めんどくせぇことばかり 『北条五代 上』 火坂雅志 伊東潤
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『北条五代 上』 火坂雅志 伊東潤

最初、分からなかった。

なんで火坂さんと伊東さんの名前が並んでるんだか。火坂雅志さんがお亡くなりになったのを、恥ずかしながら知らないでいた。『黒衣の宰相』とか、『覇商の門』とか、読んだ。大河ドラマになった『天地人』は、実は先にドラマで見てしまって、読む機会を失った。

『北条五代』は、火坂さんが『小説トリッパーに書いていたもので、二代氏綱の時代を書いている頃、三代氏康の少年期でもあるんだけど、その時代を書いている途中で急逝されたんだな。それが2015年のこと。

それから2年、2017年になってから、伊東さんが引き継ぐ形で書き始め、見事に完結させて、単行本化されたものだそうだ。そうそうあることではないみたいだな。

さて、私はまだ、上巻を読み終えたばかりのところだが、下記の目次にあるとおり、二部構成になっていて、第一部を火坂雅志さん、第二部を伊東潤さん書いた形になっている。そして、第一部の第一章から第九章に加え、第二部の第一章だけが上巻に加えられている。

まずは第一部を一気に読み、一日だけ間をおいて、第二部の第一章を読み終えた。二代氏綱の時代とは言え、物語の主人公は〈第八章 三代目〉から伊豆千代丸こと、後の氏康に移り変わっている。

つまり、氏康の少年期を、火坂雅志さんと伊東潤さんが、分担して書いていることになる。そして、二人の筆によって、自らを怯懦と認め、戦に臨む武士を嫌った伊豆千代丸は、幼虫がさなぎの時期を通して蝶に生まれ変わるように、三代目北条氏康として関東に覇を唱えることになる。

伊勢新九郎こと北条早雲のやってきたことは、「他国の凶徒」とそしられても仕方がない。戦国の時代だから、やられた方が悪い。力もないのに権威を振りかざして、混乱を加速させる奴が悪い。

大変よく分かる。それでも人は、大義のないものには従わない。だから彼の一族は北条を名乗るようになり、領土経営に尽力し、民生の安定に力を入れる。

それでも、早雲の跡を継いだ氏綱でも、やはり、「他国の凶徒」と罵られた。このあと氏康は、どうそれを乗り越えていくのか。


『北条五代』    火坂雅志 伊東潤

朝日新聞出版  ¥ 2,090

早雲・氏綱・氏康・氏政・氏直の五代百年にわたる北条氏の興亡を描いた歴史巨編
第一部/火坂雅志
第一章 早き雲
第二章 関東へ
第三章 小田原乗っ取り
第四章 風魔
第五章 父と子
第六章 三浦攻め
第七章 北条の血
第八章 三代目
第九章 目ざすもの
第二部/伊東潤
第一章 仁義の人




第二部の第一章に、氏康が氏綱と共に、扇谷上杉勢と戦った様子が書かれている。

当時、扇谷上杉氏は河越城を本拠にしていた。太田道灌の築いた城で、平城ながら、荒川をはじめとする大小の河川に守られた難攻不落の城と言われた。その難攻不落の城を出た扇谷上杉氏は、北条勢と思わぬ遭遇をすることになり、名だたる武将を多く討ち取られることになる。

北条勢がその勢いで河越城に迫ると、河越城はもぬけの殻となっていた。主力が壊滅状態になった扇谷上杉勢は城を守ることを諦め、家臣である上田朝直の松山城に逃げ込むことになる。

私、松山城のある東松山市に住んでいる。北条勢と扇谷上杉勢が思わぬ遭遇戦となった苦林は、家から車でほんの10分のところ。古くは、鎌倉公方となった足利基氏が、下野の宇都宮氏綱の家臣である芳賀禅可の軍勢と戦ったことでも知られる場所。

なんだかワクワクする。

小川町には腰越城跡という遺跡がある。この本に書かれた時代には、松山城主である上田朝直の重臣山田伊賀守直定が城主。松山城から腰越城の延長線上には、まずその間に菅谷館、小倉城、青山城という拠点があり、腰越城のさらに先には安戸という地区がある。この安戸が、上田氏の根拠地であったそうだ。

ブログの中でも紹介したが、緊急事態宣言下、遠出を控えて、地元で、かつ公共交通機関を使わず、できるだけ人に合わない山歩きを続けている。そんな中で、いくつかの地元の城跡をめぐってきた。

城跡を訪ねるたびに思うのは、いかに敵に打ち勝つか。生き残るか。そのギリギリのところで築かれたものであるということ。

そういう戦いが、ここ、北関東と南関東をつなぐライン上で行なわれていたんだな。

このあと、河越夜戦で扇谷上杉氏が滅亡したあと、今度は松山城が攻防の焦点となる。太田道灌に縁のある大田資正、上杉謙信、武田信玄らが次々とこの松山城に絡んでくる。

この攻防によって、松山城は北条氏の直轄となり、後に北条氏家臣団に組み込まれていた上田氏の居城になる。その時代、この地域は、もの凄く面倒くさい場所だったわけだ。

それが下巻ではどう描かれているものか。・・・じつは、まだ手に入れてない。上巻の熱が冷めた辺りで読んでみよう。


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ジャンル : 本・雑誌

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この本、今でも売れてるんですね。何時頃読んだんだろう。記憶も定かじゃないけど・・・。この男の子が嫌いでね。涙が出た。白血病で入院してた女子高生にこの本を送ったことがある。感想、聞かせてもらってないな。



中学1年で読んだと思うんだけどな。アレクサンダーの伝記。夏休みの読書感想文で郡市の大賞を取ったんだ。「アレクサンダーによって異なる国や民族が一つの領域にまとめられたように、いつかこの世界も・・・」・・・なんてことを書いた。なんだか、アメリカがやろうとしてるよね。・・・当時はそれがいい事のように思ってた。



高校で山岳部に入ったんだよね。もとが山ん中だからさ。そんでもって山岳部っていうのもどうかと思ったんだけど。この本を読んじゃったもんでね。入部したての1年の夏休み、北鎌尾根から槍に登った。・・・記憶に誤り。取り付いただけだった。



今みたいに女の裸が氾濫している時代じゃなかったわけですよ。私の中学生時代っていうのは・・・。そんな時代なのに、中学校の図書館に置いてあったんですからね。この表紙の本が・・・。手にした理由はもちろんこの表紙の女。・・・もちろんそんなことは誰にも言えない。ただ、以前から無類の本好きであったことは功を奏した。それに加えて、私は以前からのSFファンということになった。この本を不自然なく手にするために・・・。
やられた本






























































































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