めんどくせぇことばかり 『三頭の虎はひとつの山に棲めない』 マイケル・ブース
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『三頭の虎はひとつの山に棲めない』 マイケル・ブース

マイケル・ブースさんは韓国や“中国”を訪問し、いろいろな場所を見て回った。

文禄慶長の役で活躍した朝鮮の武人である、李舜臣の像が建つ木浦にも訪れた。そして、以下のように取り上げている。

《李舜臣はそれ以外にも到底勝ち目のない状況で数多くの偉業を成し遂げており、それらは今も韓国の映画やテレビドラマで繰り返し描かれている。また、彼は百ウォン硬貨の顔にもなっている。李の人生は波乱に満ちたものだ。彼は軍事的成功の最中に、朝鮮王の命令で投獄されて拷問を受け、一歩兵の地位に格下げされたが、日本の勝利が目前に迫ると、もとの地位に戻された。残っていた朝鮮船十三艘の指揮を再び執り、その有名な狡猾さを総動員し、李は露梁海戦で日本の艦隊を撃破した》

これが、著者の李舜臣に関する認識なのか、韓国の映画やテレビドラマで描かれている李舜臣の姿なのかが分からない。いつもそうなのだ。いろいろなものを見て、それをそのまま紹介している。たとえば、李舜臣像に向かう前に、ある防空壕に立ち寄っているのだが、以下のような調子だ。

《日本による占領期に朝鮮人労働者によって山の斜面に掘られた防空壕に向かう。涼しい地下トンネルに入ると、労働者たちをかたどった褌姿の不気味な白い像が、日本兵に警棒で殴られている場面に出くわす》

それだけ残して、彼は李舜臣にあいに行ってしまう。本当に、日本の兵隊が防空壕を掘っている現場を訪れて、褌一丁で働いている朝鮮人労働者を警棒で殴っていたと、彼も受け止めているわけだろうか。

“中国”でも、その姿勢は変わらない。

北京に着いた数日後、彼はハルビンに向かい、七三一部隊跡地に作られた“侵華日軍七三一部隊罪障陳列館”と名付けられた施設を訪問し、案の定、「博物館はとても説得力があった」と受け入れ、そのまま文章にしてしまう。

《顕微鏡、燻蒸消毒器、外科用メス、ガスマスクなどとともに、想像を絶する展示物「内臓ラック」、「歯のフック」など、おもに地元民が持ち込んだものが陳列されているが、物理的な証拠品としてはさほど数は多くない。感情的な反日プロパガンダを表現するのではなく、身の毛もよだつような事実を、目撃者の証言を交えながら、比較的率直な、あるがままの姿で展示している》

日本人の証言もあることが取り上げられているが、当たり前で、これが世に知られるようになったのは、森村誠一の『悪魔の飽食』だからな。それを“比較的率直”と判断する理由はなんなのか、まったく分からない。“あるがままの姿”と判断できるのは、見てきた人じゃなきゃ分からない事実じゃないだろうか。

さっぱり分からない。

それだけ私たちの祖父母の世代を貶めておきながら、この人は自分で検証しようという気持ちがない。



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東アジアの国、日本・中国・韓国は、なぜ良好な関係を築けないのだろうか
日本 (久里浜;横浜;寿町 ほか)
大韓民国 (釜山;木浦;扶安 ほか)
中国 (ハルビン;北京;曲阜 ほか)
ふたたび日本へ (東京)

「私たちから反日感情を取ったら、アイデンティティの半分は失われてしまうのです」と著者に告白した、“ある韓国人“の考えは、たしかにかなり当たっている。

半分でもアイデンティティが残れば、なんとか国は持つだろうか。残る半分は朝鮮語と、いくつかの独特な文化か。ただ、日本が朝鮮に進出する前の朝鮮人に、同じ国の国民という意識があったろうか。

王族と支配階級の両班は、内部における権力闘争に明け暮れるばかりだった。税金も払わず、身体を使う仕事もせず、兵役にも就かず、贅沢な生活をするばかり。

常民はほとんどが農民で、税を納めると共に、特産物を貢納し、雑役にも徴用された。つまり、租庸調、雑徭、・・・律令制さながらの状況だった。

賎民は激しく差別され、中でも奴婢は完全に隷属状態で、両班の所有物であり、姓名や人としての権利はなく、財産として売買された。

1858年における割合は、両班48.6%、常民20.1%、奴婢31.3%。税金払わない階層が80%近い。常民はもの凄く搾り取られていたわけだ。

そんな状況では、国民としてのアイデンティティは持ち得ないだろう。清王朝に激しく差別されながら、反中をアイデンティティとする国民意識が醸成されなかったのは、そのためだろう。

その状況の朝鮮に、日本は進出することになった。第二次日韓協約以降、朝鮮には日本の統監府が置かれ、日本の影響力が強まる中で戸籍が整えられ、身分制が廃止されていくが、両班は反対したそうだ。1910年以降、統監府は総督府に変わり、韓国は日本になる。両班の反対は、総督府の力で押さえつけられた。

そして両班も中人も常民も賎民も、日本に支配される朝鮮人になった。

著者はイギリス人のようだが、イギリス人ならどうするかな。そんなことを考えてみるのも面白い。

両班の下に中人という階級がある。さっきに割合の中では、おそらく両班に含まれているんだろう。この人たちは、偉そうにして何にもしない両班の下で、実際に国を支えていた実務者階級。福沢諭吉の影響を受け、朝鮮の改革を志した金玉均なんかも中人階級だった。

この人たちを使って間接支配をしただろう。

王族は皆殺しにしただろうな。ミャンマーがそうだったよ。王女は、兵士に慰みものにされた。そして、中人に力を持たせ、両班と常民を、すべて奴婢に落とす。

イギリスはよく、華人、華僑を支配に使ってるよね。

あとで、朝鮮から引揚げるときは、「いえいえ、あれは日本ではなく、中人たちのやったことですよ」ってとぼけてればいいんでしょ。マイケルさん。



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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






























































































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