めんどくせぇことばかり 『理不尽な国ニッポン』 ジャン・マリ・ブイス
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『理不尽な国ニッポン』 ジャン・マリ・ブイス

この本を書いたジャン・マリ・ブイスさんは、フランス人。

日本在住歴20年以上のフランス人歴史家で、現代日本が専門の方。1950年パリの生まれと言うから、私よりも10歳年上ということになる。フランスの、グランゼコールと呼ばれる高等教育機関の中でも名門のパリ高等師範学校出身で、1975年に現在の東京国際フランス学院というインターナショナルスクールに赴任したのが最初の来日だという。

以来、教育者として日仏を往来し、日本とフランスの橋渡し役を果たしてきた人物。日本女性の妻を持ち、日本での子育ての経験も、女性問題や子育て問題という面から、彼の知見の手助けにもなったようだ。

実はこの本、もともと日本人に向けて書かれたものではない。『日本の教訓ーきわめて理不尽な国』という題名で、フランス人向けに書かれた現代日本人論が本来の姿。その翻訳本が、この『理不尽な国ニッポン』ということになる。

フランス人に読ませる日本人論なので、ところどころに目立つデフォルメはご愛敬というもんだろう。かえって、日本と日本人が、フランス、さらには世界からどう見られているかが、よく分かろうってところだ。

日本語版発行に際し、著者からに本の読者へのメッセージが書かれている。

この本執筆の動機である。それは、ある憤りと、疑問と、不安であったという。祖国フランスへの憤り、日本の居心地の良さへの疑問、そしてその日本が、場合によっては、祖国フランス以上に大きな問題を抱え、今の日本は持ちこたえられないのではないかという不安。それが彼に、この本を書かせた動機であるという。

ありがちな、外国人からみた日本についての本は、むやみな賞賛か、一貫した批判か、あるいは理解不可能か、結局は信憑性に欠けるものになってしまうケースが多いそうだ。著者のジャン・マリ・ブイスさんは、その傾向を避けるため、全体を通してフランスと日本を比較するという方法を採ったという。たしかにそうだった。

それだけではない。

フランスは、革命で国王と王妃を断頭台に送って殺し、神をも追いやって共和制を打ち立てた国。だから、そんな国からみれば、日本は自由と批判的精神が足りない国であり、国民と写っても当然。だけど、それを言い出したら“はい、それまでよ”ってことになってしまう。

そっから一歩進んで、そうではない日本、つまり“理不尽な国ニッポン”が、なぜフランスと違って国家の分断から無縁であり、居心地がいい国を作り上げているのか。そこまで考察するのが、この本の大きな特徴。


『理不尽な国ニッポン』    ジャン・マリ・ブイス

河出書房新社  ¥ 2,750

フランスでベストセラーになった辛口の現代日本論!日本はこう見られている!
それほど完璧ではない国
社会をつくる日本人製造工場
国をつくる―まかり通る欺瞞
フランス人は分裂、日本人は団結―宗教とメディア
日本はどこへ…?基本と間違い
日本は復活できるのか?―将来への道すじ


だけど、不満もある。

右派勢力には、ずいぶんと抵抗を感じるらしい。ジャン・マリ・ブイスさんは現代日本を専門とする歴史家であるということだから、もう一歩踏み込んで、日本社会をとらえて欲しい。

フランスは、第二次世界大戦では戦勝国だから、その結果として構築された戦後世界体制にケチをつけられるのは、好ましいとは思われないだろう。つまり、歴史修正主義には抵抗を感じるだろう。

それにしても、戦後世界体制を構築していくときのフランスの立ち回りはすごい。なぜ、五大国にフランスが入っているのか、考えれば考えるほどわけが分からない。まあ、それは中華民国にしたって同じだけどさ。

それは置いておくとして、すでに、当時の歴史は修正すべきであるという証拠は、十分に出回っている。そのことに関する考察がない。

それから、韓国と日本の関係についての理解が不十分。

「1910年、近代化して韓国を征服するや否や、250万の韓国人労働者を日本に招集または連行して、産業を、それから戦争経済を支えさせた」

どうも、植民地支配というと、そのまま自分たちがインドシナでやってきたことを、日韓にも当てはめてしまっている模様。それじゃ、韓国の言い分がそのままだ。

戦後日本で、在日朝鮮人は、あまりにも傍若無人に暴れ回った。どうして全国各地、駅前の一等地にパチンコ屋がある。武装した朝鮮人集団は農家や農協倉庫を襲い、貨車を襲撃、商店街、国の食料倉庫も襲い、食料や商品を根こそぎ 奪って行った。

警察が検挙に及べば、警察署が襲撃されて警官が殺された。警察も手が出ない在日朝鮮人集団に腕力・暴力で対抗していったのがヤクザたちだった。田岡一雄の山口組は、自衛団として国民的な地位を得ていった。

そんなの昔のヤクザ映画を見ていれば、誰だって知ってることだ。

後半に、移民問題やマフィア、ヤクザの問題が出てくるんだけど、なかでもやはり、朝鮮人問題っていうのは、かなり特殊な問題だった。当時は三国人と呼んだけど、日本の敗戦まで日本人として生きてきた在日朝鮮人、在日台湾人の中には、敗戦を機に戦勝国民を主張して、日本人になら何をしてもいいくらいの考えを持っていた。

“三国人”っていうのは、戦後の日本で、日本人やGHQが旧外地である朝鮮と台湾出身の人々を指して用いた呼称で、“第三国の人”という意味。中でも、特に質が悪かったのが朝鮮人だった。 

「在日朝鮮人は怖い」っていうのは、戦後日本の素直な気持ちだった。朝鮮人差別じゃない。差別され、酷い目に遭わされていたのは日本人だ。そうだな。ヤクザ映画見てもらうのが一番いいな。ジャン・マリ・ブイスさんにも教えてあげたいな。

後半は、「これはちょっと」ってところばかり挙げちゃったけど、全体として、とても興味深い本でした。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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