めんどくせぇことばかり EU『地政学世界地図』 バティスト・コルナバス
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EU『地政学世界地図』 バティスト・コルナバス

ヨーロッパを1つにする?

ローマ帝国がやってたよね。あの頃のヨーロッパっていうのは、今とはまったく状況が違って、今のヨーロッパとはとても同じ土俵で語れるもんじゃない。そのうち、ゲルマン人の中でもフランク王国のカール大帝が、現在のフランス・ドイツ・イタリアの領域をまとめていったこともあった。

その後を考えると、カール5世時代のハプスブルク帝国もかなりだよね。あとは、ナポレオンの時かな。ヨーロッパの大部分がフランスの支配するところになった。それが、フランス革命の理念と一緒に広まっていって、それによって高まったナショナリズムが、逆にナポレオンを駆逐することになる。

第一次世界大戦の経験は、ヨーロッパにとってはとてつもなく大きい。ヨーロッパは殺し合い、荒廃と破壊を競った。おまけに、この戦いに終止符を打ったのは、かつてヨーロッパ諸国の植民地であったアメリカ合衆国の介入だった。

ヒトラーだってかなりのところまで行っていた。ヒトラーは他の民族よりも優秀な第三帝国によって統治されるヨーロッパ帝国の建設を目指した。実際、イギリスを残すヨーロッパを手中にし、バトル・オブ・ブリテンに打って出ていた。・・・そこで止まっちゃったけどね。

結局、ヨーロッパが1つになったことはなかった。そして第二次世界大戦後にEU、ヨーロッパ連合が生まれる。EU  はどうかな。これは、ヨーロッパが1つになったと言えるのかな。

第一次世界大戦がヨーロッパの曲がり角になったのは間違いないが、第二次世界大戦も、その影響はきわめて大きい。ヨーロッパ白人社会が世界を支配する体制そのものが、崩れ始めた。極東の黄色人種の国、日本のせいで。

インドネシアから、ミャンマーから、ベトナムから、インドから、オランダも、イギリスも、フランスも、出て行かざるを得なくなっていく。日本軍に駆逐された植民地軍の弱々しい姿に勇気を得て、アジアの人々が独立を勝ち取っていった。

その勢いは、アフリカにも波及した。ヨーロッパは、金のなる木を、つぎつぎと失っていく。



『地政学世界地図』    バティスト・コルナバス

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今、世界で起きている33の国際問題を、仏人歴史教師が平易に読み解く
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第二次世界大戦後、ヨーロッパに一体化の動きが現れてくる。二度の大戦を経て、国家間の平和の維持に必要な組織の構築が求められたのだ。

まずは、石炭と鉄鋼に関して、仏独の資源を一体化し、他のヨーロッパ諸国にも門戸を開放する仕組みだった。ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体という。さらに他の経済分野に関してはEEC、ヨーロッパ経済共同体が作られ、さらに新しいエネルギー産業分野としてヨーロッパ原子力共同体が成立した。これをまとめてEC、ヨーロッパ諸共同体、あるいはヨーロッパ共同体と呼んだ。

経済共同体が設立される前に、ヨーロッパには防衛共同体、政治共同体設立の動きがあった。それらはいったん頓挫したが、経済共同体によってヨーロッパ単一市場が創設されていく中で、通貨統合が浮上し、さらに政治分野の協調が視野に入るようになる。

これが、マーストリヒト条約によるEU、ヨーロッパ連合の創設につながる。

それで最初に戻るけど、ヨーロッパは1つになったのか。まあ、今の状態で、ドイツとフランスが戦争をするなんていうのは、ちょっと考えられない。EU内における安全保障に関しては、たしかにヨーロッパは変わった。経済に関して見てみると、世界のGDPの22パーセント、世界の農業生産の10パーセント、世界の工業生産の20パーセントを占めているという。EUと言うまとまりを持ったことで、世界経済の中で存在感を示している。

政治的にまとまっているとは言えないようだ。加盟国それぞれの思惑があって、EUとしての統一された政治見解を示すことはできていない。そりゃそうだ。だって違う国なんだもの。

結局のところは、安全保障と経済的な利益で結びついた地域連合というところか。この本では、《融通無碍》という言葉を使っている。便利な言葉だな。訳者がすごいのかも知れない。

イギリスが抜けたことで加盟国は27カ国になった。そのうちで、単一通貨ユーロを採用している国は19カ国。採用していないのは、イギリスは抜けたから、デンマークとスウェーデン。この2カ国はユーロ導入を拒否している。イギリスが加盟国だったときは、イギリスも拒否していた。それ以外の、ブルガリア、チェコ、ハンガリー、ポーランド、ルーマニア、クロアチアは、自国の経済事情が基準を満たしていないため、ユーロを使っていない。

かと思うと、EUじゃないのにユーロを使っているところがある。モナコとサンマリノとバチカン、それにアンドラ。これらの国は、フランス、イタリア、スペインとの関わりがきわめて強く、フラン、リラ、ペセタを流通させていた。そんなわけで、EUと取り決めを結んでユーロを流通させている。

コソボとモンテネグロでも、ユーロが流通しているが、これは協定を結んだ上のことではないようだ。特にコソボでは、政治的な理由からセルビアのディナールを廃したために、ユーロを流通させざるを得ないという事情がある。

EU市民がEU圏内を自由に移動し、居住できるというシュンゲン協定に関しても似たようなところがあるようだ。26の加盟国がシュンゲン協定に加盟しているらしい。どこだ、残りの1国は?探してみたらアイルランド。イギリスとアイルランドは、EU非加盟国と加盟校に分かれちゃったけど、もともと両国の間には“共通旅行区域”という取り決めがあったんだそうだ。それにどちらも島国だから、シュンゲン協定に関する意識が大陸の国々とは違ったらしい。

それからEUには入っていないのにシュンゲン協定には加盟しているのが、アイスランド、ノルウェー、スイスの三国。アイスランドは、イギリスやアイルランドよりもっと遠い島国なのにね。EU加盟国なのにシュンゲン協定への参加を拒否されているブルガリア、ルーマニアみたいな国もあるみたい。

《融通無碍》という言い方が適当かどうか判断つかないが、イギリスは、やっぱり窮屈で嫌だったんだろう。あんまり考えの違う連中に引っ張り回されるのはね。さらに今、加盟申請をしているのがアルバニア、北マケドニア、モンテネグロ・セルビア、トルコ。

トルコはずいぶん、EU加盟を巡って鼻面を引っ張り回されたようなところがあったけど、それでもまだ、加盟を希望しているのか。

トルコを入れたら、キリスト教文化圏という共通性すらなくなってしまう。


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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
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