『ソロ登山の知恵』 山と渓谷編集部
水袋、保温ポット、テーピングテープ、ヘッドランプ、エマージェンシーシート、ろうそく、ライター、ガスカートリッジ、バーナー、クッカー、非常食、折りたたみ傘、スリング・カラビナ、防寒着、ツエルト、トレッキングポール、ザック、防水スタッフバッグ。
登山ガイドの木元康晴さんの、基本装備だそうだ。もちろん、これに、食料や飲料水が入る。
難しいよね。荷物は軽くしたい。だけど、山ではなにが起こるか分からないから、どんな事態にも対応できるように準備しなければならない。そう思うとどうしても、荷物が増える。単独なら、全部、自分持ち。装備が重くなれば、体力を消耗する。
木元さんは、かつて、3度きびしいビバークを経験し、それを含める数々の経験を通して厳選された装備が、上記の18点。
エマージェンシーは、テーピングテープとエマージェンシーシートだけか。私は、ごちゃごちゃと、色々なものを持ちすぎだな。テーピングテープは、本来の使い方はもちろんのこと、他に、なにに使えると思う?
ケガをしたとき、テープで直接傷口を塞ぐ。登山靴のソール剥がれの修理等、使い道はさまざまあるらしい。なんと、火起こしの着火剤にも使えるという。
エマージェンシーシートは、私は持たない。ツエルト持ってるから、いいと思ってるんだけど、寒い時期にビバークしたことないからな。重いもんじゃないし、エマージェンシーケースに入れとくかな。
ろうそくは持って行かないな。考えてみれば、ろうそくがあれば、ツエルト内の保温になるし、電池の節約にもなる。スリングは持たないけど、細引きを使ってるな。防水スタッフバッグは、やっぱり使うべきか。ええっ!枕としても使えるって。
《単独登山はやめましょう》っていう表示を出している自治体もあるそうだ。私は見たことがない。禁止されているわけじゃないし、道徳的に考えても、おかしいことじゃない。人が死に至る原因の中で、それが避けうるものであるにもかかわらず、放置するべきではないという姿勢なんだろうか。
登山遭難者の死亡率を見たとき、ソロの場合が16パーセントで、パーティの場合が8パーセントだそうだ。遭難死のリスクが、ソロの場合2倍になる。共通する8パーセントは、遭難の時点で死んでいる滑落等だろう。残る8パーセントは救助できるか、あるいは、救助が呼べるか、その違いだろう。
孤独死が、話題になった時期があった。今でも、そうかもしれない。年寄りであれば、あるいは、何らかの病気を抱えている人であれば、山に登るまでもなく、突発的な事態になって、助けも呼べずに命を落とすこともある。
とはいえ、こんだけ高齢化が進み、かつ家族が分解され、コミュニティのつながりが緩やかになった状況にあっては、珍しい事態ではない。なんとしても避けたいのであれば、施設に入ればいいんだし、そうでなくても万が一の場合の準備をするだろう。あとは覚悟の問題だと思う。
一人で山に入るのも同じ。たしかに、捜索のことも考えなきゃいけないけど、それも含めて、“覚悟”だと思う。“はじめに”に書かれているとおり「危険度の高さと天秤にかけても、実戦する価値のある、魅力的な行為」であるし、死にに行くわけじゃない。ワクワクしながら、輝いて生きるために、一人で山に行くんだ。
もちろん、死なないために色々な準備をするし、実際、緊急事態に至っても最後の最後まで手を尽くす。そこまでやって、なお、残念ながら生還できないとなったら、それはすべての人の死とまったく同じ。


『山と渓谷』は、毎年、ソロ登山の特集を組むそうだ。
それがソロ登山を煽ってるという声もあるらしい。しかし、『山と渓谷』の主張の通り、雑誌が特集をやめてもソロ登山は減らない。山岳会などの組織に属さず、技術や知識習得の機会を得にくい人も多い。だったら、単独のリスクを明確にした上で、役立つ知識を掲載した方が、遭難防止につながる。
そうした意味で、この本が出された。
よく、山岳遭難発生状況を、埼玉県警のHPで見ることがある。
