めんどくせぇことばかり 『翔べ!わが想いよ』 なかにし礼
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『翔べ!わが想いよ』 なかにし礼

なかにし礼の歌の中で、一番好きなのは、圧倒的に菅原洋一の『知りたくないの』。

あなたの過去など
知りたくないの
すんでしまったことは
仕方ないじゃないの

あの人のことは
忘れてほしい
たとえこの私が
きいても言わないで

あなたの愛が真実なら
ただそれだけで嬉しいの

あゝ愛しているから
知りたくないの
早く昔の恋を
忘れてほしいの

いいなあ。ポイントは、ーあなたの過去などーという言葉で、これは曲をギターで弾きながら繰り返していたら、ポッと出てきたんだそうだ。ポッとだよ、ポッと。ポッと出てきたって言うんだ。

黛ジュンの『恋のハレルヤ』もいいな。

ハレルヤ 花が散っても
ハレルヤ 風のせいじゃない
ハレルヤ 沈む夕陽は
ハレルヤ 止められない
愛されたくて 愛したんじゃない
燃える想いを あなたに
ぶっつけただけなの
ハレルヤ 祈りを込めて
ハレルヤ あなたを待つの

「愛されたくて、愛したんじゃない」・・・、これは彼の人生の中で、いったいどんなところとつながって出てくる言葉なんだろう。「私のところに来てほしい」とあなたを待つ祈りを、どうして“ハレルヤ”と結びつけたんだろう。

おお、神は偉大なり!



『翔べ!わが想いよ』    なかにし礼

新潮文庫  ¥ 時価

昭和の激動を生きた作家 なかにし礼 その衝撃の自伝エッセイ
空襲・・・・・
女狩り・・・・・
残留孤児・・・・・
母倒れる・・・・・
深緑夏代・・・・・
『知りたくないの』・・・・・
三冠王・・・・・
『N響アワー』・・・・・



昭和21年9月、中西礼三少年は、母、姉とともに引き揚げ船で日本に帰る。帰ると言っても、礼三少年は満洲生まれだから、初めての日本。“なかにし礼”が、「私は亡郷の民である。根無し草である。母国にありながらも、かすかな外国人である」と口にするのは、そういうところにある。

引き揚げ船は、遼東湾の西側にある港市であるコロ島から出発する。引き揚げ船にたどり着けなかった日本人も、いくらでもいる。たどり着いた者も、ロシア兵に追い立てられ、女を奪われ、中国人に侮られ、朝鮮人に嘲られて、目線を下げ、這うようにしてやってきた。

繰り返し繰り返し、絶望を味わい、すべてを諦めるうちに、神経はささくれ立ち、精神は退廃した。夜の広い船底では、恥を忘れた男女があちこちで重なり合い、身体を動かしているのが分かったという。

礼三少年の戦後は、そんな人以下のところから始まった。

牡丹江を空爆された昭和20年8月11日午前10時に始まって、間近で多くの人が死んで行くような経験をして、しかもその一人が父親だった。満洲で、かつて我が物顔で振る舞っていた日本人が、中国人に生殺与奪の権を握られて生きるしかない毎日。

日本に“帰って”からも、結局、あちらこちらを転々として生きてきた。学校も変わった。いじめにもあった。

“帰ってきた”日本では、亡郷の民であり、根無し草であり、かすかな外国人であることを、いつもの心のどこかに抱えていた。そんな礼三少年を支えていたのは、文芸であり、映画であり、音楽だった。

姉と映画を語り合い、友人と文芸や音楽を語り合った。

それは、何かのためではなかったんだな。何かのための努力っていうのは、感じられない。なるべくして、シャンソンの訳詞家になった。なるべくして、歌謡曲の作詞家になった。それ以上でも、それ以下でもない。

私は、なかにし礼さんの“戦争観”、それをめぐる“国家観”には抵抗を感じる。たしかに日本は、稚拙に過ぎたと思うけど、好きでそうしたわけじゃない。

戦争なんて、もともと一人でできるもんじゃない。やりたがっていたのは、いつも相手の方だったよ。

あれだけの思いをすれば、なかにし礼さんのような考え方になるのも、そりゃ、分からないじゃないけどね。



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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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