めんどくせぇことばかり 『世界の歴史はウソばかり』 倉山満
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『世界の歴史はウソばかり』 倉山満

1980年から88年まで続いたイラン・イラク戦争におけるイラクの大義名分は、「重要戦略目標としたフゼスタンという産油地に住む人々はアラブ人であり、アラブ民族主義を掲げるイラクは、その地にいる同胞を助けなければならない」ということだった。たしかにフゼスタンは、歴史的にアラブ人、端的に言えばイラク人が多く住む。なにしろ、平地で、地続きでイラクに接しているのだから。

さらにイラクは、自分たちのイランに対する闘いを、7世紀にアラブ軍がササン朝ペルシャを破った闘いになぞらえている。この本の中では、その闘いを《カーディシーア》と言っている。636年のカーディシーアの戦いと、それに続いて641年のニハーヴァンドの戦いに敗れて、ササン朝ペルシャは滅んでいる。イラクは、あくまで、この戦争をアラブ人対ペルシャ人という民族戦争として戦ったわけだ。

逆に、イランは、この戦争をムスリムの聖戦であることを強調した。「この闘いで死ねば天国に行ける」と。イラン兵は前線でも死を恐れずに戦うので、イラク軍はそれを恐れた。当時のイランは、革命でパーレビ国王が追放されて、シーア派のホメイニーが国を指導していた。彼の信仰は「12イマーム派」というもの。「ムハンマドの血縁者のアリーが初代イマーム(指導者)で、12代目が9世紀にお隠れになった。しかし、世界の終末を前に12代目が救世主として再臨して平和な千年王国を築く」という考え。12イマームが再臨するまでの間、イスラム法学者がムスリム共同体を導くわけだ。

ホメイニーの論理にすれば、イラクを世俗化したサダム・フセインはイスラムの正義に反する存在であるので、これを倒す闘いに参加することがムスリムの義務ということになる。

このイラン・イラク戦争の頃、アメリカで話題になったのが、「イラン・コントラ・ゲート」と呼ばれるできごとだった。当時、アメリカとイランは国交断絶状態にあった。テヘランのアメリカ大使館がホメイニー支持派の狂信者集団に急襲され、アメリカ人大使館員ら50人近くが440日にも渡って拘束された。レーガンの時に人質は解放されるが、両国はその後も緊張関係を続けた。

ところが、水面下においては、アメリカは大統領補佐官を通じて、イランに密かに対戦車ミサイルなどの武器を供給していた。同時にアメリカは、イラクの方にも毒ガス工場建設などの支援を行い、両国を争わせ続けて中東の大国を疲弊させようとしていた。この内実が1984年にニューヨーク・タイムズにすっぱ抜かれてスキャンダルになったのがイラン・コントラ・ゲート事件である。

2003年のイラク戦争の口実になる大量破壊兵器の存在は、これに基づいている。イラクはイランとの戦争で使った毒ガス兵器を、戦後、埋めた。それに関わったアメリカは、それを知っていた。イラクに毒ガス工場を作らせたのはアメリカであり、施工したのは西ドイツだった。

2015年の武器輸出額は、アメリカもドイツもイギリスも、前年比で倍増している。



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世界が知られたくない暗黒史を大暴露!もっとも格調高き“ヘイト本”
序章 日本人がまったく知らない国民国家論
第1章 典型的な「国民国家」フランス
第2章 国民国家の理論でナチズムをやっている中国 
主権国家にすらなれていない韓国
第3章 常に異ネーションをかかえた帝国ロシア
第4章 国体と政体の区別がない「人工国家」アメリカ
第5章 「民族主義」のヒトラーに破壊された国民国家ドイツ
第6章 エンパイアから始まった国民国家イギリス
第7章 七世紀には国民国家だった日本
おわりに 史上もっとも格調高いヘイト本


今年も日本は、世界の人たちからいろいろなことを言われた。12月のCOP25で小泉環境大臣は、ずいぶん叩かれた。それが年末にあったもんだから、年明け早々、環境後進国扱いされるようになった。脱炭素の流れの中でも、ヨーロッパは石炭火力発電廃止を既定路線として、走り出しているからね。フランスが2021年まで、イギリスとイタリアが25年、オランダとカナダが30年まで、ドイツが38年までといった具合。

石炭が使われるのは、日本は、石炭火力発電の技術では、世界最先端にあることもある。しかも、経済性でもすぐれているために、海外の新興国を中心に、今後も石炭に依存しなければならない国は多い。それらの国で日本の技術を生かすことができれば、効率的な発電によって二酸化炭素の排出を抑え、大気汚染も防止することができる。

その点においては、じつは日本の一人勝ちという状況にあった。その日本を、環境後進国とののしる人たちは、いったい何をめざしているのか。後ろで糸を引いているのは何者か。

世界の国々の立ち回りは、その場の都合次第。裏で何をやってるかといえば、自国の利益だけを最大限にすることだけ。そのくらいのことを言われても、あんまりまともに考えずに、「そうだね~。40年くらいかな」ってなことを言っておけばいい。

1972年、フセインは、当時のアラブ世界のどこもができなかった「石油資源の国有化」に成功した。中東の石油利権の多くは欧米系企業の支配下にあり、それまでは、算出する石油で得られる利益の4%の手数料しか国の利益にならなかった。それが、国有化後は、96%が国の利益になった。

莫大な国家収入をもとに、フセインは学校を作って教育を整備し、社会の世俗化を進めた。女性の社会進出にも積極的で、チャドルをかぶる必要はなくなり、男性と同様に教育を受け、外で働くことが推奨された。

フセインの属するバアス党はシリア、パキスタン、アフガニスタンにも拡大しており、イラクと同様、女性が普通にオフィスで仕事をしていた。

アラブの春の発火点となったのはチュニジアだった。なけなしの金を投資して許可無しで市場で物を売っていた男が、それを規制していた警察官との間に悶着を起こし、警察官に殴られた。その警察官が女だった。男が女に殴られるというのはイスラム的価値観からすれば大きな屈辱で、男はカッとなって焼身自殺した。これがきっかけで独裁政権への反乱が始まった。

しかし、女性警官がいるということは、チュニジアは世俗化により、女性の解放が進んでいたということだ。

アメリカは、オバマの頃に、そういった中東の政権を次々と崩壊させていった。オバマは、ずいぶん世界に混乱を広げてくれたが、戦争をすると二酸化炭素の排出は、とてつもなく増えるだろうな。


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ジャンル : 本・雑誌

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火山の噴火、土石流に土砂崩れといった災害は、人々の目を山の高見に向けさせた。
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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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