『危うい国・日本』 百田尚樹 江崎道朗
バブル崩壊後の弱り切った30年間に、強烈なグローバルブームを持ち込まれて、いったい、どれだけの富が海外に垂れ流されたんだろう。
敗戦後75年間のうちの30年間が垂れ流しの時代だって言うんだから、たしかに酷い話だ。だけど、じゃあ、バブルの時期がよかったのかというと、決してそんなことはない。
1980年代の終わりの頃から、日本経済はバブルの様相を呈し始める。私は高校の教員になって、そろそろ二度目の卒業生を出そうという頃だろう。
私は新設2年目から新任で赴任し、勤務が始まった学校だった。最初は、学力の高い生徒の入学が多かったんだけど、管理職による経営の失敗から、急激に受験者が減少した。そうなると、学校は急激に荒れる。生徒指導の事案も頻発する。私は最初から生徒指導の担当になった。ちょうど、最初の子どもが生まれて、よちよち歩きを始めた頃だな。
喧嘩、暴力、喫煙、いじめと言った問題は割愛。ここでは盗難について。「盗まれました」って、盗難の申し出が本当に多かった。男子なら、バスケットシューズ。女子ならビトンの財布。10万円のバッシュが盗まれたって訴えてくるんだ。「お母さんに買ってもらったビトンの財布が盗まれた。中身いらないから財布だけでも取りもどして」とかって申し出てくるんだ。
なんでそんな靴を学校に履いてくるんだ。なんでビトンの財布なんだ。だいたい、ビトンってなんのことだ。なんでそんな高価なものを、誰も彼もが学校に持ってくるんだ。
公務員が何にも知らない間に、民間は金に浮かれていた。どうも日本人は、誰かが浮かれ始めると、一緒に浮かれないではいられないらしい。目の色変えて山を削ってゴルフ場を作り、新興住宅地が開発される。おかげで、関東平野の尽きるところにある丘陵地帯、関東山地は、無残に削られた。
バブルが崩壊して、そんな狂乱が収まった。10万円もするバッシュを履いて学校に来る男子も、ビトンの財布を持ってくる女子も、ようやく学校からいなくなった。正直なところ、バブル期の日本の雰囲気は、私は嫌でたまらなかった。
だけど、バブル崩壊して以降、日本経済は本当に大変なことになった。その時期に、右肩下がりの日本とは対称的に、右肩あたりで成長していったのが“中国”だった。日本で、“中国”警戒論が持ち出されるようになるのは、まだ先のこと。北朝鮮による拉致事件だって、朝日新聞や土井たか子は歯牙にもかけなかった頃のことだ。
だけど、そんな頃でも、いや、それ以前から、戦後日本社会のさまざまな問題を粘り強く取り上げ、ある意味、“日本”という国の存在を背負って、身を挺して“今”ある日本の脆弱性を世に訴えてくれた人たちがいた。その人たちの本で、私は正気に戻ることが出来たし、それは少しずつ世に広まっていった。
テレビ、雑誌、新聞等、メディアの多くは、一部を除いて、その声に否定的。マスメディアはいとも簡単に、そういう声を押しつぶす。ニュース番組の30代か、40代のメインキャスター、あるいはそれより若い女性キャスターの皮肉交じりの一言で、真っ当な主張は寿命間近なろうそくのように吹き消されてしまう。
それでも、・・・だ。それでも、訴え続けなければならない。その系列を引き継ぐ糸は、時とともに太くなっている。そんな系列を引き継ぐ一冊。


ああ、竹島が韓国に・・・。
北方領土がロシアに・・・。尖閣諸島に“中国”の公船が・・・。あちこちに米軍基地が・・・。
いろいろなことを考えてみても、結局のところ、憲法改正の問題に戻る。「現実に、もし他国からの侵略を受けた場合に、今の憲法では日本は国を守れない。・・・侵略される一方」と百田さんは言っているが、日本はすでに、侵略をされている。
北方領土はロシアに不法占拠されている。竹島も同様だ。竹島をめぐっては、地元の漁民が韓国軍によって殺されたり、拿捕監禁されたりしている。条約によってとは言いながら、他国の軍に首都近郊にまで駐留されている状況は、支那事変勃発前の“中国”と同じ。北朝鮮による日本人拉致事件に至っては、これは戦争状態と考えるべき問題。本来なら問答無用で行動すべきこと。
日本はすでに、侵略されている。そして、侵略されっぱなし。
北方領土の問題、竹島の問題は、確固たる軍備をととのえ、それを背景に交渉すべきこと。それですぐに好転するなんて思わないが、奪われた側として、奪った側に常に圧力を感じさせながら対峙する。尖閣に関しても同じ。日本の領海に入ってくるなら、領海侵犯として対応できるだけの準備を整えればいい。中国人の漁船が退去して入ってくるなら、それも同様。日本側からの行動は、彼らの責任。
日本を守る軍備は、日本が自前でととのえるのは当たり前。そうした上で、アメリカと交渉すればいい。それでもアメリカの戦略のために、在日米軍基地が必要と言うなら、これはずいぶん金を取れるだろう。