ちなみに、さっきも、12月1日現在の状況を確認してみた。埼玉県内で、11月のひと月だけで、10件の遭難が発生している。滑落が2件。小鹿野の二子山と越生の鼻曲山。鼻曲山は、どこで滑落したんだろう。二子山は4人パーティ、鼻曲山は300人とあるから、越生や毛呂山町が開催したハイキング大会だろうか。
単独山行は5件で、道迷いが4件に、疲労が1件。いずれも無事救出されている。武甲山が2件、両神山1件、雁坂峠1件、棒の嶺1件。
雁坂峠、単独、道迷いは、良く無事救出できましたね。他の山は、いずれも登山者が多く。手がかりも多そうだけど、雁坂だと、山が深いからね。
私は、土日を避けて登山しているし、人がたくさんいない山を選んでいる。だから、緊急事態を招かないように、それなりに努力している。一番ありそうで、注意しているのは、滑落や転倒による骨折。
まずは、滑落しない、転倒しないで歩くこと。若い頃は、考える必要すら感じてなかったけど、バランス感覚と身体の柔軟性は、間違いなく落ちている。
この本の第2章にも出てくるんだけど、いま、歩き方を見直している。
ナンバ歩きという方法で、筋肉の力で地面を蹴って前に進む方法ではなく、筋肉よりも骨を意識して、身体の軸を移動させながら、前に進む。着地はかかとからつかず、足裏全体を置くようにして地面につける。この歩き方は悪い道に向いていて、雪道を滑らず歩く方法の一つである。さらに歩幅が狭くなるので、軸を移動させるときにバランスを崩しにくくなる。
以前の山行で感じたんだけど、地下足袋で歩くと、岩を蹴ったり、とがったところに足を置くと痛いから、歩きが丁寧になる。ただ、寒い時期は足が冷たくなっちゃうからね。ナンバ歩きをマスターして、歩幅を小さく、一歩一歩、丁寧に歩くことを身につけたいと思う。
感染症流行下、他の都県に出かけるのを控えて、顔なじみの地元の山を歩いている。こんな時こそ、同じ山でも、新しいテーマをもって、丁寧に歩くことにしよう。
登山ガイドの木元康晴さんの、基本装備だそうだ。もちろん、これに、食料や飲料水が入る。
難しいよね。荷物は軽くしたい。だけど、山ではなにが起こるか分からないから、どんな事態にも対応できるように準備しなければならない。そう思うとどうしても、荷物が増える。単独なら、全部、自分持ち。装備が重くなれば、体力を消耗する。
木元さんは、かつて、3度きびしいビバークを経験し、それを含める数々の経験を通して厳選された装備が、上記の18点。
エマージェンシーは、テーピングテープとエマージェンシーシートだけか。私は、ごちゃごちゃと、色々なものを持ちすぎだな。テーピングテープは、本来の使い方はもちろんのこと、他に、なにに使えると思う?
ケガをしたとき、テープで直接傷口を塞ぐ。登山靴のソール剥がれの修理等、使い道はさまざまあるらしい。なんと、火起こしの着火剤にも使えるという。
エマージェンシーシートは、私は持たない。ツエルト持ってるから、いいと思ってるんだけど、寒い時期にビバークしたことないからな。重いもんじゃないし、エマージェンシーケースに入れとくかな。
ろうそくは持って行かないな。考えてみれば、ろうそくがあれば、ツエルト内の保温になるし、電池の節約にもなる。スリングは持たないけど、細引きを使ってるな。防水スタッフバッグは、やっぱり使うべきか。ええっ!枕としても使えるって。
《単独登山はやめましょう》っていう表示を出している自治体もあるそうだ。私は見たことがない。禁止されているわけじゃないし、道徳的に考えても、おかしいことじゃない。人が死に至る原因の中で、それが避けうるものであるにもかかわらず、放置するべきではないという姿勢なんだろうか。
登山遭難者の死亡率を見たとき、ソロの場合が16パーセントで、パーティの場合が8パーセントだそうだ。遭難死のリスクが、ソロの場合2倍になる。共通する8パーセントは、遭難の時点で死んでいる滑落等だろう。残る8パーセントは救助できるか、あるいは、救助が呼べるか、その違いだろう。
