めんどくせぇことばかり 『恥ずかしい人たち』 中川淳一郎
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『恥ずかしい人たち』 中川淳一郎

この間、谷川岳に登った帰り、天神平から田尻尾根を谷川岳ロープウェイのベースプラザに下った。

9月9日の豪雨で、山頂駅近くの送電線が流出し、ずっと運休が続いているんだそうだ。好天の天気予報で出かけてみたが、登り始めて間もなく、雨混じりの濃霧、気温の低下、強風という、まあ、谷川らしいと言えば谷川らしい難しい天気だった。

だけど、谷川の場合、正反対の激変もある。時間的に余裕があったので、待とうかとも考えたんだけど、厳しい天気の中を西黒尾根の急登ですり減らしてしまって、下山を選択した。下山途中で本当に天候が良化しはじめ、2時間半ほどかけてベースプラザまで下りたときには、青空がのぞいていた。

途中、谷川岳の山腹を染め上げる紅葉を垣間見ることが出来た。ロープウェイが動いていれば、平日でもカナリの人が訪れたことだろう。一番の稼ぎ時に、10月いっぱいの運行中止を決めているという。感染症の流行に加え、運営会社の方も、大変お気の毒。何か良いことがありますように。

田尻尾根の下りが酷かった。

急な下り道が、よく滑ること滑ること。赤土を踏めば滑り、根っ子を踏めば滑り、苔のついた石を踏めば滑り。滑らないように慎重にあるいて、見事に滑った。

まずは、田尻尾根の下りに入って、道を譲ってくれた人の目の前で滑った。「大丈夫ですか」と声をかけられて、恥ずかしかった。恥ずかしいからその人から遠ざかりたくて、思わず急いだらまた滑った。しばらく下ると、壮年の男女の二人連れに道を譲られて、その目の前で滑った。「大丈夫ですか」と声をかけられて、逃げ出したいほど恥ずかしかった。恥ずかしいから、またしても自然と急いでしまい、また滑った。

ベースプラザまで下った頃には、私は泥だらけになっていた。そんな姿を見られたくなくて、こそこそ帰った。私は本当に、“恥ずかしい人”だなあ。

この本の“はじめに”には-恥ずかしい日本の私ーと言う副題がつく。“あいまいな日本の私”の方の生き方が、私にはどうもね。この本の著者さんに言わせれば、何かあると「アベのせいだ」という側の方だな。その方の生き方を「どうもね」と考えてしまう私は、著者さんに言わせれば「お前は隣国の回し者だ」と言い返す側か。

えー!私は、「大江健三郎は隣国の回し者だ」なんて言ったことは、一度もないけどな。まあ、十把一絡げは、ものを書く人たちの得意技。しかたがないか。

どちらにしても、“・・・日本の私”という言い回しは、著者のお気に入りのようだ。


『恥ずかしい人たち』    中川淳一郎

新潮新書  ¥ 836

どいうい神経? 真っ当に生きたい大人のための心得・・・らしい
第1章 誰がこんな「多様性」を望んだか
第2章 権力と胡散臭さは紙一重
第3章 つくづくメディアはマゾ気質
第4章 「IT社長」ってあまりに古すぎないか
第5章 だから貧乏国へまっしぐら!
第6章 ネットで文句つけ続ける人生って
第7章 IT小作農からの8つの提言


その“はじめに”は、けっこう長い。けっこう長い“はじめに”の中で、著者はいくつかの恥ずかしい思い出を語っている。教室で、うんこを漏らしたこともあるそうだ。「恥の多い人生だった」と言っている。だから、“はずかしい”は、”私”にかかっているのかと思った。ところが、そうではない。“はずかしい”のは、“日本”のようだ。

教室でうんこをもらした私。罰ゲームでウルフルズの『ガッツだぜ!!』に合わせて下手くそなダンスを踊った私。相手に受けていると思って一発芸人のギャグをパクった私。かっこつけて英語でプレゼンした私。

いずれも、居ても立っても居られないほど恥ずかしかったんでしょう、・・・その時は。

でも、いずれも、誰でもあることだな。私も、もらしたけど、教室ではなかったな。でも、周囲の人が変なことをして、匂いの源に向けた眼を、痛いほど感じた。芸人の一発芸をパクって外したなんて、大半の人が経験してるんじゃないか。

だからそれは、“多かれ少なかれ”という問題だ。つまり、あとからそれを指摘して著者を笑う人は、おそらく絶対にいない。つまり、著者が自分の恥ずかしかった思い出としてあげていることは、実は、笑い飛ばしてすんでしまうことばかりだ。

“恥ずかしい私”ではないんだ。

そうではない。自分の人間性に根ざした、取り消したい過去が、私にはある。該当者が私にあえば、その人はそれを取り上げて私を蔑むだろう。そうされても仕方がないことを、私は人に対してやってしまっている。そういうことを、これ以上増やしたくないから、ほんの少しだけど、定年前に仕事を辞めた。

著者の中川淳一郎さんは、ウェブメディア・広告の業界で仕事をしてきたんだそうだ。・・・そう言われても、私にはさっぱり分からない。「修羅の世界」なんだそうだ。・・・恐ろしげだな。

そんな世界で、さんざん競走をしてきたし、艶のある経験もしてきたんだそうだ。これ以上のものを求めれば、身の破滅。人間関係を深めれば深めるほど不幸になるんだそうだ。

すごい世界だな。ウェブメディア・広告業界恐るべし!

さて、著者が“恥ずかしい日本”と感じる数々が、一冊にまとめられているのがこの本。一所懸命頑張って、半分以上読んだ。

たしかに、“それはたしかに恥ずかしい”と共感できるものもあるんだけど、どちらかと言えば、私は、著者が“恥ずかしい”としている側で生活してきたからな。そういう立場からすると、一歩踏み込むことをせず、感覚的に人を“恥ずかしい”側に認定してしまえることを、ちょっと羨ましく感じたりする。

そう言えば、百田尚樹さんなんかも、頭に思い浮かんだことが、そのまま口をついて出てきてしまうなんてこと言ってたな。一歩踏み込むなんて、必要ない人もいるもんだな。



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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






















































































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