めんどくせぇことばかり 団塊『青い眼が見た幕末・明治』 緒方修
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団塊『青い眼が見た幕末・明治』 緒方修

『言海』は、近代的な国語辞典の第一号だそうだ。

著者の緒方修さんが、それで「令」を引いてみた。「(一)オホセ、イイツケ、下知。(二)懸の長官」とあるそうだ。さらに、小説などの引用例が豊富な『新潮現代国語辞典』で「下知」を引いてみた。「ゲジ(ゲチとも)、指図、命令」

なぜ、そんなものを調べるのかというと、・・・次のように続いている。

「すると令和は「ゲジカズ」となるのか・・・。死んだ魚の目をした男の左に掲げられた新元号は最初からケチがついているような感じだ」

この本は令和2年6月に出た本で、今更、タイムリーな話題とは思えない。だけど、思い起こせば、あの改元の時、というよりも、新元号発表の時、いろいろな角度からケチをつける声が飛んだ。それらの中でも、一番確度の低い“ケチ”だな。ご本人は「ケチがついているような感じ」と言っているが、ケチをつけているのはそれらの辞典ではなく、あくまでご自身。

新元号にケチをつけるあたり、おそらく、安倍晋三首相が嫌いなんじゃないかと推察するが、発表の任に当たった菅義偉官房長官のことを「死んだ魚の目をした男」というのは酷い。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」っていうのは分からないでもないけど、人の容貌を取り上げて、そりゃ酷い。

私なんかこの間、可愛い孫からはげ呼ばわりされて、それを人に言うとどうなるか、思い知らせてやった。

大事にしている先輩がいる。仕事上の大先輩であり、山のパートナーでもあった。

私の性格が偏っているせいか、どうも人と一緒に山を歩くのが、うまくいかない。人とのコミュニケーション力に、決定的に欠けているからだろう。歩くスピードとか、歩幅とかの問題ではない。それを合わせることは出来る。山を歩いていて必要な声かけができないわけでもない。しかし、人と一緒に山を歩いていると、スピードを合わせようとか、必要な場面で必要な声かけをしようとか、そういうことばかり気になってしまって、山を歩くことが楽しめないのだ。

だから、山岳部登山の時期を過ぎてからは、一人で山を歩くようになった。唯一、その先輩だけが、山のパートナーとなった。

その人と一緒だと、遠慮する必要が無いから楽なのだ。なぜ、その人だと遠慮する必要が無いのか。その人が、圧倒的にわがままだからだ。



芙蓉書房出版  ¥ 2,420

幕末・明治期、日本にのめり込んだ青い眼の12人が残した日本見聞記を読み解く
第1部 幕末・明治を外から見る
1 ロシア文豪が見た幕末日本―閉ざされた玉手箱 
イワン・A.ゴンチャローフ『ゴンチャローフ日本渡航記』
2 「ペリーがかんぬきを外し、ハリスが門を開けた」
タウンゼント・ハリス『日本滞在記』
3 ヒュースケン暗殺―恐怖の夜が続く 
ヘンリー・ヒュースケン『ヒュースケン日本日記』
4 美しい日本―危険な役人たち 
ラザフォード・オールコック『大君の都‐幕末日本滞在記』
5 サトウ詣での有力者たち 
アーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新』
6 蚕を求めてやってきたイタリア使節団 
V・F・アルミニヨン『イタリア使節の幕末見聞記』
7 小国デンマークを襲う危機 
エドゥアルド・スェンソン『江戸幕末滞在記』
8 灯台の父―地震・オヤジも恐れずどんどん進め 
リチャード・H・ブラントン『お雇い外人の見た近代日本』
9 ロシア・ナロードニキの見た明治「革命」 
レフ・I・メーチニコフ『回想の明治維新』
10 大義ばうち忘れとる今の政府ば倒す 
オーガスタス・マウンジー『薩摩反乱記』
11 近代日本医学の父 
トク・ベルツ編『ベルツの日記』
12 トラブルを恐れぬレディ・トラベラー 
イザベラ・バード『日本奥地紀行』)
第2部 幕末・明治サイド・ストーリー
「悪の枢軸」英仏の毒牙が日本に届かなかった訳
自覚的にうそをつく組織としての官僚制度
幕末暗殺あるある、恐怖の逆ロシアンルーレット
テロに脅える犬たち
イギリス残酷物語|エンゲルスが見た労働者階級の状態
ラスト・サムライの覚悟
西洋強国による東方侵略の危機―明治のベストセラー『佳人の奇遇』
ヨーロッパ植民地主義の圧力
鎖国の遅れを取り戻す「翻訳」
謀反論
日清・日露に参戦した軍医
カナダへ向かうメリーポピンズ達
鎖国が遅らせた「幻のベンガル湾海戦」










その先輩は、団塊の世代。

著者と同じ1946年の生まれだ。同じ年生まれがたくさんいたから、いつも激しい競争に晒されていたそうで、突出するか、埋没するかだったと聞いたことがある。もちろん、私の先輩は突出していた。おそらく、著者もだ。

本書の中で、とある本の文庫版が1960年に発行されたことに触れている。1960年は、著者にとっては“日米安保条約締結の是非が問われた年”ということであるようだ。

「条約成立の6月15日には、東大の学生だった樺美智子さんが国会前の抗議活動の途中でなくなった」という記憶を追記することも忘れない。

“とある本の文庫版”とは、アーネスト・サトウの『一外交官の見た明治維新』

そう言えば、攘夷という勘違いの熱は、後ろから煽るやつにとってはこんなに面白いものはなく、崩れかかっていた幕府の屋台骨にしてみればこんなに迷惑なものはない。

あまりにも一方的な安保条約を、少しはまともなものに改定しようという動きを、「安保反対」と言って邪魔をするのにも、同じような勘違いを感じてしまう。・・・いや、攘夷の方がまだマシかな。

あまり口に出すわけではないが、若い頃の安保闘争に感じた熱気が、私の山のパートナーにも大きな影響を与えていた。もとから、体制を信用するところがまったくない。

著者は、『完本 南洲残影』の中で江藤淳が「もし(反逆者である)西郷が精神気魄を価値とするのであれば、その精神気魄なるものをこそ抹殺しなければならない。もし国を想い、天皇を思う気持ちが深いのであれば、その心をこそ一斉射撃の標的としなければならない」と書いているのに寄せて、「明治国家は一斉射撃の標的を沖縄へ、台湾へ、朝鮮へ、中国大陸へと広げていく」とまとめている。

この三段跳び並の飛躍の源は、おそらく著者の、体制に対する思いの強さにあるんだろう。私の山のパートナーもそうだった。靖国神社で中国人がなんか騒いだときなんか、「長州の神社なんか燃やしてしまえ」と来たもんだ。まあ、会津人だからな。大東亜戦争は、長州がやった戦争だからね。

これに関しては、決して間違っているとは言えない。

この、あまりにもわがままな先輩とであれば、私も自分勝手に振る舞うことが出来る。わがままな振る舞いは、時に人を自由にする。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本




















































































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