孤独死が、話題になった時期があった。今でも、そうかもしれない。年寄りであれば、あるいは、何らかの病気を抱えている人であれば、山に登るまでもなく、突発的な事態になって、助けも呼べずに命を落とすこともある。
とはいえ、こんだけ高齢化が進み、かつ家族が分解され、コミュニティのつながりが緩やかになった状況にあっては、珍しい事態ではない。なんとしても避けたいのであれば、施設に入ればいいんだし、そうでなくても万が一の場合の準備をするだろう。あとは覚悟の問題だと思う。
一人で山に入るのも同じ。たしかに、捜索のことも考えなきゃいけないけど、それも含めて、“覚悟”だと思う。“はじめに”に書かれているとおり「危険度の高さと天秤にかけても、実戦する価値のある、魅力的な行為」であるし、死にに行くわけじゃない。ワクワクしながら、輝いて生きるために、一人で山に行くんだ。
もちろん、死なないために色々な準備をするし、実際、緊急事態に至っても最後の最後まで手を尽くす。そこまでやって、なお、残念ながら生還できないとなったら、それはすべての人の死とまったく同じ。
『ソロ登山の知恵』 山と渓谷編集部 山と渓谷社 ¥ 1,100 その魅力やリスク、必ず身に着けておきたい登山技術を解説。ソロ登山者必読の一冊 |
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『山と渓谷』は、毎年、ソロ登山の特集を組むそうだ。
それがソロ登山を煽ってるという声もあるらしい。しかし、『山と渓谷』の主張の通り、雑誌が特集をやめてもソロ登山は減らない。山岳会などの組織に属さず、技術や知識習得の機会を得にくい人も多い。だったら、単独のリスクを明確にした上で、役立つ知識を掲載した方が、遭難防止につながる。
そうした意味で、この本が出された。
よく、山岳遭難発生状況を、埼玉県警のHPで見ることがある。
ちなみに、さっきも、12月1日現在の状況を確認してみた。埼玉県内で、11月のひと月だけで、10件の遭難が発生している。滑落が2件。小鹿野の二子山と越生の鼻曲山。鼻曲山は、どこで滑落したんだろう。二子山は4人パーティ、鼻曲山は300人とあるから、越生や毛呂山町が開催したハイキング大会だろうか。
単独山行は5件で、道迷いが4件に、疲労が1件。いずれも無事救出されている。武甲山が2件、両神山1件、雁坂峠1件、棒の嶺1件。
雁坂峠、単独、道迷いは、良く無事救出できましたね。他の山は、いずれも登山者が多く。手がかりも多そうだけど、雁坂だと、山が深いからね。
私は、土日を避けて登山しているし、人がたくさんいない山を選んでいる。だから、緊急事態を招かないように、それなりに努力している。一番ありそうで、注意しているのは、滑落や転倒による骨折。
まずは、滑落しない、転倒しないで歩くこと。若い頃は、考える必要すら感じてなかったけど、バランス感覚と身体の柔軟性は、間違いなく落ちている。
この本の第2章にも出てくるんだけど、いま、歩き方を見直している。
ナンバ歩きという方法で、筋肉の力で地面を蹴って前に進む方法ではなく、筋肉よりも骨を意識して、身体の軸を移動させながら、前に進む。着地はかかとからつかず、足裏全体を置くようにして地面につける。この歩き方は悪い道に向いていて、雪道を滑らず歩く方法の一つである。さらに歩幅が狭くなるので、軸を移動させるときにバランスを崩しにくくなる。
以前の山行で感じたんだけど、地下足袋で歩くと、岩を蹴ったり、とがったところに足を置くと痛いから、歩きが丁寧になる。ただ、寒い時期は足が冷たくなっちゃうからね。ナンバ歩きをマスターして、歩幅を小さく、一歩一歩、丁寧に歩くことを身につけたいと思う。
感染症流行下、他の都県に出かけるのを控えて、顔なじみの地元の山を歩いている。こんな時こそ、同じ山でも、新しいテーマをもって、丁寧に歩くことにしよう。
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