そんなの、当たり前のことのはず。
トランプ大統領が、「バイデンは社会主義者やマルクス主義者に支配されている」と非難した。あれを、たとえば日本のマスコミはどうとらえているんだろう。なんのコメントもない。トランプの言うことなんか、相手にしても仕方がないとでも思ってるんだろうか。でも、あれは事実。バイデンは社会主義者やマルクス主義者に支配されている。しかも、そいつらはかなり立ちの悪い奴らで、“中国”が大好きで、日本が大嫌い。
アメリカで、反トランプに廻っているのは、だいたいが社会主義者かマルクス主義者。体よく言うと、容共リベラル。なんだか頭良さそうでかっこいいんだけど、喜ぶのは共産主義者だけ。
日本もそう、立憲民主党なんて分かりづらい政党名を使わないで、共産党とか社会党とかにすればいい。・・・そういうわけには行かないか。確信犯は党首くらいのものか。残りはみんな、確たる信念があってそこにいるわけじゃない。時と場合によっては自民党でもいいんだろう。自民党にもそういう人がたくさんいる。
別に共産主義者でも党員でもないけど、共産党とかの聞こえのいいレトリックに、コロッと逝かされてしまう年端もいかない小娘、・・・すみません。こういう言い方はよくない。・・・若年の女性に対して差別的な言動がありました。申し訳ありません。
共産主義者の言うきれい事が机上の空論だというのは歴史が証明していることなのに、今でもまだ幻惑されたりだまされやすい人が後を絶たない。そういう人たちを“デュープス”と呼ぶんだそうだ。
共産主義者ではないし、党員でもないけど、結果的にロシアや“中国”に味方してしまっている人。特にスポーツ選手、芸能人、学者、文化人なんかで名も顔も知られている人がそうだと質が悪い。この資本主義自由社会で自由と平等を享受していながら、自分が享受している自由と平等を、逆に破壊しようとする共産主義の勢力に肩入れしてしまう人たち。
「自分はすごくいい人で、いいことを言っていると思い込んでいるのですから、厄介」な、デュープスと呼ばれる人。百田さんがこう言っている。「日本において地上波のワイドショー、ニュース番組に出ているコメンテーターは、ほぼデュープス」
デュープスを黙らせないといけないけど、いくらでも湧いて出るからね。“くさい匂いは元から絶たなきゃダメ”ってところかな。
敗戦後75年間のうちの30年間が垂れ流しの時代だって言うんだから、たしかに酷い話だ。だけど、じゃあ、バブルの時期がよかったのかというと、決してそんなことはない。
1980年代の終わりの頃から、日本経済はバブルの様相を呈し始める。私は高校の教員になって、そろそろ二度目の卒業生を出そうという頃だろう。
私は新設2年目から新任で赴任し、勤務が始まった学校だった。最初は、学力の高い生徒の入学が多かったんだけど、管理職による経営の失敗から、急激に受験者が減少した。そうなると、学校は急激に荒れる。生徒指導の事案も頻発する。私は最初から生徒指導の担当になった。ちょうど、最初の子どもが生まれて、よちよち歩きを始めた頃だな。
喧嘩、暴力、喫煙、いじめと言った問題は割愛。ここでは盗難について。「盗まれました」って、盗難の申し出が本当に多かった。男子なら、バスケットシューズ。女子ならビトンの財布。10万円のバッシュが盗まれたって訴えてくるんだ。「お母さんに買ってもらったビトンの財布が盗まれた。中身いらないから財布だけでも取りもどして」とかって申し出てくるんだ。
なんでそんな靴を学校に履いてくるんだ。なんでビトンの財布なんだ。だいたい、ビトンってなんのことだ。なんでそんな高価なものを、誰も彼もが学校に持ってくるんだ。
公務員が何にも知らない間に、民間は金に浮かれていた。どうも日本人は、誰かが浮かれ始めると、一緒に浮かれないではいられないらしい。目の色変えて山を削ってゴルフ場を作り、新興住宅地が開発される。おかげで、関東平野の尽きるところにある丘陵地帯、関東山地は、無残に削られた。
バブルが崩壊して、そんな狂乱が収まった。10万円もするバッシュを履いて学校に来る男子も、ビトンの財布を持ってくる女子も、ようやく学校からいなくなった。正直なところ、バブル期の日本の雰囲気は、私は嫌でたまらなかった。
だけど、バブル崩壊して以降、日本経済は本当に大変なことになった。その時期に、右肩下がりの日本とは対称的に、右肩あたりで成長していったのが“中国”だった。日本で、“中国”警戒論が持ち出されるようになるのは、まだ先のこと。北朝鮮による拉致事件だって、朝日新聞や土井たか子は歯牙にもかけなかった頃のことだ。
だけど、そんな頃でも、いや、それ以前から、戦後日本社会のさまざまな問題を粘り強く取り上げ、ある意味、“日本”という国の存在を背負って、身を挺して“今”ある日本の脆弱性を世に訴えてくれた人たちがいた。その人たちの本で、私は正気に戻ることが出来たし、それは少しずつ世に広まっていった。
