めんどくせぇことばかり 『アジアの国民感情』 園田茂人
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『アジアの国民感情』 園田茂人

菅首相が2012年の野党時代に刊行した単行本、「政治家の覚悟」が改訂され、刊行された。

この中で、当時の民主党政権とその公文書管理の在り方を批判し、「国家を運営しているという責任感のなさが如実に現れています」と主張していた単行本中の記述が削除されており、話題を呼んでいる。

当時は菅直人首相、それに続く野田佳彦首相の時で、2011年の東日本大震災時に、会議の議事録を十分に残していなかったなどと指摘したもので、菅よしhさんは野党の立場で「政府がどう考え、いかに対応したかを検証し、教訓を得るために、政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為であり…」と攻撃していた。

その部分を、改訂版ではバッサリ削ってしまったことに対して、民主党の蓮舫議員や枝野幸男議員が攻撃しているという。だけど、蓮舫さんも枝野さんも、震災時の会議録を残してなかった菅直人政権、野田佳彦政権、両方とも閣僚を務めている人物だ。

どれだけやり込めたところで、目くそ鼻くそレベルにしかならない。

菅首相の、初の外遊が終わりましたね。

菅首相が初の外遊先に選んだのは、ベトナムとインドネシアでした。第二次安倍内閣が初の外遊先に選んだのも、ベトナムにインドネシア、それにタイを加えたものだった。

「安倍政権を継承する」というのは、菅首相が最初から言っていることで、これはうまいなと思った。つまり、そこまでは、・・・いや、その延長線上にある政策については、説明不要と言うことだ。これはうまい。

この外遊に関して、安倍政権を継承するっていうのは、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現と言う立場で、東南アジア諸国と連携して、“中国”の海洋進出に対応しようと言うことだろう。

そういうことを考えるときに、この本は参考になるかもしれない。どうも、従来の国際関係の認識の仕方とは、ちょっと違うやり方のようなんだ。

従来、国際関係を考えていくときに、たとえば関連する国々相互の経済力、政治力、軍事力、文化力等からなる総合した国力を推しはかり、それに今日に至る歴史、その背景にある国民性等を関連させて行く手法が採られてきた。

ところが最近、このような現実主義的、即物的な側面からのアプローチではなく、その地域の人々の理念や価値観、真理や認識といった要素を取り入れて国際関係を考えていく必要性が強調されているという。社会構成主義と呼ばれるそうだ。

たとえば、“中国”の経済的台頭をどうとらえるか。軍事的台頭をどうとらえるか。“中国”の国力向上への評価。そういったことを、周辺国の、なかでも次代を担うエリート層がどうとらえているか。それを数値化し、分析して国際政治を展開していく上での参考にしようというもののようだ。



中公新書  ¥ 968

好きな国、嫌いな国? いやいや、まだまだ、問題はさらにその先に
序章 なぜ国民感情なのか―対外認識を可視化する
第1章 台頭中国への錯綜する視線―何が評価を変えるのか
第2章 ASEANの理想と現実―域内諸国への冷めた目
第3章 東アジア間の心理的距離―厄介な近隣関係
第4章 アジア各国・地域の特徴とは
第5章 影の主人公アメリカ―米中摩擦とアジアの反応
第6章 日本への視線―アジアからの評価、アジアへの目
終章 国民感情のゆくえ


今の日本では、“中国”の台頭に対する警戒が、日々強まっている。経済に関しては、ほぼ数億人の国内奴隷を抱えているようなもんだから、とにかく強い。善悪の基準よりも強弱の基準が優先するので、およそ手段を選ぶと言うことがない。政治においては、共産党一党独裁体制で、国民の人権に遠慮する必要がない。軍事においては、近代に入ってから戦争で勝ったことがないが、それ故に核をはじめとする飛び道具を質量ともにととのえ、その気になれば、日本を瞬殺する力がある。文化的な底力は大きいが、それよりも今は、強弱の基準を優先させ、手段を選ばない道をたどる。

隣国との関係をめぐる歴史を見れば、“中国”は常に興亡の繰り返される場所であった。そして、新たにその“場”の支配者になったものが、そこに生まれる巨大な富を吸い上げ、やがて枯れ果てさせていった。今、その“場”の支配者の立場にあるのが、中国共産党で、その指導者が習近平である。

中国人は、恩義と身内を大切にし、命がけで守ろうとするが、他人は信用しないし、手を貸そうともしない。強いものを重んじ、弱いものを軽んじる。自信過剰で、調子に乗ると止めどがない。プライドが高く、人と衝突することがあっても、自分に非があるとは、まず考えない。人に気を遣うと言うことをしない。声の大きいことは場所を選ばず、社会的なマナーが悪い。そのくせ注意を受ければ、メンツをつぶされたと考えて、すごい剣幕で怒り出すこともある。

近代における日本との関係は、最悪と言うしかない。

日本にしてみれば、当時の国際法に則った行動をとっただけのことであるが、どちらにせよ、あの時代の“中国”に係わったのが身の不運というしかない。

本当なら、当時の“中国”の人々の苦痛の責任を負うのは、当時の“中国”の政治指導者のはずであるが、運悪く、彼らこそ戦争に勝ったものとなり、日本は戦争に負けたものとなった。そのことで、欧米の蛮行もひっくるめて、あらゆる責任を押しつけられた。

さらに中国共産党の宣伝により、“中国”の人々は、善良な自分たちの祖先を、日本人が侵略して苦しめたと考えている。つまり、道徳的上位にあるのが中国人で、日本人は道徳的に劣っていると考えられている。

これはまずい。

“中国”の、対日政治が好転することがあるとすれば、中国共産党にまずいことが起こったケースだ。それはこれまでもそうだった。それを待ってるだけって言うわけにも行かないから、だから、主将が東南アジアに出かけることになる。

中でも、“中国”に対する考え方では、今回、菅首相が訪問したベトナムとインドネシアは対照的なんだな。ベトナムは日本に似ているところがあって、どうも“中国”を嫌うことにおいては日本以上だな。経済的台頭にしても、軍事的台頭にしてもね。やっぱり、戦争をしていることが大きいかな。南シナ海をめぐっても、直接利害関係にあるしね。

その点、インドネシアは、ちょっと違う。インドネシアでは、「中国は興隆しても、アジア諸国と平和な関係を保つだろう」と考えている人がとても多い。他の国々の人以上に、「中国の台頭は、私たちに多くのチャンスをもたらしてくれている」と考えている。

そんな対照的な二つの国を、最初の訪問先に選んだという点にも、すでにこの本のようなものの考え方が生かされているのかも知れない。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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