年だっことは間違いない。アメリカ大統領選挙。イギリスのEU離脱。混乱する中東情勢。香港への圧力を強化し、台湾に迫る“中国”。相変わらずの韓国・北朝鮮・ロシア。
とりあえず、抑えるところは抑えてるように見えるんだけど、“中国”問題への切り込みが浅いような気がする。昨年あたりまでは“貿易戦争”という言葉が使われたけど、この確執は、貿易をめぐるものではなく、明らかに“覇権”をめぐるもの。“覇権戦争”と言っていい。
東アジアに関して、一つの章を割いているにもかかわらず、“中国”の動きへの分析を欠いては、私たちがどうあるべきかも見えてこない。この点に関しては、決定的だな。
それから、温暖化の問題や、グレタ・トゥーンベリさん、安倍政権の取り上げ方は、やはりNHK目線が色濃く残っているような気がする。
今、ニュースで取り上げられていることの解説としては、ふさわしい本だな。ただ、この先どうなっていくのか。日本はどうすべきなのか。それを考える一番の指針というわけには、なかなか・・・ね。
最後に読んだのは、長谷川さんが亡くなったあと、生前にテープに吹き込んでおいた音声を編集して一冊にまとめたものだった。その本の題名は、長谷川さんの遺言と言っていいだろう、なんと、『中国は民主化する』だった。あまりの驚きに、還暦の私がシェーの姿勢のまま5mは飛んだ。
いつも、いろいろな角度のニュースに触れるようにはしているが、一個人で持続的に分析していくのは難しい。だから、それが可能な人の書いたものを読ませてもらう。なかでも、一番の指針にしていたのが長谷川さんだった。ここ20年ほどは、そうしていた。
その長谷川さんが亡くなったので、仕方がない。まずは、できるだけ継続的にいろいろな角度のニュースを確認し、できるだけ持続的に分析していく。自分でやる。もちろん、それが可能な人の書いたものも読む。読みながら、一番の柱に出来る人を見つけたい。
そんなことを思って、この本を読んでみた。
『知らないと恥をかく世界の大問題11』
こういう題名の本を、池上さんが出しているのは知ってたけど、それにしても“11”とはビックリだ。このシリーズは、どうやら1年に1冊のペースで出されているらしい。そういう点では、長谷川慶太郎さんの『大局を読む』シリーズと一緒だ。
そういう意味で、じつはちょっと期待していた。
角川新書 ¥ 990 独断か協調か。リーダーの力量が問われる中、世界が抱える大問題とは? |
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じつは、この本を読むまで、池上彰さんの本は、ほとんど読んでない。
最近、佐藤優さんとの対談ものをいくつも出しているようだけど、それは読んだ。『新・戦争論』と、『大世界史』だったと思う。池上さんがお一人で書かれたものは、読んだかも知れないけど、記憶には残ってない。
理由の一つは、題名にある。
それは、NHKの時代に原因の一端があるように思う。池上さんの一番の特徴は、分かりやすさにあるんだと思う。・・・ちなみに、その著書は読んでいない私でも、テレビではよく見ているので知っている。NHK時代、池上さんは、自分でニュース原稿というのは、分かりづらくてつまらないと感じていたそうだ。
池上さんは、その原稿を分かりやすく書き直していたそうだ。さらには、《週刊こどもニュース》では、1994年から退職する2005年まで、ニュースに詳しいお父さんっていう立ち位置で、ニュースの解説をしていたそうだ。この時、お母さん役を演じていたのが柴田理恵だった。
だから、対象に対する働きかけが、“お父さん”になってしまったんだろう。それが、私のような天邪鬼には、ダメなんだな。『知らないと恥をかく・・・』なんて持ちかけられると、「そんなの知ったことか」となってしまう。
他にも、『子どもにも分かる・・・』なんて、もうダメね。「オレが子ども以下だとでも言いたいのか、偉そうに・・・」ってなっちゃう。『・・・はむずかしくない』なんて言われると、「それが分からないオレは、馬鹿だってことか」っと、こうなる。
『・・・ よくわからないまま社会人している人へ』、このシリーズ、たくさんあるけど、これもダメ。
『池上彰の講義の時間 高校生から分かる・・・』シリーズ、これもダメ。
天邪鬼になってる間に、池上さんの本は読まなくなってしまった。そんなわけで、記憶に残る中では、この本が、池上さんの最初の本。
たとえば、2020年、“中国”発の感染症が大問題に浮上したけど、これがなくても、問題山積の1年だっことは間違いない。アメリカ大統領選挙。イギリスのEU離脱。混乱する中東情勢。香港への圧力を強化し、台湾に迫る“中国”。相変わらずの韓国・北朝鮮・ロシア。
とりあえず、抑えるところは抑えてるように見えるんだけど、“中国”問題への切り込みが浅いような気がする。昨年あたりまでは“貿易戦争”という言葉が使われたけど、この確執は、貿易をめぐるものではなく、明らかに“覇権”をめぐるもの。“覇権戦争”と言っていい。
東アジアに関して、一つの章を割いているにもかかわらず、“中国”の動きへの分析を欠いては、私たちがどうあるべきかも見えてこない。この点に関しては、決定的だな。
それから、温暖化の問題や、グレタ・トゥーンベリさん、安倍政権の取り上げ方は、やはりNHK目線が色濃く残っているような気がする。
今、ニュースで取り上げられていることの解説としては、ふさわしい本だな。ただ、この先どうなっていくのか。日本はどうすべきなのか。それを考える一番の指針というわけには、なかなか・・・ね。
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