めんどくせぇことばかり 『スマホを捨てたい子どもたち』 山極寿一
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『スマホを捨てたい子どもたち』 山極寿一

人間は、他の生き物、人間に最も近い他の類人猿と比べても、共感力が飛び抜けて高いそうだ。

つまり、それが人間の特徴と言うことだ。

この本の著者である京大総長の山極寿一さんは、ゴリラ学者。いやいや、生態環境生物学というのを専門とされる先生で、猿やゴリラの研究を通して、人間の本来のあり方を考えてきた方。

その猿やゴリラへの取り組みというのがすごい。猿やゴリラの仲間に入れてもらうんだって。仲間に入れてもらうって言ってもねぇ。相手は猿やゴリラだからねぇ。

“フィールドワーク心得”というのがあって、それが実はもの凄い。

その1 動物になりきる。たとえば対象がゴリラであるなら、ゴリラになりきる。それは人間であることを忘れることだそうだ。人間であることを忘れゴリラになりきる。

その2 その動物の互換で自然を捉える。つまり、ゴリラになりきって、ゴリラの感覚で自然を捉える

その3 その動物と会話をして、気持ちを通じ合わせる。つまり、ゴリラになりきって、ゴリラの感覚で自然を捉え、ゴリラと会話をして気持ちを通じ合わせる。

何を寝言を言ってるんだと思ってしまうけど、この先生、本当にそれをやってきた。何度も、「これはダメかも」という目にあったそうだ。ひどいときは、前後から雌のゴリラに突進され、頭と足を噛まれて血だらけになったそうだ。

先生のそうした研究は、言葉を話し、文字を駆使し、文明に染まる前の人間は、何を食べ、どれくらいの規模の群れを作り、その中でどのような付き合いをしてきたのかを探るもの。人間を知るための研究だな。

脳の容積大きいのは人間の際だった特徴の一つだけど、それは構成する集団の大きさに関係しているんだそうだ。

700万年前の気候変動で熱帯雨林が減少し、人間の祖先はやむを得ずサバンナに進出した。進出と言っても、森の中の弱者だった人間が、サバンナに押し出されたんだろうけど。

ライオンやチーターといった肉食獣がいたサバンナでは、人間は捕食される動物だった。どれだけのヒトが、喰われただろう。朝、まだ暗い町を走っているんだけど、その暗闇の中、視界のはじを何かが動いたように感じて背筋が震えることがある。あれはきっと、人間が捕食されていた時代の恐怖が遺伝子に刻まれていて、身を守ろうとしているんだろう。




ポプラ新書  ¥ 946

京大総長が語る、野生に学ぶ「未知の時代」の生き方、「ヒトの未来」
第1章 スマホだけでつながるという不安
第2章 ぼくはこうしてゴリラになった
第3章 言葉は人間に何をもたらしたのか
第4章 人間らしさって何?
第5章 生物としての自覚を取り戻せ
第6章 未来の社会の生き方


そんな危険なサバンナでは、集団を大きくした方がいい。数が多ければ、一人が狙われる確率は低くなるし、危険を察知する力が高まる。人間は、危機から自分の命を、仲間の命を守るために、集団の規模を大きくしてきた。

ただし、集団を大きくすると、その分だけトラブルも発生する。仲間の性質や、自分との関係をしっかり頭に入れておかないと、問題をこじらせてしまう。集団内のトラブルは、集団そのものの危機につながる。

集団の構成員同士の関係を良好に保ち、かつ、集団を大きくするために、人間の脳は大きくなった。チンパンジーとの共通の祖先から分かれた700万年前から長らく、人間の脳は小さいままで、その頃の集団のサイズは10~20人くらいだったそうだ。サッカーやラグビーの選手数と同じくらい。

200万円前、脳が大きくなり始めた頃は、30~50人くらい。だいたい、一クラスの生徒数くらいだな。

60万年から40万年前くらいになると、人間の脳はゴリラの3倍の1400cc、現代人の脳の大きさになった。これに見合った集団のサイズが、100~150人だそうだ。

農耕牧畜が始まる数十万年間、人間はこのサイズの集団で、狩猟採集生活を送ってきたわけだ。その時以来進化していない私たち人間は、狩猟採集生活に適した身体を持って、現代社会を生きているわけだ。

サバンナの危機に脅かされつつ、150人サイズの集団の安寧を守るため、人間は共同保育や共食、音楽など、人間にしかないコミュニケーションによって共感力を発達させてきた。

そのコミュニケーションの方法が、インターネットやスマホの登場で、劇的に変わってしまった。インターネットでつながるようになった人間の数は、狩猟採集民だった時代からは想像もできないほどに膨大になった。だけど、その人間性を知り、自分との関係性を把握できる人の数は150人ということだ。

インターネットで世界中の人とつながれるというのは、幻想に過ぎないわけだ。

私には150人なんて、とても考えられない。

実家からの一族で25人。仕事していた頃にできた人間関係で、仕事を辞めた現在もつながっているのが10人。他には特になし。35人か。

おいおい、200万年前のピテカントロプス級だな。



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ジャンル : 本・雑誌

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こんな本、あんな本


この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






























































































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