めんどくせぇことばかり ニート『上級国民/下級国民』 橘玲
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ニート『上級国民/下級国民』 橘玲

仕事に必要な「読解力」「数的思考力」「ITスキル」を測定する国際調査で、日本人はほぼすべての分野で1位。

すごいじゃないか。だけど、労働生産性ではとても低い。世界でいちばん長時間労働をしていて、それにもかかわらず労働生産性が低い国日本。

失われた30年、雇用破壊によって正社員が減り、非正規雇用が増えた。それが、当たり前のように言われてきた。だけど、どうも、現実には違うようだ。

通説とは異なり、年功序列、終身雇用といった日本型雇用慣行は温存された。若い女性では非正規雇用が増えているが、その多くはもと専業主婦で、新たに労働市場に参入する際、“パート”として雇用された。大手金融機関が次々と破綻し、リストラが流行語になった時期にも、実は正社員の割合は大きく減少していない。

しかし、若い男性の就労状況を見ると、大きく変化した部分がある。20代男性の正社員比率は1982年で72パーセント、高卒・大卒の4人に3人が正社員だった。1992年のバブル期の77パーセントから下がりはじめ、2007年には62パーセントまで落ちている。若い男性はバブル崩壊で、正社員比率が明らかに下がってくる。その代わり増えたのが非正規率で、1992年には4パーセントだったものが、2007年には15パーセントになっている。

日本の労働市場では、若い男性の雇用を破壊することで、団塊の世代の雇用が守られた。

私は昭和35年生まれで、今年は還暦。団塊の世代というと、だいたい一回り上ということになる。一回りとなれば、一昔+2年ということになるから、だいぶ世の中の雰囲気も変わる。

高校を出るまでは、団塊の世代に関わったことがない。大学に入ったとき、ごくわずかに全共闘時代の雰囲気が残っていた。今思えば、あれが団塊の気配だった。大学の時は気配だけですんだけど、仕事をするようになると気配だけでは住まない。実体化する。

私は大学卒業後、1年おいて県立高校に勤めたんだけど、団塊は30代後半に入ろうというところ。学校の仕事の上でも脂がのってくるところだな。私等新米は、直接その人たちに仕事を教わった。中でも一番世話になったのは、超がつくほどアクの強い人だった。

ただ、団塊がみんなそうだったわけじゃない。団塊は人数が多いだけなんだけど、人数が多いと言うことが社会にとっては、周囲にとっては、それだけで大きな圧力なわけだ。そしてそれが、団塊のすべて。




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「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない
1 「下級国民」の誕生
平成で起きたこと
令和で起きること)
2 「モテ」と「非モテ」の分断
日本のアンダークラス
「モテ」と「非モテ」の進化論
3 世界を揺るがす「上級/下級」の分断
リベラル化する世界
「リバタニア」と「ドメスティックス」
エピローグ 知識社会の終わり


バブルが崩壊して日本経済が急減速したとき、日本企業にとって最大の重荷はバブル期に大量採用した人員だった。いったん正社員にしてしまうと、簡単に首にできない。だぶついた社員を年功序列・終身雇用で養っていかないといけないから終身雇用で養っていかないといけないから、これはもう大変。

だけど人件費を削らなきゃいけないから、とりあえず新卒の採用を大幅に絞り込んだわけなんだな。続いて、年功賃金のカーブを抑える。組合も、雇用を守る前提で、人件費の抑制に応じた。その背景で、多くの若い男性に対し、会社は門を閉ざした。

閉ざされた門の前で正社員の道を諦めた若い男性は、希望を1ランク、2ランクと落として仕事を求めた。あるいは、非正規社員として働き始めた。

日本経済が低迷している間に、生産性の格差は製造業とサービス業のような産業間ではなく、同じ産業内で拡大していたんだという。同じ産業、同じ地域、同じ企業規模の会社で働いていて、同じ性別、同じ年齢・勤続年数、同じ学歴、同じ職種だったとしても、賃金の高い会社と低い会社の差が拡大してしまったという。

同一労働・同一賃金という原則が徹底されていれば、同じ産業、地域、企業規模で同じような仕事をすれば、給与も同じ水準になるはずなのに、日本では会社間の差が広がってしまったんだという。

日本のサラリーマンの人生は、たまたま新卒で入った会社がどうかという運不運に左右されてしまう。

同じ仕事をすれば、身分や性別、人種などの違いにかかわらず、同じ賃金が支払われるのが自然な流れ。ところが日本の労働組合は、「同一価値労働・同一賃金」を主張した。正社員と非正規社員では、同じ仕事をしても労働の価値が違うというなら、それは正社員と非正規社員の人としての価値が違うということになる。・・・筆者の言うことは、もっともだ。

「若い者はこらえ性がないから、すぐ仕事を辞めてしまう」と言われるが、たしかにこれはかわいそう。なにしろ門を閉ざされて、希望する会社に入ることが出来なかったんだから。やむを得ずフリーターとなり、いつもまにかニートと呼ばれ、いつまでも親と同居して、引きこもった。

前に、定時制で働いたことがある。大半の生徒は、アルバイトをしながら、夜、学校に通ってくる。大卒、高卒の前に、何らかの理由でつまずいた生徒たちだった。定時制で関わった生徒たちは、もうみんな20代の後半から上の年齢になっている。厳しい思いをしているだろうな。でも、同一労働・同一賃金の原則が貫かれるようになれば、少しは状況が改善するかも知れない。

ただ、団塊は労働市場からは退場していったけど、まだ、日本社会の大きな重しになっている。


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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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