めんどくせぇことばかり 『日本神話の迷宮』 藤井勝彦
FC2ブログ

『日本神話の迷宮』 藤井勝彦

《続 幾千年の時空の彼方へ》という副題がついている。

同じテーマで、前に出ている本があるようだ。・・・調べてみた。『日本神話の「謎」を歩く 幾千年の時空の彼方へ』という本だった。本書は今年の8月に出たばかりの本だけど、前のは2018年の11月に出ている。まだ2年経ってない。“あとがき”に、「この原稿を書き始めたのは、今から1年も前のこと」とあるので、2018年11月に前の本が出て、半年ちょっとしてからこの本の原稿を書き始めたことになる。

もの凄いフィールドワークを必要とすると思われる内容で、短い期間に準備できるものじゃない。前の本は、淡路島、出雲、諏訪、高千穂という風に、場所を対象にして“時空の彼方”の旅に出ている。そして本書は、伊弉諾尊・伊弉冉尊、蛭子、軻遇突智命、菊理媛神、天照大神、月読尊という風に、神々を対象にして“幾千年の時空”へと旅に出ることになる。

日本神話を前にすると、いつも思うんだ。

「ああ、私たちは、自分の国がどのようにしてできあがったのかを、知らない国民なんだ」と言うことを。

日本書紀は、この国の起こりをあやふやにした。分からないようにした。分かってしまっては、都合の悪いことがあった。国史である日本書紀を編纂する中で、そんな酷いことが出来るのは、当時、完全に権力を掌握していた藤原氏しかいない。

だけど、この国は万世一系の天皇の治める国であって、それを古くから豪族たちが支えてきたということを崩さずに、国の起こりをあやふやにし、藤原氏が権力を握るにいたった過程は改竄しなければならない。これは難しい。

しかし、一旦成し遂げられてしまえば、それに合わせて世の中に都合を合わせることを強制すればいい。各地に祀られていた祭神が、日本書紀にするされた神に由来する神であることが求められる。だいたい、違うことが書かれている書物が存在しては、日本書紀の嘘がばれてしまう。徹底的な焚書も行なわれたはずだ。

その結果、本書の著者が言うように、「そこに記された神様を、史実として存在した人物あるいは事象の投影した姿であると見なせば、その真の姿が見えないことで、寝の歴史さえ見えなくなってしまった」わけだな。

おかげで、日本神話は分からないことだらけ。日本という国の起こりは謎だらけ。ただ、いろいろな方の謎解きが、とてつもなく面白いという一面があることも、実はたしか。

そして、著者は最後にこう叫ぶ。

「神様、あなたはいったい誰なのですか?」


『日本神話の迷宮』    藤井勝彦

天夢人  ¥ 1,980

1年の過半を取材に費やす旅行作家が、10年以上をかけて実感した「神々の諸相」
プロローグ 神様のルーツ
第1章 天津神
第2章 国津神
第3章 人物神
第4章 神話の世界へ


建御名方神に興味がある。

「恐し、我をな殺したまいそ。この地を除きては他所に行かじ」・・・なんと恐ろしい。どうか殺さないで下さい。ここ以外、どこにも行きませんから。

事代主神、大国主神を殺された上、天津神である武甕槌神との戦いに敗れたからって、そこまで情けなく命乞いをして天津神に下った建御名方神。結局、諏訪大社に祀られることになるが、どこにも行かないと言いながら、建御名方神を祀る神社は全国に2万5000社にのぼる。

さらには、武田信玄や徳川家康という名だたる戦国武将が、まずはこの建御名方神を軍神としてあがめてきた。あそこまで卑屈に命乞いをして、・・・いったいどうして?

それ以上に、私が興味を感じているのは、その名前。建御名方、「建き御名の方」とはいったい誰のこと?それこそ私も叫びたい。「あなたはいったい誰なのですか?」

そこまで言いながらも、その名前を出すわけにはいかなかった人物。その名前を出してしまっては、祭りあげることが禁じられてしまう。・・・いったい誰に?

それは、力を持ったものに。つまり権力を有するものに。

ということは、この「建き御名の方」とは、大きな力を有しながら、なぜか葬り去られた。そして、「建き御名の方」を葬り去ったものが、その後権力の地位に就いたと、そういうことか。

・・・あの人かな。

面白い説が紹介されている。天孫族は九州勢で、出雲に進出して大国主の国を乗っ取りにかかる。息子の事代主は抗議の自殺を遂げ、もう一人の息子の建御名方は武甕槌との戦いに敗れて敗走。信濃に撤退して第二次出雲王朝を築く。大国主は天孫族に殺される。

日本の起こりについては、こんな説も紹介されている。オロチ族を退治して出雲を制覇したスサノオは、いよいよ全国制覇に乗り出す。息子のニギハヤヒとともに瀬戸内海を掌握し、北九州を手中にしたスサノオは、ニギハヤヒに大和制圧を命じた上で、日向への進出を計画する。勝ち目がないと悟ったイザナギは、娘のアマテラスを差し出して軍門に降る。九州全体を制覇したスサノオは宇佐に拠点を置いた。これが邪馬台国となる。

さらに続くんだけど、今はここまで・・・。

「神様、あなたはいったい誰なのですか?」


関連記事

テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

ありがとうございました



「《めんどくせぇことばかり》は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイト宣伝プログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。」
よくお越し下さいました

イーグルス16

Author:イーグルス16

息も絶え絶えです、ぜひ応援してください


火山の噴火、土石流に土砂崩れといった災害は、人々の目を山の高見に向けさせた。
それ故に山は、恵みと共に、畏怖の対象でもあった。
カウンター
カテゴリ
こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































検索フォーム
RSSリンクの表示
最新記事