めんどくせぇことばかり 『チーム・オベリベリ』 乃南アサ
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『チーム・オベリベリ』 乃南アサ

ちょっと勘弁して欲しいなぁ。

いや、この本、厚すぎるんだ。なにせ、最後は667ページだよ。さっきメジャーで測ってみたら、4cm8mmもあった。重さは・・・、もういいや。

私は行儀のいい人間ではないので、いろいろな姿勢で本を読む。本を読んでいる姿は、出来ればよその人には見せたくない。だいたい、家の中で読むときは、どこかしらに寝っ転がっている。ただ寝っ転がっているのではない。寝っ転がって、変な恰好をしている。

外で読むときもある。居心地のいい公園のベンチなんかでも、最初は座っていても、最後は寝っ転がってしまうかな。さすがに変な格好にはならないが。そこに行くまでは、歩きながら読んでいる。

寝っ転がって読む場合、だいたいは、本を片手で持っている。片手で持つには、ちょっと重すぎるんだ、この本は。腱鞘炎になってしまう。

もう一つ困ったことがある。私は早起きをして、日の出前に1時間ほど外を走る。お昼を食べて、片付けを終えて、寝っ転がって本を読み始めると、本当にウトウトしてしまうことが多い。授業中に寝落ち寸前の学生が、自分の頭が落ちるのに驚いて目を覚ますことがあるように、私は片手に持った本を取り落としてビックリする。落とした本が、顔に落ちてくることもなきにしもあらず。その本が、総ページ数667ページ、厚さ4cm8mmであることを考えて欲しい。

それはまさに危険と紙一重。

その物語が300ページを越えるときは、是非、前編、後編の2冊に分けよう。

最初は、なんだと思った。

いや、何って、この題名。“オベリベリ”って、なに?

この“オベリベリ”と同様の言葉をいくつかあげてみるね。だんだん分かってくるかな。

①チパシリ   ②イシカラペツ   ③エベット   ④オタルナイ

⑤クシュル   ⑥シュムカプ    ⑦シリペツ   ⑧ニカプ

私が調べた資料では、“オベリベリ”ではなく、“オペレペレケプ”とあった。



講談社  ¥ 2,530

オベリベリこと「帯広」と呼ばれた新天地で、彼女はいかに生き抜こうとしたのか
第一章
第二章
第三章
第四章
第五章
第六章
第七章
第八章
終章


そう、これらは、アイヌ語の地名。

北海道の地名は、アイヌの人たちがつけた地名に漢字を当てて、和人が読みやすいものに変えたもの。“オベリベリ”、私の資料で“オペレペレケプ”であったものには、帯広という漢字が当てられて、“おびひろ”と呼ばれるようになった。

同様に、上に上げた①~⑧は、以下の通り。

①網走 ②石狩 ③江別 ④小樽 ⑤釧路 ⑥占冠 ⑦後志 ⑧新冠

さて、『チーム・オベリベリ』。

これは明治時代の、北海道開拓の話で、当時はまったく手つかずの帯広に入った人たちの話。実在の人物や団体の史実を基に書かれた小説だという。

帯広に入った開拓団は、晩成社という会社形式を採ったんだな。その中心となったのが、伊豆の大地主の次男であった依田勉三。地元の小作人たちに働きかけ、未開の十勝の原野に向かう。

晩成社の中心人物に、没落士族の鈴木銃太郎と渡辺勝がいた。立場の違いを超えて、依田勉三、鈴木銃太郎、渡辺勝は、帯広の開拓に情熱を傾けた。

その鈴木銃太郎の妹で、渡辺勝の妻であるカネという女性が、この物語には登場し、彼女の語りによって、物語は進行する。

分かりきっていることだけど、北海道開拓っていうのは、きつい。想像を絶するきつさであろうけど、想像の範囲内でも十分きつい。今年を乗り越えれば、・・・ここを乗り越えれば・・・という難局が続き、物語の展開とともに、いつか希望の光が見えてくることを疑わずに読み進めた。

しかし、残り100ページを越えても、事態は悪化するばかり。

この物語、・・・言ってしまおう。この物語、良いことなんか何にもないままに終わる。最初に抱えた苦労は、最後まで苦労で終わる。北海道の開拓は、そのくらいのものがあった。そういうものだと言うしかない。では、希望は?

それは、今、切り開かれた帯広があるということ。物語にそんなことは書かれていないけど、・・・だってそこにしか光を見出しえない。

やはり、アイヌの関わりには触れなければ“片手落ち”になる。なにしろ、オベリベリはアイヌ語なのだ。

明治時代の日本には、もと武士階級をはじめ、豪農や商家を中心に高い倫理意識を有するものと、そうではないものが混在している。学問に寄るところが大きいと思うが、それと一致するわけではない。もと武士階級を除けば、貧富の違いに寄るところが大きいと思うが、それと一致するわけでもない。

昔話でも、良いおじいさんと、強欲なおじいさんがいた。要は人間性だ。もとの長州藩は、明治政府はじめ、日本中の要衝に人を送り込んだ。その中には、強欲なおじいさんもいた。

それはいろいろな場面で、日本の歴史に影響を残した。明治政府の上層においても、それは変わらない。権力を一部で独占して、私利私欲に走ったものが、いくつかの成功の後に、結局日本をダメにした。

そのグループの力は、残念ながら、北海道でも、アイヌの人たちに災いをもたらした。この物語の中心でもある、鈴木銃太郎、渡辺勝のような者たちが、つねにアイヌの人たちに寄り添っていたことが救いである。

教員だった頃、とある高校で3年間同じ学年を担当した先輩教師がいる。3年間を通じて、その方が学年主任で、私は担任の一人だった。その学年の卒業が間近に近づいたある日、二人だけになった休憩室で、はじめて打ち明けられた。

「あなただから言うけどね、私はアイヌです」

広島から来たお父さんとアイヌのお母さんの間に生まれ、一家で北海道を離れたそうだ。3年間、いろいろな厳しい状況を一緒に乗り越えた、懐かしい先生だ。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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