めんどくせぇことばかり 『すごい!ナンバ歩き』 矢野龍彦
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『すごい!ナンバ歩き』 矢野龍彦

アルティメットフォアフット走法とは違うんだよな。

なにも私は、ケニア勢よりも速く走りたいわけじゃない。そうじゃなくて、楽に歩きたい。楽に歩くためには、どうやら、今風の歩き方をするよりも、ナンバ歩きの方が良さそうなんだ。

今風の歩き方というのは、明治維新の頃に、西洋の歩き方を取り入れたものなんだそうだ。腕を前後に大きく振って、手と足を交互に出す。足の裏が見えるくらいに、後ろ足を蹴り出して前に進む。着地は、膝を伸ばして、かかとから下りる。力強く、大きな歩幅で、元気に歩けるのがいいとされる。メリハリをつけて歩くので、人と合わせて行進するのに便利。

実は、歩きを変えようと思ったのは、山での経験から思いついた。だいたい、私は、山での歩き方なんて気にも留めず、けっこう雑な歩き方をしてきた。若い頃は、早いのが一番なんて考えてたしね。

ずっと、運動を続けてきていたから、それなりのバランスと柔軟性があったから、それでも大丈夫だったんだろうけどね。だけど、20年を超えて、山からも運動からも離れてたから、バランスも柔軟性もあったもんじゃない。足を手術して、山を再開してから4年、この間、年に60日を超えて山を歩いて、ようやく、それを理解した。

筋肉を使って、力で歩くんじゃなくて、スムーズに軸を移動させていく。最低限の力で、体重のかかる軸を移動させることで前に進む。そういう歩き方ができるといい。

きっかけになったのは、砂混じりの小石が敷き詰められたような、ザレ場の急な下り。夏、将監峠にテントを張って、翌日、唐松尾山から笠取山を経て下山するコースを歩いた。あの、笠取からの急な下りで、何度も足を滑らせた。秋、ザレ場に加えて枯葉におおわれた奥武蔵の急坂を下るとき、かかとから入るように、あたりまえに歩けば、あたりまえに足を滑らせる。

心がけたのは、足裏の摩擦が最大になるように、枯葉ののったザレ場を、足の裏で、上から抑えるようにして歩く。怖がって腰が引けると、地面を上から抑えられずに帰って滑るから、足を出す動作と共に軸を出した足の方に移動していく。

笠取山での反省から、それを実戦するようになり、それ以降、足を滑らせて転ぶことはなくなった。東京の人は、たまの雪道でコロンコロン転ぶけど、雪国の人は平然と雪の道を歩く。それと同じで、悪路を歩くときには、道の状態に合わせて、上から押さえるように、大事に歩くことが大切。




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歩くほど健康になる。日本古来のナンバ」の動きが体と心を救う
1章 「ナンバ歩き」とは何か
2章 ナンバなら、歩くことが「快」になる
3章 「現代ウォーキング」が身体を壊す!
4章 ナンバ歩きをマスターしよう
5章 なぜ、ナンバ歩きは「心」にも効くのか
6章 「ナンバ的動き」はすべてに応用できる


かつての日本人は、どうやらそういう歩き方をしていたらしい。

今風の歩き方だと、右足を出すときには、手は左が前に来る。左足が前なら、手は右。つまり、腰をひねって歩く。着物だと、すぐ着崩れちゃうな。サムライの人たちは、刀が左右にぶらんぶらんしてしまう。かかと着地だから、下駄の後ろの歯がどんどん減ってしまう。後ろ足で地面を蹴って進むから、ぞうりがペッタンペッタンしてしまう。そうなんだよな。私は、朝、走ってるんだけど、靴のかかとがどんどん減っていくんだ。

幕末、軍事の西洋化が進められていくときにも、日本人は西洋式の、いまの日本人の歩き方ができなかったようだ。これ、『隠し剣 鬼の爪』に出てきた。藤沢周平の原作で、山田洋次監督の映画。永瀬正敏が主演をしたやつね。

東北の小藩である海坂藩にも、幕末の変動が見え始め、英国式の教練が取り入れられ始める。若い教官が招かれ、平侍たちに教練を施すんだけど、「イッチニ、イッチニ」って言う号令に合わせて歩くとができない。そんな様子が、描かれていた。

その頃までの日本人は、上半身と下半身の動きが連動していて、右上半身と右下半身が連動して動き、左上半身と左下半身が連動して動く。相撲や剣道といった武道、阿波踊りはじめ盆踊りも、やはり、そのように動いている。

これをナンバ歩きと言うそうだ。

ナンバ歩きは、「右手と右足を一緒に前に出す」って、実は私も長い間そう思っていた。勝手にそう思って、「無理だよな~」って。実際にやってみると、これでは歩けない。

右手右足云々よりも、上半身と下半身を連動させて歩くという方法。右の骨盤と右の胸郭を上下に連動させて、右足を前に置きに行く。左の骨盤と胸郭を連動させて、左足を前に置きに行く。この際、かかとから着地する必要はないので、ブレーキをかけずに進める。また、後ろ足を蹴って前に進むわけではないので、筋肉に負担がかからない。

意識するのは、足を上に上げることにとらわれず、むしろ、すり足気味に、歩幅は広げずに歩く。腕振りの必要はない。ただ、肩からぶら下げて、自然な動きに任せればいい。

かかとから着地しないで、足裏全体で着地するので、この歩き方は悪路を歩くのにも適している。

実は、ナンバ歩きを取り入れて、朝のランニングを“ナンバ”で走れるように、走法を改良している。どうも、それが、どこか違うみたいで、ふくらはぎの筋肉痛が日々増している。

この本を読んで、あらためて“ナンバ”で歩きに出て、自分の歩きを振り返ってみた。筋肉痛の原因が分かった。後ろ足で、蹴っていた。蹴らずに、足を前に動かすと共に、軸を前に動かしていくようにすると、歩くのがぐっと楽になった。

これを、走りにつなげられればいい。




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ジャンル : 本・雑誌

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火山の噴火、土石流に土砂崩れといった災害は、人々の目を山の高見に向けさせた。
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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本


























































































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