めんどくせぇことばかり 『地名で読み解く世界史の興亡』 宮崎正勝
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『地名で読み解く世界史の興亡』 宮崎正勝

妙高山、「妙なる高みの山」という意味だそうだ。

古代インドの世界観の中で、その中心にそびえる聖なる山であるスメル山。その世界観はバラモン教、仏教、ジャイナ教、ヒンドゥー教に受け継がれる、インド全体で受け継がれているという。

それを漢字で音訳したのが須弥山で、意訳したのが妙高山。日本にはスメル山があるということだ。ジャワ島にもある。スメル山とそのままの名前で呼ばれている。チベット仏教ではカイラス山をそれに当て、聖地としている。

9世紀のジャワ島で、シャイレンドラ朝がスメル山に模して作ったのが、ボロブドゥールだそうだ。さらには、カンボジアのクメール人が建てたのがアンコール朝。アンコールワットの中心となる仏塔もスメル山に模したものだそうだ。

ものに名前を付けるとき、いろいろなことが動機になる。

ヨーロッパで最大面積の国は、ウクライナだそうだ。フランスよりも大きい。ただ、その名前の由来は、あまり良いものではない。「辺境」だそうだ。ウクライナが辺境ならば、その中心はどこにあったのか。当時の東欧の中心はポーランドだそうで、ポーランドから見るとそこは僻地で、ウクライナ=辺境としか呼びようがなかったと言うことのようだ。

15世紀の中央アジアで、サマルカンド(古ペルシャ語で「人の集まる町」の意)を中心に、モンゴル帝国を再興しようとしたのがティムール帝国。ティムール帝国はそれを達成することが出来ないまま、南下してきたウズベク族に滅ぼされるが、その残党が北インドに侵入して建てた国がムガル帝国。このムガルとは、モンゴルのことだそうだ。

ヨーロッパの地名を見ていくとき、地中海周辺に関しては、まずはフェニキア人に由来する地名が多い。

キプロスは「糸杉」、マルタは「避難所」という意味だそうだ。さらに、地中海最大の島であるシチリア島は、フェニキア人が農業移民を送ってエジプトに次ぐ穀倉地帯にした場所だったんだそうだ。そんなこともあって、シチリアは「農民の島」という意味だそうだ。

フェニキア人は地中海貿易を掌握して、その沿岸に彼らの痕跡をたくさん残した。徐々に力を付けたギリシャは、彼らの地盤であるエーゲ海とさらにその奥の黒海に向かった。のちのコンスタンティノープル、当時のビザんティオンはギリシャ語で「船溜まり」という意味だそうだ。ボスポラス海峡は風と海流の影響が強く、そこは航海の好機を待つ船溜まりだったと言うことだ。

その後、アレクサンダー大王の東征により、フェニキア人の後ろ盾でもあったアケメネス朝ペルシャが滅びることになる。この東征を、ギリシャ人商人たちは支援していた。そして、フェニキア人とギリシャ人の力が逆転し、地中海沿岸にギリシャ風の地名が残されていくことになる。

ヘレニズム時代を代表する彫刻に、『サモトラケのニケ』というのがある。勝利の女神が翼を広げた様子が彫刻されたものだ。ナイキのかっこいいマークは、その勝利の女神の翼をモチーフにしているという。さらにナイキという企業名は、勝利の女神ニケそのものだ。



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地名の語源を探れば、世界の移りも明らかに。地名はまさに歴史の化石だった!
第1章 文明発祥の秘密がたどれる「エジプト・西アジア」の地名
第2章 「古代地中海」を舞台にした商業民の活躍がわかる地名
第3章 諸民族が興亡を繰り広げた「ヨーロッパ」の地名
第4章 “豊かな辺境”の歴史を物語る「インド・東南アジア」の地名
第5章 独自の世界観を誇示する「中華帝国」の地名
第6章 アラブとモンゴル、二大遊牧民が駆け巡った「ユーラシア」の地名
第7章 「大航海時代」、新たに地図へ書き加えられた地名
第8章 19世紀、「大英帝国」の世界戦略がわかる地名
第9章 現代の覇権国家「アメリカ」の成り立ちを示す地名


地中海を除くヨーロッパの原型を作ったのは、ケルト人だった。ケルトとは「卓越する者」という意味がある、ケルト人の自称だったそうだ。前9世紀、すでに鉄製の両刃の剣を持ち、戦車をいち早く導入していたという。中央アジアから、馬と馬車でライン川、ドナウ川中流域に移動していった。

中央アジアからヨーロッパに、馬と馬車で出ていった。しかも、かなり早い段階で鉄器を使っていたとなると、ケルト人というのは、スキタイに起源があると言うことだろうか。

そのケルト人のうち、ベルガエ部族が住み着いた土地が、現在のベルギーだそうだ。ベルガエには「輝く者」という意味だそうだ。「卓越した者」と言い、「輝く者」と言い、どうもケルト人というのは、ずいぶん自意識の高い人たちだったようだ。

そのケルトが作ったヨーロッパの原型に、ローマが進出していく。すべての道はローマに通ずという勢いで領域を拡大し、ヨーロッパに覇権を確立した。そして、各地にローマ軍の駐屯地が作られていく。ロンドンは、ケルト人の好戦的な神ルッドが転化したロンドからロンデニウムと呼んだ。「勇者の土地」という意味だそうだ。パリは、そこに住むパリシー人からついた名だが、これは「乱暴者」という意味で、ローマ人がそう呼んだもの。ケルンは、植民市を意味するコロニアが転化したもの。

さらに、そこに、ゲルマン民族が移動してくる。

フランク族、ブルグンド族、ゴート族、ヴァンダル族、ランゴバルド族が入り乱れ、ヨーロッパ各地にその痕跡を残す。まるで、この間テレビで久し振りに放映した『ルパン三世 カリオストロの城』じゃないか。

さらに、東ヨーロッパを中心に、スラブ人が拡散していく。

かくしてヨーロッパは、フェニキア、ギリシャ、ケルト、ラテン、ゲルマン、スラブが入り乱れる。

先日、日本の地名の謎を解く本、『秩父の地名の謎 99を解く 秩父が解れば日本が分かる』という本を読んだ。やはり、地形から刳る地名が多いんだけど、それは世界中にある。

アイルランドの首都ダブリンは、「黒い池」という意味。北アイルランドのベルファストは、「砂州の渡し場」という意味。 スコットランドのグラスゴーは、「緑の窪地」という意味。ウェールズのカーディフは、「暗い川に面した城」だそうだ。

ただ、日本との違いは、おそらく彼らは、危険な場所に住む必要はなかった。

南木曽(なぎそ)は、土石流災害が発生する場所であることを教えている。鳴滝塾の鳴滝は、水害が発生する場所であることを教えている。日本の地名は、それがあまりにも多い。

先祖たちは、地名に託して、子孫にそれを教えてくれている。そんな動機で付けられた地名が多いってことだ。無駄にしないようにしないとね。


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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本
























































































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