テレビ、雑誌、新聞等、メディアの多くは、一部を除いて、その声に否定的。マスメディアはいとも簡単に、そういう声を押しつぶす。ニュース番組の30代か、40代のメインキャスター、あるいはそれより若い女性キャスターの皮肉交じりの一言で、真っ当な主張は寿命間近なろうそくのように吹き消されてしまう。
それでも、・・・だ。それでも、訴え続けなければならない。その系列を引き継ぐ糸は、時とともに太くなっている。そんな系列を引き継ぐ一冊。
『危うい国・日本』 百田尚樹 江崎道朗 WAC ¥ 1,540 いま日本を危機に陥れている元凶・デュープスが官僚・マスコミを支配している |
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ああ、竹島が韓国に・・・。
北方領土がロシアに・・・。尖閣諸島に“中国”の公船が・・・。あちこちに米軍基地が・・・。
いろいろなことを考えてみても、結局のところ、憲法改正の問題に戻る。「現実に、もし他国からの侵略を受けた場合に、今の憲法では日本は国を守れない。・・・侵略される一方」と百田さんは言っているが、日本はすでに、侵略をされている。
北方領土はロシアに不法占拠されている。竹島も同様だ。竹島をめぐっては、地元の漁民が韓国軍によって殺されたり、拿捕監禁されたりしている。条約によってとは言いながら、他国の軍に首都近郊にまで駐留されている状況は、支那事変勃発前の“中国”と同じ。北朝鮮による日本人拉致事件に至っては、これは戦争状態と考えるべき問題。本来なら問答無用で行動すべきこと。
日本はすでに、侵略されている。そして、侵略されっぱなし。
北方領土の問題、竹島の問題は、確固たる軍備をととのえ、それを背景に交渉すべきこと。それですぐに好転するなんて思わないが、奪われた側として、奪った側に常に圧力を感じさせながら対峙する。尖閣に関しても同じ。日本の領海に入ってくるなら、領海侵犯として対応できるだけの準備を整えればいい。中国人の漁船が退去して入ってくるなら、それも同様。日本側からの行動は、彼らの責任。
日本を守る軍備は、日本が自前でととのえるのは当たり前。そうした上で、アメリカと交渉すればいい。それでもアメリカの戦略のために、在日米軍基地が必要と言うなら、これはずいぶん金を取れるだろう。
そんなの、当たり前のことのはず。
トランプ大統領が、「バイデンは社会主義者やマルクス主義者に支配されている」と非難した。あれを、たとえば日本のマスコミはどうとらえているんだろう。なんのコメントもない。トランプの言うことなんか、相手にしても仕方がないとでも思ってるんだろうか。でも、あれは事実。バイデンは社会主義者やマルクス主義者に支配されている。しかも、そいつらはかなり立ちの悪い奴らで、“中国”が大好きで、日本が大嫌い。
アメリカで、反トランプに廻っているのは、だいたいが社会主義者かマルクス主義者。体よく言うと、容共リベラル。なんだか頭良さそうでかっこいいんだけど、喜ぶのは共産主義者だけ。
日本もそう、立憲民主党なんて分かりづらい政党名を使わないで、共産党とか社会党とかにすればいい。・・・そういうわけには行かないか。確信犯は党首くらいのものか。残りはみんな、確たる信念があってそこにいるわけじゃない。時と場合によっては自民党でもいいんだろう。自民党にもそういう人がたくさんいる。
別に共産主義者でも党員でもないけど、共産党とかの聞こえのいいレトリックに、コロッと逝かされてしまう年端もいかない小娘、・・・すみません。こういう言い方はよくない。・・・若年の女性に対して差別的な言動がありました。申し訳ありません。
共産主義者の言うきれい事が机上の空論だというのは歴史が証明していることなのに、今でもまだ幻惑されたりだまされやすい人が後を絶たない。そういう人たちを“デュープス”と呼ぶんだそうだ。
共産主義者ではないし、党員でもないけど、結果的にロシアや“中国”に味方してしまっている人。特にスポーツ選手、芸能人、学者、文化人なんかで名も顔も知られている人がそうだと質が悪い。この資本主義自由社会で自由と平等を享受していながら、自分が享受している自由と平等を、逆に破壊しようとする共産主義の勢力に肩入れしてしまう人たち。
「自分はすごくいい人で、いいことを言っていると思い込んでいるのですから、厄介」な、デュープスと呼ばれる人。百田さんがこう言っている。「日本において地上波のワイドショー、ニュース番組に出ているコメンテーターは、ほぼデュープス」
デュープスを黙らせないといけないけど、いくらでも湧いて出るからね。“くさい匂いは元から絶たなきゃダメ”ってところかな。
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